第145回(2021年度秋季)学術講演会 詳細プログラム | ||||||
11月24日(水) 第1会場(61会議室,6F) | ||||||
セッション | [石油・天然ガス][地下水][資源探査1] | |||||
座長 | 後藤 忠徳 (兵庫県立大学) | |||||
11月24日 | 10:00~10:20
日本海東縁山形県酒田沖にある酒田海丘の表層型メタンハイドレート賦存域の海底観察を目的として,ROVを用いた海底面の「高分解能3D画像マッピング」を実施した.高分解能3D画像マッピングは,海底から高度約4~5 mを保ち,レーザースキャニングによる海底面の微細な地形変化と静止画像を合成して,海底面の地形変化と色と位置情報を持つ情報を作成する.メタンハイドレート賦存に関係するメタンガスの供給にともなう岩石露頭とバクテリアマットが,海丘頂部にある陥没地形の内側に頻出しており、それらの分布は一部で重複しているが,岩石露頭の分布のほうがバクテリアマットよりも広い.バクテリアマットの分布は現在のガスの浸み出し域を示唆するが,岩石露頭は過去を含むメタン湧出範囲を示しうることから,酒田海丘頂部における現在のメタンガスの浸みだしは限定的であることが示唆された.
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1) 日本海東縁酒田沖における表層型メタンハイドレート賦存域の海底状況調査 | ||||
○浅田 美穂・佐藤 幹夫(1) 1:産総研 |
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11月24日 | 10:20~10:40
MDRS法は、異なる傾斜の反射波が重畳する状況にも対応できる様にCRS法を拡張したものであるが、この特徴を活かしつつ重合前データを生成する手法を実装した。当然乍ら、CRS法に由来する高SN比と低解像度劣化をもその特徴として併せ持っている。本稿では実データへの適用を通して、高SN達成と欠落オフセットの補完能力を示すとともに、PSTM処理との複合化処理の結果によって、地下構造イメージングの品質向上に資することを示す。
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2) Multi-Dip CRS(MDRS)法による高S/N重合前データの生成 | ||||
○楢原 省吾・清水 英彦(1),佐藤
比呂志(2,3),石山達也(2),赤間 健一(4) 1:地科研,2:東京大,3:静岡大学,4:石油資源 |
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11月24日 | 10:40~11:00
石油や天然ガスなどの流体の産出、増進回収や水圧破砕などによる地下への流体の圧入は、地層の変形や破壊を引き起こすことがある。岩石の変形・破壊を予測・制御するためのジオメカニクスは、カーボンニュートラル社会の実現に向けたCCSへの関心の高まりからも注目されている。近年、ジオメカニクスの関わる諸問題に対してジオメカニカルモデルに基づく検討の流れが確立されてきた。しかし、実際のフィールドではモデルの構築に必要なデータが不足する。そこで著者らは岩石物理モデルの活用を検討することとした。実データを用いた検討では、岩石物理モデルとの比較から部分的なガスの存在によるP波速度の低下が示唆されたことから流体置換を実施した。流体置換前後の弾性波速度データに基づくジオメカニカルモデルを比較し、出砂評価への影響を確認した。今回の初期的な検討を端緒として今後の岩石物理モデルの活用場面の拡大を期待したい。
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3) 石油フィールドでのジオメカニカルモデル構築と岩石物理モデルの活用例 | ||||
○柏原 功治・内田 優・井上 響平(1) 1:石油資源開発 |
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11月24日 | 11:00~11:20
月開発の動きは近年で加速しており,月面での水氷の獲得が注目されている.ただし,現在月に存在していると考えられている水氷の分布や量は明らかになっていない.もし,氷の含有率と弾性波速度の関係が分かれば,弾性波探査によって水氷を見つける際の定量化につながる.そのため,本研究では月の砂を模擬したレゴリスシミュラントのデジタル画像デー タに数値シミュレーションを適用することで,氷の含有率と弾性波速度の関係性を調べた.デジタル上で氷を加えるために,Quartet Structure Generation Set (QSGS)を用いた.その 結果,氷の分布状況により,氷の含有率の増加に伴うS波速度の変化傾向が異なることが分かった.数値シミュレーションによる結果のうち,より大きな氷のクラスターが分布している場合に,室内実験結果に近い結果が得られた.本研究により,弾性波速度と氷の含有率の関係から,粒子内での氷の分布を求められることが明らかとなった.
