第146回(2022年度春季)学術講演会 詳細プログラム | ||||||
6月7日(火) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
セッション | [地熱][資源探査][石油・天然ガス] | |||||
座長 | 松島 潤(東京大学・院・新領域) | |||||
6月7日 | 10:00〜10:20
近年Deep learningの技術進歩は目覚ましく,多くの分野において様々な成果が上がっている.しかしながら,地質・物理探査分野においての適用事例は,対象となるデータのサイズや解決すべき問題設定が難しいことから,限定的となっている.Geng and Wang (2020)は三次元地震探査データへの適用を試みており,人間が解釈作業を行っているメタンハイドレートの存在を示唆する海底擬似反射面BSR(Bottom Simulating Reflector)の自動抽出を実現した.本研究ではGeng and Wang (2020)が用いたCNNモデルSeismicPatchNetと,近年画像分類分野で高い評価を得ているEfficientNetを用いてCNNに対して実データの適用を行った.この2つのCNNモデルに対して同一条件での学習計算を行い,未知のデータに対する精度を比較したところ、BSRの検出が一定精度で可能であることがわかった。この結果をもとに,三次元地震探査データへの深層学習の適用可能性について議論する.
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1) 反射法地震探査データへの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の適用可能性の検討 | ||||
○坂口 弘訓・高市 和義・児玉 総司・下野 祐典・上本
竜朗・清水 恒子(1),石鍋 祥平・中山 貴隆(2) 1:CTC,2:JOGMEC |
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6月7日 | 10:20〜10:40
We analyzed the mine blast signals to map the P-wave reflection profiles at the Hishikari mine area by the autocorrelation analysis based on seismic interferometry. Because the fissure filled ore vein deposits are dominant in this area, we evaluate the potential of the autocorrelation analysis as an investigation method of the ore deposits. In autocorrelation analysis based on seismic interferometry, ambient noise or natural earthquake seismic data are commonly used. Here we used blasting of the mine as seismic events for autocorrelation instead of applying conventional used seismic events Because the blast events include high frequency and amplitude signals, using the blast events contributes to imaging efficiently the subsurface shallow structures. We successfully obtained auto-correlogram images that showed high-resolution seismic reflectors from shallow formation depths which were difficult to achieve by the conventional approach. These seismic reflection images could manifest the lithological boundaries of shallower than 500 m and possible ore vein deposit occurrence. Our simple approach using dense seismic array to acquire one optimum blast shot is inexpensive approach for higher resolution 2D and 3D lithological imaging, and useful for mineral explorations.
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2) Active mine blast seismic interferometry of the P wave reflectivity to image the 3D shallow lithological boundaries | ||||
○Tarek Samir
Imam(1),Tatsunori Ikeda・Takeshi Tsuji(2),Jiro Uesugi・Takeshi
Nakamura(3),Yoshinori Okaue(4) 1:Kyushu University, Suez Canal University,2:Kyushu University,3:Sumitomo Metal Mining Co., Ltd , 4:Hishikari mine, Sumitomo Metal Mining Co., Ltd |
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6月7日 | 10:40〜11:00
