公益社団法人 物理探査学会

会長挨拶

ご挨拶

公益社団法人
物理探査学会会長 
鈴木 敬一(川崎地質株式会社)

 このたび渡辺前会長から引き継ぎ,2022年度総会において物理探査学会の会長に就任いたしました,鈴木敬一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本学会は19485月に発足し,2022年で創立74年という伝統があります。本学会は創立以来,「物理探査学の学理及びその応用に係る技術の進歩,普及,並びに物理探査に携わる技術者の資質の向上を図る」(定款)ことを目的として,研究発表,知識や技術の交換,会員相互および内外の関連学会との協力連携を進めています。さらに,物理探査の学問としての進歩と普及を図り,わが国だけでなく国際的な学術の発展に寄与することを目的としての活動も行って参りました。

 この伝統ある学会の会長を拝命したことは,光栄であるとともに,大変な重責であることを肝に銘じなければならないと感じています。学会活動の具体的な内容につきましては,総会資料に記載の通りであり,それらを実現するように確実に歩みを進めたいと考えています。

 物理探査の適用分野は資源・エネルギー,土木・環境,防災,農学,地球惑星科学,考古学など多岐にわたります。一方,物理探査には地震波,重力,地磁気,電気,電磁波,放射線など物理現象により分類された各種の探査手法があります。これらの適用分野と,探査手法がそれぞれ独立な座標軸のようなもので,両者の交わるところに研究テーマや技術開発の種があると考えられます。適用分野と探査手法という二つの軸をもつところが,本学会のユニークなところのように思えます。

 2023年には本学会は創立75周年を迎えます。一世紀の4分の3という長い期間を経て,現在の我々の活動がなされていることを考えると,先人の努力と持続力に改めて敬意を表するとともに,我々もそれを継続していかなければならないと考えます。

 75周年には記念事業を計画しています。その主な行事としてはシンポジウムとアウトリーチを主体とした記念行事,さらに物理探査ハンドブックの大幅な改訂を行った新しい書籍を出版することです。記念シンポジウムでは適用分野ごとに物理探査手法がどのように利活用されているか,さらにそれが社会にどのように貢献しているのかを考察し,次につなげていけるものにしたいと思っています。テーマは「持続可能な社会と物理探査」です。物理探査ハンドブックに関しては,これまでの章立てを見直した大幅な改訂版となります。これらの記念事業には各委員会の委員の皆様,物理探査ハンドブックの執筆に関わる,大変多くの皆様の尽力があってなしえるものです。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

 2020年初頭よりわが国でもCOVID-19パンデミックの波にのまれることとなりました。学術講演会をはじめ各種のセミナー開催が中止を余儀なくされ,活動が停滞した時期もありましたが,オンライン形式による開催方法を模索しながら,オンラインからハイブリッド形式へと進化をしてきました。これも会員サービスを低下させてはいけないという強い思いから,学術講演委員会や事業委員会,国際委員会の皆様を中心に,様々な方法を模索しながら,学会活動を継続させることに大きく寄与しました。

 COVID-19が終息した後も,ハイブリッド方式は継続するのではないかと思います。オンライン参加者の中には,首都圏以外の方の参加者の割合が増えています。これは移動のための時間や費用の節約になっていて,参加しやすい環境であるためと考えられます。

 物理探査学会にはいくつかの課題もあります。将来に向けて学会運営をどのようにして行けば,より会員の皆様に役に立てるか,より活動が活性化するのか,などについて検討する「将来構想委員会」が2020年に報告書をまとめました。ここでは詳しく示しませんが,この報告書には会員の皆様から頂戴した貴重な意見が含まれています。そのような意見を参考に,持続可能な学会活動を模索することも検討したいと思います。

 会員の皆様方におかれましては,引き続き学会運営へのご理解とご協力をお願いし,挨拶とさせていただきます。

20226月吉日

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