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4) デジタル岩石物理及び室内実験による月レゴリスシミュラントの氷含有率とS波速度の関係 | ||||
○國増 貴明・澤山 和貴・池田 達紀・辻
健(1) 1:九大 |
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11月24日 | 11:20~11:40
近年,深層学習を利用した電磁探査データの逆解析が提唱されている.本研究では,深層学習を用いた電磁探査データの逆解析の利点を,(1)初期モデルが不要,(2)大量の測定データを高速に解析可能,として,深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いた逆解析を周波数領域空中電磁システムに適用した.松本・上田 (2021) は,空中電磁探査データに対する深層学習逆解析の有効性を確認し,既存の手法(Gauss-Newton法)による結果と良い一致を示した.しかし,DNNの性能を最大限に引き出すには,人工教師データを生成するアルゴリズムや説明変数の構成が不十分であると考えられた.そこで,人工教師データの作り方を見直し,特徴量やガウスノイズを加えることでDNNの性能向上を図った.その結果は松本・上田(2021)よりも安定し,Gauss-Newton法を用いた1次元逆解析の結果とも調和的であった.
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5) 深層ニューラルネットワークを用いた周波数領域空中電磁探査データ逆解析の改良と実装 | ||||
○西野 玉城・上田 匠(1) 1:早大 |
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セッション | [構造物][岩盤][土木1] | |||||
座長 | 地元 孝輔 (香川大学) | |||||
11月24日 | 13:00~13:20
音波照射加振とレーザドップラ振動計(LDV)を用いた非接触音響探査法では,遠隔からコンクリート内部欠陥の検出が可能であり、既に様々な場所で実証実験が行われている。しかしながら、従来は比較的凹凸の少ない面で計測が行われていた。そこで今回は、地下大空洞天井部の吹付けコンクリートに対して適用実験を行った。実験結果から、凹凸のある吹付けコンクリート面であっても、約25mの遠距離からハンマー点検と同程度の欠陥部の検出が行えることが明らかになった。
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6) 非破壊検査のための非接触音響探査法に関する研究 -地下大空洞天井部の吹付コンクリート面における適用- | ||||
○杉本 恒美・杉本 和子(1),森岡 宏之(2),歌川
紀之(3) 1:桐蔭横浜大学院,2:東京電力ホールディングス㈱,3:佐藤工業㈱技術研究所 |
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11月24日 | 13:20~13:40
地中基礎や人孔躯体等の地中コンクリート構造物は,製作年代や地質条件等に応じて劣化が進んでいることが懸念される.そのため,構造物の長寿命化を図るには,定期的な健全性の把握による維持管理が必要である.しかしながら,鉄筋腐食等の劣化は表面からの目視だけでは把握することが困難な場合もあるとともに,削孔を伴う調査は多大なコストや構造物へのダメージ等の課題がある.そこで,できるだけ非破壊でコンクリート構造物の検査を行う手法の確立が望まれているものの,状態評価する手法の確立までには至っていない.非破壊での測定が可能な物理探査から得られる物性値,例えば,弾性波速度や比抵抗から,強度等のコンクリート品質に関する情報を得られる可能性があるが,定量的な評価までを行うには,コンクリート品質に関する情報が既知である供試体等を用いた試験による検討を行う必要がある.本研究では,様々な種類・条件のコンクリート供試体に対して,弾性波速度や比抵抗を測定する室内試験を行い,コンクリートの品質との相関性を検討した.