2021年秋田県澄川地熱発電所においてDASを用いた地震探査を実施した。光ファイバーをSE-4地熱還元井の深さ1200mに設置した。この光ファイバーを用いSE-4坑井内の温度と地震波を計測した。3D速度モデル構造の作成と3Dマイグレーション処理を行った。マイグレーションにはDAS記録中の反射波を用いた。得られた結果は生産ゾーン、還元ゾーンの位置と良い相関を示した。S9の震源位置でのDAS記録には花崗閃緑岩からの反射相がみられそうである。
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3) 秋田県八幡平澄川地熱フィールドにおける地熱探査 | ||||
○笠原 順三・羽佐田 葉子・大沼 寛(1),三ケ田
均(2),藤瀬 吉博(3) 1:エンジニアリング協会,2:京大工,3:WELMA |
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6月7日 | 11:00〜11:20
本稿では、東・東南アジア磁気異常図とGSJ、NEDOのデータから編集した磁気データを用いた日本列島のキュリー点深度解析を試みた。解析手法はBouligand et. al.(2009)による。この結果と、地震データなどの地球科学データと合わせて解析を行った。キュリー点深度は、岩手山で5.5km、葛根田地熱発電所で6.5kmとなった。葛根田地熱発電所を横切る東西断面では、高周波地震イベントはキュリー深度よりも浅い場所に集中した。低周波の地震イベントは、キュリー深度よりも深いDuctileゾーンで発生している。岩手山周辺では深さ5〜10kmに鉛直に分布する。低周波地震は、火山活動に関連する流体の流れによって引き起こされ、Ductileゾーン内で発生すると解釈されている。低周波地震をマグマ活動によるものとすると、岩手山東部約10kmの深さでマグマ活動が起こっていると解釈できる。
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4) 地熱資源探査のためのキュリー点再解析 | ||||
○大久保 泰邦・山野 昭一・大里 和己(1),一戸
孝之(2) 1:地熱技術開発,2:JOGMEC |
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6月7日 | 11:20〜11:40
地磁気地電流法(以下MT法)は,自然の電磁場変動を利用して,電場と磁場の比から地下の比抵抗構造を推定する電磁探査法である.MT法は,地熱探査はもとより,鉱物資源探査や石油探査などにも利用されている.さらには,MT法の深部探査能力を活かして,地殻やマントルなどの地球物理学的な研究にも利用されている.九州大学の物理探査学研究室では,地下資源探査や地下流体のモニタリング探査を目的とした小型MT法探査装置の開発を10数年前から継続してきた.その研究成果が認められ,令和3年度から独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の委託を受け,地熱発電技術研究開発事業の受託研究『高効率高密度探査技術〜小型軽量装置を活用したMT探査手法の高度化〜』を二年半の研究期間で実施することになった.このプロジェクトの主目的は,研究題目が示す通り『小型軽量のMT探査装置の開発』であるが,それに付随する多くの研究内容を含んでいる.本報では,当該プロジェクトの目的・目標およびプロジェクト全体の概要を説明する.
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5) 小型軽量装置を活用したMT探査手法の高度化(1):プロジェクトの概要 | ||||
○水永 秀樹・田中 俊昭・橋本 幸治(1),小野寺
真也(2) 1:九州大学,2:石油天然ガス・金属鉱物資源機構 |
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6月7日 | 11:40〜12:00
既存のMT探査システムは過酷な環境でも使用できるように頑丈で重い.特に低周波の磁場測定に使用されているインダクションコイルが探査システム全体の重量の大半を占めている.そのため,地形が険しい山岳地域などでは,重量に起因した作業性の悪さが探査の高コスト化を招き,精度の良いMT法測定のためには必ずしも十分な測点密度で探査が実施できていない要因になっている.これまでの長年の研究成果を基礎として,JOGMECの委託を受け,探査コストの低減と高精度化を目的として,小型軽量のMT法探査装置の開発を実施している.試作機は,磁場センサとしてMIセンサを採用た.限られた期間で効果的な開発を行うために,3種類の異なる構成の試作機を設計し,同時並行で製作した.そこで本報告では,試作した3種類の試作機について特徴を報告する.
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6) 小型軽量装置を活用したMT探査手法の高度化(2): ハードウェアの設計と試作 | ||||
○田中 俊昭・水永 秀樹・橋本 幸治(1),小野寺
真也(2) 1:九州大学,2:JOGMEC |
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セッション | [土木][防災1][インフラ維持管理] | |||||
座長 | 高井 伸雄(北海道大学) | |||||
6月7日 | 13:00〜13:20
直流電気探査法に求められる対象・目的は多様化・複雑化している.例えば,海底電気探査においては海水を考慮した多層構造中に電極が配置され,水平多層構造中の任意配置電極における電位計算を行うことが必須となる.また,環境・防災等のモニタリングでは高速かつ安定した逆解析が求められている.本研究では,Pythonを用いた水平多層構造+3次元任意電極配置の汎用電位計算コードを実装し,先行研究と比較した精度検証を行った.また,任意電極配置を活用した利用例として電位分布を可視化する等電位線図の作成を行った.さらにSchlumberger法による垂直探査を想定した逆解析コードを実装し,高速かつ安定な解析性能を有するかを検証した.