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7) コンクリートの弾性波速度・比抵抗に関する検討 | ||||
○窪田 健二・森藤 遥平・大塚 拓・金光
俊徳(1) 1:電中研 |
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11月24日 | 13:40~14:00
コンクリートダムでは、コンクリートの継ぎ目に沿ってひび割れが発生しやすい。そのため、ひび割れの早期発見・対処が必要である。表面波(レイリー波)はひび割れを通過すると、振幅が減衰する。この現象を利用することにより、表面波の振幅減衰率からひび割れの深さを推定することができる。先行研究では、軟らかい地盤を用いた実験による経験式やエネルギー遮断の考えに基づいた理論計算が提唱されている。本研究では、実際のコンクリートダムで実験を行い、先行研究よりも硬い媒質であるコンクリートにおけるこれら二つの手法の有用性を検証した。推定結果に対してコアリング結果を真値として考察すると、誤差数%~10%程度と非常に良い結果が得られた。
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8) 表面波の減衰効果を利用したコンクリートのひび割れの深さ推定 | ||||
○南 佳希・東 宏幸・小田 義也(1),高橋
亨(2),尾西 恭亮(3),磯 真一郎(2) 1:都立大,2:深田地質,3:土研 |
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11月24日 | 14:00~14:20
地下深部の岩盤について、透水性分布の把握が必要となっている。本研究では、統合物理探査を用いて亀裂性花崗岩の透水性を推定するための岩石物理モデルの構築を試みる。我々の提案するモデルは、小スケールのインクルージョン(マイクロフラクチャ)を含む基質部モデルと、より大きなスケールのインクルージョン(マクロフラクチャ)を含む全岩モデルの2段階で構成されている。本研究ではまず、マクロフラクチャを含まない健岩部に基質部モデルを適用した後に、亀裂性花崗岩に対して全岩モデルを適用する。弾性波速度の理論値は二相媒質での計算式から、また比抵抗の理論値は修正アーチーの式からそれぞれ算出する。また透水係数については、修正アーチーの式の各パラメータから算出することが可能である。この岩石物理モデルの妥当性について、野外の物理探査データを用いて検証した。岐阜県の土岐花崗岩地域での検層データに基づいて、弾性波速度・比抵抗に関する岩石物理モデルを構築した。これに基づいてフラクチャ間隙率や透水係数を推定し、測定値と比較した。その結果、いずれの推定値も測定値とよい一致を示したため、この岩石物理モデルの妥当性が確認できた。
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9) 亀裂性岩盤の弾性波速度・比抵抗・透水性に関する岩石物理モデルの提案 | ||||
○後藤 忠徳(1),川口 草太(2),尾崎
裕介(3),大田 優介(4),久保 大樹・柏谷 公希・小池 克明(5) 1:兵庫県立大,2:中央復建,3:JAEA,4:名大,5:京大 |
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11月24日 | 14:20~14:40
反射法地震探査は、一般的に堆積物の地層境界や基盤岩上面に着目した評価に用いられている。一方で、硬質な岩盤に関する評価の事例は数少ない。そこで本研究では、硬岩サイトで実施された、反射法地震探査と2つのボーリング孔を使用した弾性波トモグラフィ、PS検層を比較し考察した。反射法地震探査データとトモグラフィデータを比較すると、それらの速度構造の形状と深さはほとんど同じであった。また、反射法地震探査データとPS検層データを比較すると、反射面付近において若干の速度差が認められた。地質学的データも踏まえると、この反射面は岩石の硬さや亀裂の数の若干の差による速度差によって形成された可能性があることが示唆される。
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10) 硬岩サイトにおける反射法地震探査とその他の調査方法との比較 | ||||
○久岡 慎吾・審 浩年(1),山田 浩二(2),岩森
暁如(1),井上 大榮(3) 1:関西電力,2:阪神コンサルタンツ,3:電力中央研究所 |
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11月24日(水) 第2会場(63会議室,6F) | ||||||
セッション | [地熱][火山] | |||||
座長 | 小原 大輔 (日本工営株式会社) | |||||
11月24日 | 13:00~13:20
北海道森地熱フィールドにおいてDAS地震探査をおこなった。光ファイバーをF1抗井内の2100m深度に設置した。中型IVI震源を8か所で用いた。DASデータに対し480回のスタックをおこなった。DAS記録に対しF-Kフィルターを適用し直達波、反射波の分離をおこなった。これから数か所での反射波と1060m付近の初動走時不連続を確認した。東西、南北方向の走時インバージョンを実施し2D速度分を求めた。これを用い理論DAS波形を計算した。1060m深度の初動走時の初動走時不連続の説明は容易ではない。
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25) 北海道森町濁川地区におけるDAS地震波探査 | ||||
○笠原 順三・羽佐田 葉子・大沼 寛・久詰
陽康(1),三ケ田 均(2) 1:エンジニアリング協会,2:京都大学 |
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11月24日 | 13:20~13:40
地熱開発において,坑井近傍の複雑な地下構造や熱水流動の把握は重要である。本研究では,AサイトとBサイトの2地点で微小地震モニタリングを行い,坑井近傍で観測された微小地震を精査して地下構造・流動の推定を行った。Aサイトでは観測期間中に2度,微小地震が活発化した時期(以下,活性期間と呼ぶ)があった。Bサイトでは観測期間中に3回の噴気試験が行われた。これらの期間に発生した微小地震に注目した。Aサイトでの全期間の微小地震発生数はローカルマグニチュード(M)が-1.5~-0.5の地震が最も多かった。活性期間中の微小地震に関してローカルマグニチュード分布の大きな変化は見られなかったが,発生深度は深くなった。Bサイトにおいては噴気期間中の微小地震の増加は見られず,ローカルマグニチュードの比較的大きな地震(M≧2)も発生しなかった。
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26) 微小地震探査による地熱井近傍の構造推定 その1 | ||||
○田中 勇希・岡本 京祐・浅沼 宏(1),青木
直史(2),大里 和己(3),小野寺 真也(4) 1:産総研,2:地科研,3:地熱技術開発,4:JOGMEC |
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11月24日 | 13:40~14:00
坑井近傍の断裂系構造や,熱水の広がりを把握することは,効率的・持続的な地熱開発に不可欠である。高精度に断裂系の把握を行うためには,人工震源と高密度な観測点配置を利用した反射法探査が有利であるが,コストや地熱地域特有の急峻な土地の制約があり,繰り返しの実施や,大規模に実施することは難しい。そこで本報告では,坑井近傍で発生する微小地震を利用した受動的な探査手法に焦点を当てる。対象フィールドは日本国内の2地熱開発地域であり,それぞれ1年以上の期間で微小地震観測を実施している。震源決定,メカニズム解析,トモグラフィ解析等を組み合わせて,坑井近傍の貯留層構造・挙動を把握した事例を紹介する。
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27) 微小地震探査による地熱井近傍の構造推定 その2 | ||||
○岡本 京祐・田中 勇希・浅沼 宏(1),青木
直史(2),大里 和己(3),小野寺 真也(4) 1:産総研,2:地科研,3:地熱技術開発,4:JOGMEC |
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11月24日 | 14:00~14:20
2002年に, 八丈島付近では火山活動が活発化したことが報告されている(木股ほか, 2004). 火山の噴火リスクを評価するために, 我々は自然地震による地下構造の解明を目指している. 自然地震による地下構造解析を精度良く行うには, 正確な多くの地震波初動が必要である. しかし, 八丈島付近は地震活動が低調なため, 発生する地震数が少ない. また現在, 地震波初動の同定は手動で行われているため労力と時間がかかる. そこでTransformerを用いた深層学習モデルとしてEQT(Mousavi et al., 2020)を八丈島臨時地震観測データに適用し, 誤検出を減らし,地下構造解析に使用する地震数の増加と, 初動同定の自動化に加えて,その精度向上を目指した.