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7) Pythonを用いた水平多層構造・3D任意電極配置に対応した電位応答解析手法 | ||||
○與田 至門・上田 匠(1),上原
大二郎・王寺秀介(2) 1:早大,2:中央開発 |
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6月7日 | 13:20〜13:40
79 GHz MIMOレーダによる振動計測システムを開発,振動計測試験を実施し,性能を評価した.振動計測試験の結果,橋梁の振動現象を干渉位相の時間変化として2次元InSAR画像に可視化し,任意の計測点における振動計測を実現した.
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8) 79 GHz MIMOレーダによる振動計測の検討 | ||||
佐藤 源之・○齋藤 龍真(1) 1:東北大東北アジア研 |
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6月7日 | 13:40〜14:00
微動アレイ探査の国際標準化規格(ISO規格)作成に向けた活動が始まり、現時点ではDISの段階まで進展している。微動アレイ探査のISO規格(ISO 24057: Array measurement of microtremors to estimate shear wave velocity profile)は、TC182/WG9によって世界各国からのコメントに対応し、規格案の作成が行われている。物理探査学会では、地盤調査のための物理探査法標準化検討委員会を設立し、その活動を支援している。今後は、表面波探査の国際標準規格の作成にむけての活動を予定している。物理探査手法の標準化は、普及と品質の確保の両方にとって重要な活動と考えている。
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9) 微動アレイ探査と表面波探査の標準化と国際化に向けた活動について | ||||
○小西
千里(1),地盤調査のための物理探査法標準化検討委員会(2) 1:応用地質,2:物理探査学会 |
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6月7日 | 14:00〜14:20
コンクリートダムでは、コンクリート表面にコンクリートの継ぎ目に沿ってひび割れが発生しやすい。そのため、ひび割れの早期発見・対処が必要である。これまでの研究では、コンクリートより比較的軟らかい地盤を使って実験を行い、経験式やエネルギー遮断の理論を提唱している。南ほか(2021)は、これら2つの方法を用いてひび割れ深さを推定し、コンクリートへの適用性を示した。そして、本論文では、推定範囲を広げるために、ひび割れに対して斜めに入射するデータを用いて、測定線間のひび割れ深さを推定した。その結果、広い範囲のひび割れ深さを高精度に推定できることがわかった。
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10) 表面波の減衰効果を利用したコンクリートのひび割れの深さ推定 -斜め入射の表面波を利用した推定範囲の拡張- | ||||
○南 佳希・東 宏幸・小田 義也(1),高橋
亨(2),尾西 恭亮(3),磯 真一郎(2) 1:東京都立大,2:深田地質研究所,3:土木研究所 |
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6月7日 | 14:20〜14:40
Q値は表層地盤の波動伝播を評価する上で重要なパラメータである。表層地盤のQ値を推定することを目的に地震観測点近傍で表面波探査を実施した。観測パラメータが減衰係数に与える影響を把握するために、異なるオフセット距離および受振器間隔で測定を実施した。測定波形からRayleigh波基本モードのみの成分を抽出後、減衰係数を計算した。また測定波形から分散曲線を算出し、1次元速度も推定した。得られた減衰係数および推定された速度構造を用いてQ値構造を算出した。解析の結果、深度6mまでのQsのみが得られ、Qpは得られなかった。また、振源からのオフセット距離が短いと適切な減衰係数が得られないことが分かった。
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11) 表面波探査データを用いた表層地盤のQ値の推定 | ||||
○山内 泰知(1),津野 靖士(2),山中
浩明(3) 1:ダイヤコンサルタント,2:鉄道総研,3:東工大 |
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6月7日 | 14:40〜15:00
茨城県つくば市の北部に位置する神郡地区および筑波山南麓において,稠密単点微動測定を実施した.東西約3km,南北約3.5kmのエリア内で再測を含み合計228点で微動を測定しH/Vスペクトル比(HVSR)を求めた.神郡地区では縁辺部から中軸部に向かってピーク周波数が低下する傾向が明瞭に見出された.加えて西側の桜川低地に向かってもピーク周波数が低下した.筑波山南麓斜面は厚い岩屑堆積物で覆われており基盤が露頭していない.この斜面上の測定においても明瞭なピークを有するHVSR曲線を得ることができ,それらから水平多層構造を仮定して速度層構造を求めた.いずれも基盤深度は100m程度以浅と見積もられ,低地および山麓斜面の浅部基盤構造をマッピングすることができた.