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28) Transformer を用いた深層学習による地震波自動検測 −八丈島臨時地震観測データへの適用− | ||||
○國政 光・鳥取 稜平・東 宏幸・小田
義也(1) 1:都立大 |
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11月24日 | 14:20~14:40
本論は、2019年度に八丈島で取得された稠密微小地震観測データに地震波干渉法を適用し、その結果にどのような特色があるか考察したものである。さらに、観測期間中、八丈島付近を台風15号が通過したため、台風通過前後のデータに地震波干渉法を適用し、その結果を比較した。地震波干渉法とは、ある2地点間で観測された地震波記録の相互相関関数を算出し、一方の観測点を震源とし、もう一方の観測点を受振点とするような波動場を合成する手法である。解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島において計46地点で行われた臨時稠密地震観測データを用いた。その結果、比較的対称性の良い相互相関関数を得ることができた。しかし、波向や風向によっては振動源に偏りが生じ、それが対称性に影響することがわかった。
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29) 八丈島における稠密微小地震観測データへの地震波干渉法の適用 | ||||
○渡邊 詩子・東 宏幸・小田 義也(1),渡辺
俊樹(2) 1:都立大,2:名大 |
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11月24日(水) コアタイム:第1会場,展示:第1会場前通路・オンラインフォルダ | ||||||
セッション | [ポスター(コアタイム1)] | |||||
座長 | 柏原 功治 (石油資源開発株式会社) | |||||
11月24日 | 15:00~15:50
三次元電気探査では負の見かけ比抵抗が観測されることがある.一般的に電気探査の解析は見かけ比抵抗の対数を入力データとして用いることから,負の見かけ比抵抗は削除して解析する必要があった.本稿はまず,負の見かけ比抵抗が生じる要因について検証するために数値実験を実施した.その結果,地形や三次元的な比抵抗構造によって負の見かけ比抵抗が生じることがわかった.次に,負の見かけ比抵抗を用いた解析が可能なベクトル解析の有用性について検証するために数値実験を実施した.ベクトル解析は直交2方向で得られたデータを振幅と方位に変換して解析する方法である.この手法を用いることで振幅は常に正の値を取り,対数領域で扱うことが可能である.従って,ベクトル解析は負の見かけ比抵抗を含んだデータに対して有効な解析手法である.数値計算の結果,ベクトル解析は従来の解析手法と比較してノイズに強い解析手法であることが分かった.
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P-1) 三次元電気探査データに対するベクトル解析の適用 | ||||
○木佐貫 寛・櫻井 健(1) 1:応用地質(株) |
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11月24日 | 15:00~15:50
複雑な海底下比抵抗構造を明らかにするために,3次元海洋電磁(CSEM)調査が用いられてきた。従来の3次元海洋CSEM調査では,数十台の海底受信機と数本の送信機曳航線が使用される。3次元CSEM探査のコストは,設置する海底受信機の数に大きく依存する。従来の3次元海洋CSEM探査では,10台以上の海底受信機を使用していたため,調査コストが高いという問題点がある。そこで,本研究では少ない数の海底受信機を使用する費用対効果の高い3次元海洋CSEM調査を提案する。この提案されたCSEM調査では,調査領域の中央に一列の海底受信機を設置する。数値実験の結果,提案されたCSEM調査は,35台の受信機を用いた従来の手法に比べて80%少ない7台の受信機で,従来の手法と同等の精度で海底下比抵抗構造マッピングを行うことができることを明らかとなった。この結果は,提案した手法の費用対効果の高さを示している。
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P-2) 効率的な3次元海洋電磁探査法 | ||||
○石須 慶一(1),Weerachai
Siripunvaraporn (2),後藤 忠徳(3),小池 克明(4),笠谷 貴史(5),岩本 久則(6) 1:東工大,2:マヒドン大学,3:兵庫県立大学,4:京都大学,5:JAMSTEC,6:日本海洋事業 |
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11月24日 | 15:00~15:50
高温・高圧の超臨界状態にある地下流体は,様々な火山の地下に存在すると考えられている。高温・高圧の超臨界水を利用する超臨界地熱発電は,従来の地熱発電に比べて出力を大規模化することが可能であるため,その開発が期待されている。超臨界地熱発電の開発に向けて,超臨界地熱貯留層の空間分布と流体割合を理解する必要がある。しかし,超臨界地熱貯留層の空間分布と流体割合については,これまで明らかとされていない。そこで,本研究ではMT法を用いて,東北地方の湯沢地熱フィールドにある超臨界地熱貯留層の空間分布と流体割合の情報を得た。その結果,幅3km×長さ5km,深さ2.5~6kmの超臨界地熱貯留層が存在し,その流体割合は0.5~2%,流体中の塩分濃度は5~10wt%と推定された。
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P-3) MTデータによる超臨界地熱貯留層の空間分布と流体割合の推定:東北湯沢地熱域での例 | ||||
○石須 慶一・小川 康雄(1),布原 啓史・土屋
範芳・市來 雅啓(2),長谷 英彰(3),神田 径(1),坂中 伸也(4),本蔵 義守・日野 裕太(1),他 1:東京工業大学,2:東北大学,3:地熱技術開発,4:秋田大学 |
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11月24日 | 15:00~15:50