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12) 単点微動測定H/Vスペクトルによる筑波山南麓地区の表層地盤構造マッピング | ||||
○稲崎 富士,林 宏一(1) 1:Geometrics |
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6月7日(火) コアタイム:第1会場・SpatialChat,展示:展示会場・オンラインフォルダ | ||||||
セッション | [ポスター(コアタイム)] | |||||
座長 | 田中 俊昭(九州大学) | |||||
6月7日 | 15:20〜17:20
有人宇宙探査に向けた惑星・衛星探査では,地下資源の探査が求められている.GPR(Ground Penetrating Radar)とは,横軸が走査方向,縦軸が時間となるAスキャングラフを取得し,地下構造を検出する地中探査レーダである.しかし,既製品は高価であり,改造や改良を行うことが出来ないため,周波数の選択が行えない.周波数の選択が行えないことは分解能に影響を与えることから,探査対象の選択性が狭まることとなる.しかし,GPRのシステムを自作で構築することにより,安価で高性能化を目指した改良を行うことが可能となる.本研究では,安価で高性能なGPRの送信装置開発とmオーダーの地下構造の可視化を目的に手押し式GPRの送信装置開発を行った.結果として,地下構造体反射波形観測実験により,m級の地下構造体を検知することが確かめられ,基礎実験としての目的を達成できたと言える.
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P-1) 簡易的GPRの試作と埋設物検出の試み | ||||
○山本 耕大・山本 真行・西川 泰弘(1) 1:高知工科大学 |
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6月7日 | 15:20〜17:20
デジタルテスターを活用した簡易型の電気探査装置を開発した。ホームセンターでの販売物を組み合わせており、15,000円程度で1台を完成できる。これを用いて、活断層である山崎断層系暮坂峠断層において、1次元および2次元電気探査を実施したところ、破砕帯と考えられる低比抵抗帯を検出することができた。
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P-2) 簡易型電気探査装置の開発と活断層調査への適用 | ||||
○後藤 忠徳・黒田 真奈加・山本 壮馬・天野 玲・藤本
静菜・大島 由有希・山下 凪(1), 山本睦徳(2) 1:兵庫県立大,2:地球おどろき大自然 |
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6月7日 | 15:20〜17:20
本研究では実験室において、高粘性の泥水を堆積物試料に浸透させ、泥水飽和度と試料比抵抗の関係を調査した。試料として、砂礫混じりの川砂および細粒の砂を用いた。その結果、泥水使用時の比抵抗は、水道水を用いた時と比べて、低飽和域で高い値を示すことが分かった。その原因は、泥水の毛管現象がほとんど生じなかった事が主要因であると思われる。
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P-3) 高粘性流体を含む堆積物の比抵抗と飽和度の関係 | ||||
○後藤 忠徳・木村 健太・前田 智輝・山田 尊生・萩谷
健治(1) 1:兵庫県立大 |
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6月7日 | 15:20〜17:20
大規模地震等災害時における水源としての地下水利用は、無計画に利用すると広域的な地盤沈下や浸水リスクの増大など様々な問題を引き起こす懸念がある。計画的な揚水には水循環解析システムを利用するが、解析精度の向上には地質構造、水利構造、地下水位を適切に把握する必要がある。これらを効率的、且つ正確に把握することを目的として、2019年から岐阜県西濃地域でドローン空中電磁探査法を実施してきた。本年度は社会実装を目的として地上送信型のD-GREATEMと空中送信型のD-TEMを岐阜県西濃地域で多雨期と少雨期の2回実施し、地下水位の把握に有効であることを確認した。調査を広域におこなうことにより、調査地の地下水涵養量も把握することが可能である。本発表では、2つの手法で得られた2時期の探査結果について報告する。
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P-4) ドローン空中電磁探査法による地質構造調査 | ||||
○結城 洋一・新清 晃・富森 さとし・山口
明代(1),城森 明(2) 1:応用地質株式会社,2:有限会社ネオサイエンス |
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6月7日 | 15:20〜17:20
クラスタリング・インバージョンは,geological differentationの達成を目的として,Fuzzy c-mean (FCM) clustering拘束と,実空間でのクラスターのforcusing拘束を組み合わせて導入して構築されている.しかし,このインバージョン法は「強いパラメータ依存性」を有しており,実務レベルで適用していくには,それへの対策が不可避である.そこで,(1)最適化アルゴリズム中への目的関数の組込方法の変更,(2)目的関数の観測値数,ブロック数,クラスターセンター数による規格化,の修正を加え,さらに(3)各拘束条件の収束過程での「寄与率」指標のモニタリングを行えるようにした.これにより,パラメータ依存性を緩和して,安定した品質の解析結果が得られるようになった.ここでは,アルゴリズム修正の概要と,それを米国ミズーリ州Pea Ridge鉱床周辺域で取得された空中重力偏差−磁気探査データに適用した結果について報告する.
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P-5) geological differentationを目的としたポテンシャル量のクラスタリング・インバージョンの開発 (その2) アルゴリズム修正と空中重力偏差・磁気探査データへの適用 | ||||
○中山 英二(1) 1:所属なし |
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6月7日 | 15:20〜17:20
地震動の計算結果は,地下構造モデルの媒質だけでなく地表面形状の影響も受けるため,広帯域で精度よく地震動評価を行うためには,地盤構造も地形も適切に数値モデルに反映させることが重要であるが,地盤と地形両方の数値モデル化とその結果に対する検討例は少ない.また,小規模平野では,平野端部に相当する部分が多く,表層地盤構造も地形も空間変動が大きく,数値モデル化に際しては,大規模平野とは異なる考慮が必要である.本報告では,地震動計算ツールとしてのコード改変についてと小規模平野での数Hzの帯域での地震動計算に際し,表層地盤の地表面の境界面と地中の媒質境界面の両者の数値モデル化(ここでは離散化の影響)が地震動計算結果にどの程度影響するかについて記述する.こうした結果は,適切な地盤構造の探査密度と数値モデル化およびモデル改修の手続きのヒントを与えてくれるものと考えられる.
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P-6) 表層地盤と微地形の数値モデル化が地震動計算におよぼす影響評価 | ||||
○山田 伸之(1),山中 浩明(2) 1:高知大,2:東工大 |
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6月7日 | 15:20〜17:20
微動アレイ探査およびH/V測定を約100か所で実施し、米国カリフォルニア州ナパーバレーの三次元S波速度構造の推定した。微動アレイ探査のアレイサイズは調査地点によって30〜1500mであり、2Hzの上下動地震計を用いて測定を行った。得られた分散曲線の最低周波数は地点によって1〜10Hzである。同時に2Hzの三成分の地震計を用いてH/Vの測定も行った。得られたH/Vのピーク周波数は0.25〜10Hzであり、谷底の平野部では、0.25 〜0.4 Hzの範囲に明瞭なピークが見られた。各地点において、分散曲線とH/Vのジョイント・インバージョンを行って一次元S波速度構造を求めた。探査深度は地点によって30〜1000mである。得られた一次元S波速度構造を補間して三次元S波速度構造を求めた。平深度30m平均S波速度は200 〜970 m/s、S波速度760m/secの基盤深度は最大で約300mであった。
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P-7) 微動アレイ探査およびH/Vから求めたナパ・バレーの三次元S波速度構造 | ||||
○林 宏一(1),カリー ラフレー(2),ステファン
バーンズ(3) 1:応用地質,2:ナパ バレー カレッジ,3:ジオメトリクス |
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6月7日 | 15:20〜17:20
ガス充填砂層の音響特性は、共振の影響を大きく受けることが知られている。音響周波数が気泡の共振周波数に近づくと、音波の伝播によって引き起こされる気泡の共振により、音波の位相速度と減衰が劇的に変化する。気泡の共振周波数は、気泡のサイズに依存するため、ガス貯留層の音響特性を分析することによって気泡の存在率とサイズを予測することができる。気泡半径の位相速度分散インバージョンに焦点を当てる。ガスを充填した堆積物の速度は周波数に依存するが、これは従来のインバージョン方法では困難とされている。本研究では、深層学習を使用して位相速度分散情報を取得し、気泡半径を予測することを提案している。シミュレーションの結果から、深層学習モデルが気泡のサイズを十分に予測でき、海底下の気泡の存在形態を予測するために使用できることを示した。さらに超音波室内実験データへの予察的な適用を行い、提案手法の有効性を示した。
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P-8) 深層学習インバージョンによるガス充填砂層における位相速度分散の評価 | ||||
鐘 平川・○松島 潤(1) 1:東大・院・新領域 |
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6月8日(水) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
セッション | [埋設物][地下水][防災2] | |||||
座長 | 小西 千里(応用地質株式会社) | |||||
6月8日 | 10:20〜10:40
弾性波速度は密度と弾性定数との複合パラメーターであり、弾性波探査単体ではその分離は難しい.しかしながら両パラメーターを分離することで,地下構造解釈における不確実性の減少が期待される.両パラメーターを分離する上で,宇宙線ミュオンを用いた密度推定手法であるミュオグラフィと弾性波探査とを用いたジョイントインバージョン手法が考えられ,本研究ではF C Mクラスタリングを用いたジョイントインバージョン手法を検討した.簡易的なモデルに対する数値計算により,ジョイントインバージョンによる密度及び弾性波速度の推定結果改善の可能性が示唆された.