地熱貯留層の正確な位置を効率的に探査するために,従来の探査と比べて安価で短期間に実施できる微動を用いた表面波トモグラフィの適用性を九重地熱地域で検討した.長期観測した微動データの相互相関処理から観測点間ごとの表面波を抽出し,zero-cross法によって推定した分散曲線をもとに,表面波トモグラフィにより三次元S波速度構造を推定した.その結果,低深度で地熱貯留層に関連する破砕帯を反映していると考えられる低速度異常が確認された.また本研究で推定した地下構造と自然地震を用いた先行研究を比較したところ,既存の自然地震を用いた探査結果に比べ,地震計の密度が少ないため水平分解能は低いが,表面波を用いた本研究の方が,浅部の深度方向の解像度がより高いことがわかった.このことから,微動を用いた探査は地熱地域においても有用であると明らかになった.
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P-4) 雑微動を用いた表面波トモグラフィによる地熱地域の3次元S波速度構造 | ||||
○荒巻 健・池田 達紀・辻 健(1),山浦
悠貴(2) 1:九大,2:WJEC |
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11月24日 | 15:00~15:50
There are many pores and cracks in the underground rock. Moreover, some of them are hydraulically interconnected and others are disconnected; besides, some properties of the fractures are frequency dependent, meaning that seismic exploration has the potential to become a good tool to characterize underground rocks. However, the physical explanations are insufficient, which limits application of seismic exploration. Seismic waves propagation could cause the deformation of cracks and fluid will flow in hydraulically interconnected cracks. Therefore, it is necessary to build a model to study fluid flow caused by the wave propagation for the reason that fluid flow causes energy loss which leads to the wave attenuation and velocity dispersion. We build a numerical model to simulate the wave-induced fluid flow by applying constitutive relationship and Navier-Stokes equations to describe solid phase and fluid phase, respectively.
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P-5) Simulation-based rock physics modeling for wave-induced fluid flow in fractured media | ||||
○王 暁亮・松島 潤(1),モハメド アリ・ファテー
ブチャアラ(2) 1:東京大学,2:カリファ大学 |
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11月24日 | 15:00~15:50
近年,反射法地震探査でよく使用されるエアガンなどのパルス型振源が海洋生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されるようになり、環境保全の観点から探査の実施が制約されることが多くなってきた。環境規制が厳しい海域では、探査自体が中止になることもある。特に三次元地震探査に至っては、漁業活動が活発で航行船舶も多い沿岸域においては、地震探査の空白域化が進みつつある。私達の研究室では、この問題を解決するべく、沿岸域でも実施可能な同時発振式の探査システムを開発してきた。ここで、同時発振式とは、複数の振源と1本の受振ケーブルによって三次元データを取得する方式を指す。振源としては、非パルス波振源である水中スピーカーを用いている。本研究では、2021年7月に沼津沖で実施した三次元地震探査実験の結果について報告する。
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P-6) 複数の非パルス波振源を用いた海上三次元地震探査実験 | ||||
○黒澤 礼真・高中 一希・須藤 遼・甘糟 和男・鶴
哲郎(1) 1:東京海洋大学 |
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セッション | [ポスター(コアタイム2)] | |||||
座長 | 落合 努 (神奈川大学), 小鹿 浩太 (応用地質株式会社) | |||||
11月24日 | 16:00~17:30
InSAR (干渉合成開口レーダー) とは, ある観測地域に合成開口レーダーを複数回照射し, 対象物に当たって反射された電波を観測することで, その地域における地表面の様子及びその変位を解析する手法である. 2021年8月14日にハイチ共和国南西部を震源とした地震が発生した. 対象地域の被害の様子や地震の発生メカニズムについて考察を行うため, 地震前後の地殻変動について, D-InSAR (差分干渉SAR) の原理を用いて解析を行った. 解析に用いたのはALOS-2のデータ2ペアで, いずれのペアも北行右向き照射のデータで構成されている. 作成した干渉画像より, 今回の地震による震源の西側地域の地殻変動を検出することが出来た. また, ハイチ共和国の南部を東西に横切るエンリキロ断層が今回の地震に関与していると考えることが出来る. 以上より, 干渉画像の中央部に, 同断層に沿った震源断層があると推測した.