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13) ミュオグラフィと弾性波探査とのジョイントインバージョンに関する検討 | ||||
○児玉 匡史・横田 俊之(1),松島 潤(2),田中
宏幸(3),金 政浩・岡本 直也・芝 洋斗(4) 1:産総研,2:東大・院・新領域,3:東大・地震研,4:九大総理工 |
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6月8日 | 10:40〜11:00
我々は直交する偏波を送受信可能な4対の送受信アンテナを備えたMIMO型GPRを開発した.本装置では,偏波間の位相と振幅を同時に計測する完全な偏波散乱行列を取得できるので計測の走査方向にかかわらず,任意の偏波方向のGPR画像を数学的に再現することができる。装置を利用し,埋設管検知を行い,偏波基底の変換により,任意の偏波状態を再現できることを示した.計測対象の配置,方向と関係なく任意の偏波を計測データから再現できることから偏波による検知漏れを防ぐことができる.
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14) フル・ポーラリメトリックMIMO型GPR装置の開発 | ||||
○佐藤 源之・齋藤 龍真(1) 1:東北大学 |
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6月8日 | 11:00〜11:20
2011年の台風第12号では,紀伊半島で多数の深層崩壊が発生し大きな被害が出た.今後の深層崩壊対策では,崩壊危険斜面のリスク評価を適切に行うことが重要である.著者らは,危険度評価手法の1つとして物理探査技術に着目した.奈良県天川村の栃尾地区の斜面において,ヘリコプター及びドローンによる空中電磁探査,電気探査を行った.これらの物理探査による比抵抗分布を,ボーリング調査や地下水位のデータと比較した.なお,ヘリコプター空中電磁探査と電気探査はそれぞれ2012年11月,2021年12月の乾燥期に実施した.ドローンによる空中電磁探査は,断層による地下水の動きへの影響を調査する目的で,2021年10月(出水期)・12月(乾燥期)の2時期行った.物理探査は深層崩壊のリスク評価に有効であることが分かった.また,複数の物理探査を実施することでより精度良く危険度が評価できることが分かった.
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15) 紀伊山系におけるヘリコプター及びドローンによる空中電磁探査を活用した深層崩壊危険度評価手法 | ||||
○木下 篤彦(1),北本 楽(2),山越 隆雄・中谷
洋明(1),河戸 克志・奥村 稔・金山 健太郎・馬場 敬之(3),城森 明(4) 1:国土技術政策総合研究所,2:大規模土砂災害対策技術センター,3:大日本コンサルタント株式会社,4:有限会社ネオサイエンス |
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6月8日 | 11:20〜11:40
東北地方太平洋沖地震の津波により浸水した仙台平野南部沿岸域において、産業技術総合研究所(産総研)は、2012 年から 2013 年にかけて、津波塩水の地下への浸透と塩性帯水層の分布を明らかにするため、周波数領域空中電磁探査(AEM)および地上時間領域電磁探査(TDEM)を実施した。既存研究では、TDEM 法データの逆解析には非線形最小二乗法(NL- LSM)に基づく市販ソフトウェアが利用された。本研究では、Zhdanov(2015)による再重み付け正則化共役勾配(RRCG)と呼ばれる正則化勾配法逆解析を実装し、産総研が取得したTDEMデータに対して適用した。さらに,RRCGコードに水平拘束(lateral constraint : LC)を統合し,複数の観測点データに対して水平方向に連続性を持つ滑らかな比抵抗構造の推定を試みた。そして,LC-RRCGの結果から全測線のTDEMデータにおいて、水平拘束の有効性が確認された。したがって、RRCGと水平拘束を組み合わせたLC-RRCGは、実用的なTDEM法逆解析手法としての利用が期待できる。
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16) 水平拘束を用いたTikhonov正則化共役勾配法による仙台平野南部沿岸域におけるTDEM法データの逆解析 | ||||
○中村 圭佑・上田 匠(1),大熊
茂雄(2) 1:早大,2:産総研 |
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6月8日 | 11:40〜12:00
北海道道東・根釧台地上に分布する森林において、隣接する放牧・耕作地に由来する高いNO3-濃度を持った地下水が地形から判断される分水界を超えて森林渓流に湧出している可能性が指摘されている。地形から判断される分水界と地下分水界とが一致していない可能性があるため、本研究では微動アレイ探査を用いて北海道道東・根釧台地上に分布する森林の地下分水界の評価を行った。微動アレイ探査の結果得られた2次元S波速度構造より、地下分水界が地形から判断される分水界よりも放牧・耕作地側に存在していることを明らかにした。また地形が複雑な森林を中心に観測を実施したため、微動アレイ探査による森林集水域の適用性について考察し、森林のように植物が密集している地域や、沼地における、微動アレイ探査の有用性を示した。
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17) 微動アレイ探査による北海道道東・根釧台地上に分布する森林の地下分水界の評価 | ||||
○渡邊 詩子・小田 義也(1),福島 慶太郎・長澤
耕樹(2),太田 光(1) 1:都立大,2:京大 |
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セッション | 特別講演 | |||||
座長 | 鈴木 敬一 副会長 (川崎地質株式会社) | |||||
6月8日 | 13:00〜14:00 | 地質層序研究をベースにした首都圏の3次元地質地盤情報の整備 | ||||
中澤 努 氏(産業技術総合研究所) | ||||||
6月8日 | 14:00〜15:00 | 物理探査技術者の為の最新DX | ||||
高市 和義 氏(伊藤忠テクノソリューションズ(株)) | ||||||
6月9日(木) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
セッション | [地震][防災3] | |||||
座長 | 山田 伸之(高知大学) | |||||
6月9日 | 9:40〜10:00
長町利府断層帯において2次元微動アレイ探査を実施した。地形判読による前縁の主逆断層より東側において,S波速度構造やH/Vスペクトルピーク周波数が変化していることが確認できた。また,H/Vスペクトルの分布図から,距離程1080m程度から7Hz付近にピークが見られ,国道286号線以東では5?以下のピークを示しており,S波速度構造の変化点とよく対応していることが明らかになった。
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18) 長町−利府線断層帯における2 次元微動アレイ探査 | ||||
○鈴木 晴彦(1),高橋 直也・吉見 瑶子・中村
朋暉・乗松 君衣(2),松山 尚典(1),遠田 晋次(2) 1:応用地質,2:東北大学 |
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6月9日 | 10:00〜10:20
地震ハザードステーション(J-SHIS)における表層地盤増幅率が場所により大きく改定された矢巾町中心部において,半径0.6mの極小微動アレイ観測と半径約10mの小微動アレイ観測を同時に行い、地下30mまでのS波速度構造を求め、地盤増幅率の面分布を把握した。推定したS波速度構造から計算した平均S波速度は193 - 409 m/sであり,西側で小さく、東側で大きな値であった。さらに、推定されたS波速度構造から算定した増幅率は、0.98?1.86の値を示した。矢巾駅東側では観測値が約1.5でJ-SHISが約1.9、国道4号沿いでは観測値約1.3でJ-SHISが約1.5と比較的近い値を示した。しかし、矢巾駅西側では観測値が約1.8でJ-SHISが約1.0と大きな差が生じた結果となった。アンケート震度分布と観測から得た増幅率を比較した結果、矢巾駅西側ではかなり一致していた。
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19) 稠密微動アレイ探査による岩手県矢巾町中心部における地盤振動特性 | ||||
○及川 兼史朗・山本 英和・齊藤 剛(1) 1:岩手大学理工学部 |
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6月9日 | 10:20〜10:40
山形県の庄内平野は1894年庄内地震をはじめとして大きな地震の被害を受けている。そのため今後の地震対策の一環として地盤モデルを作成することが重要であり、その際には工学的基盤の深度分布の把握が重要となる。本研究では微動アレイ探査を実施し、3層もしくは4層構造と仮定して解析したS波速度構造を用いて庄内平野の工学的基盤形状を推定した。さらに微動データを用いた他の手法により基盤標高を推定し、それらの妥当性を考察した。その結果、3または4層構造として求めたS波速度構造による工学的基盤標高は柱状図と比較して妥当な結果を得ることができた。庄内平野の工学的基盤形状は全体として東側から西側に向かってほぼ単調に低くなるが、等高線が東側に張り出すような形状となる地点があることが分かった。また、他の手法による工学的基盤標高の推定結果はいずれも妥当性が低かった。
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20) 微動アレイ探査を用いた庄内平野における工学的基盤形状の推定 | ||||
○太田 光・小田 義也(1),落合 努・荏本
孝久(2),東 宏幸(1),三辻 和弥(3),先名 重樹(4) 1:都立大,2:神奈川大,3:山形大,4:防災科研 |
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6月9日 | 10:40〜11:00
表層地盤の季節変動を理解するために、寒冷地の北見市で表面波探査と微動アレイ探査を実施した.表層の不均質性の探査性能や,地下水位の変化による影響を把握するため,一部にトレンチを開削して砂で埋め戻し,人工的な不整形構造を設定した.浅い表面の季節変動と不規則性を把握するため,受振器は高密度に設置し,アレイ半径は極小として探査を実施した.記録された波形は季節ごとに変化していた.スタッキングした波形からF-Kスペクトルにより,レイリー波の位相速度を求めた.これらの結果により10月から2月までの位相速度の変化を把握した.観測された波群は,冬期間でシンプルになり,位相速度は他の季節よりも高速化した.
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21) 寒冷地の精緻な表層地盤の季節変動把握のための北見市における高密度表面波探査 | ||||
○高井 伸雄・中川 尚郁・岩崎 桃子(1),堀田
淳・野本 真吾・岸川 鉄啓(2),重藤 迪子(3),川尻 峻三(4),津野 靖士(5), 山中 浩明(6) 1:北大,2:ジオテック,3:九大,4:九工大,5:鉄道総研,6:東工大 |
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6月9日 | 11:00〜11:20
凍結等による表層不整形地盤の物性変化が地震動へ及ぼす影響を定量的に評価することを目的に,テストサイトとした北見工業大学・オホーツク地域創生研究パークにおいて,重錘落下測定やボアホール地震観測等の物理探査を実施した.本報告では,実施した観測概要と重錘落下測定データの初期分析結果を報告する.
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22) 寒冷地における不整形地盤の地盤震動特性評価を目的とした北見市での重錘落下測定とボアホール地震観測 | ||||
○津野 靖士(1),山中 浩明(2),高井
伸雄(3),川尻 峻三(4),中川 尚郁(3),重藤 迪子(5),小笠原 明信(6),野本 真吾・岸川 鉄啓・ 堀田 淳(7) 1:鉄道総研,2:東工大,3:北大,4:九工大,5:九大,6:豊田高専,7:ジオテック |
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6月9日 | 11:20〜11:40
地殻構造の解明を目的として、リバースタイムマイグレーション (RTM) に基づく地震波反射イメージング法を遠地地震記録に適用した。RTMイメージングは、順伝播と逆伝播の波動場を計算し、イメージング条件を適用して反射イメージを得る方法である。数値シミュレーションを行い、遠地地震記録を利用する利点と、観測点密度がイメージングに与える影響を検討した。2005年から2009年にかけて近畿地方で観測された定常地震観測点と臨時地震観測点の両方の遠地地震記録を用いたイメージングを実施した。反射イメージ断面では陸側モホと地殻内の反射構造が得られ、レシーバ関数解析、弾性波トモグラフィ、反射法探査の結果と整合的であった。フィリピン海プレートの明瞭なイメージは得られなかった。その理由として、地殻の不均質性や散乱、断面外からの波動の影響に加え、観測点密度や配置、速度構造の影響などが考えられる。
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23) リバースタイム反射波イメージングの遠地地震記録への適用 | ||||
中丸 遼太・○渡辺 俊樹(1),白石 和也(2),澁谷
拓郎(3) 1:名大,2:JAMSTEC,3:京大 |
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6月9日 | 11:40〜12:00
東京都立大学探査工学研究室では2019年度および2021年度に,活火山に認定されている八丈島に地震計を設置して臨時地震観測を行った。発生した地震を検出し,地震波伝播を利用して火山の内部構造を推定するためである。内部構造推定の精度を上げるためにはなるべく多くの地震の検出が必要である。我々はこれまで,地震の検出に深層学習を利用した手法を適用してきた。周りを海に囲まれた島嶼では波浪や強い風によるノイズが発生する。また臨時観測の地震計の設置は常時観測地点に比べると簡易的であることから,八丈島での観測はノイズの発生しやすい状況に加えてノイズを拾いやすい状況にあった。このような状況下で,地震波初動検出のために複数の深層学習による手法を適用してきた。その結果については,本学会において数回にわたって報告してきている。本発表では用いた深層学習の手法に焦点を当ててやや詳細に報告する。
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24) 八丈島における臨時地震観測記録に適用した深層学習による地震波検測手法 | ||||
○東 宏幸・國政 光・鳥取 稜平・小田
義也(1) 1:都立大 |
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