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P-7) InSARで捉えた2021年ハイチ地震の地殻変動 | ||||
丸藤 大樹・田代 貴久・○鈴木 浩一(1) 1:北大 |
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11月24日 | 16:00~17:30
近年,世界的に異常気象に見舞われている.日本国内においても台風,ゲリラ豪雨,地震などに伴う洪水や土砂災害が毎年のように発生している.本研究は,ALOS-2/PALSAR-2画像およびSentinel-1A/1B画像を用いた干渉SAR解析の結果と様々な現地データから土砂災害発生前後の地盤変動の抽出とモニタリングの可能性を考察するものであり,特にタイムリーな発災危険地域の迅速な抽出を目指すものである.解析は近年災害が発生した地域からいくつか選定し,その災害の発生前後の時期に取得された衛星画像データを用いて行った.崩壊地予測の結果は,国土地理院の空中写真等より判読したポリゴンデータとよく一致している.しかし,SAR照射方向の影響が強く,本地域では西側斜面でより崩壊地と非崩壊地の分離性が低いことや誤検出が多いことなど改善点があり,それらは今後の課題である.
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P-8) 防災・減災のための干渉SAR解析技術の利活用について | ||||
○中村 貴子・松島 潤(1),六川
修一(2) 1:東大,2:防災科研 |
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11月24日 | 16:00~17:30
三成分常時微動測定や微動アレイ探査、表面波探査などから得られたS波速度(Vs)構造や分散曲線、H/Vなどの測定結果や解析結果を整理して、インターネットを通して一般に公開することが可能なデータベース(DB)を構築した。地表で観測される地震動は、その地盤の特性によって大きく異なるが、このような地盤の特性を表す指標として地盤のVs構造や固有周期(H/V)は大変重要である。そこで筆者らは、地盤のS波速度構造やH/Vを簡単に測定・解析しDB化して広く共有することが可能なシステムを構築した。本システムは、携帯端末を用いてほぼ自動的にデータの測定・解析および結果のDBに登録することが可能であり、誰でも簡単に測定・解析とDBへの登録を行うことができる。本DBは、他の研究機関が公表している浅部および深部の地盤上のDBと併せて用いることもできる。本論文では、DBの概要とその利用例、特に関東地方平野部における高密度なH/Vの測定結果を紹介する。
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P-9) 物理探査の自立自発型データベース -関東地方平野部におけるH/Vの高密度測定- | ||||
○林 宏一(1),鈴木 徹(2),小西 千里・松山
尚典・鈴木 晴彦(1) 1:応用地質,2:モニー物探 |
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11月24日 | 16:00~17:30
福山平野において稠密な常時微動測定を実施し,地盤の卓越振動数およびH/Vスペクトル比から地盤構造を推定した.いずれの測定点においても表層のS波速度は350m/s前後の値となったが,表層の層厚は南東方向にむかって徐々に厚くなっていた.福山平野は江戸時代以降の干拓事業によって造成されており,それ以前は,北西部に旧芦田川の河口をもつ海域であった.表層の層厚分布は,旧芦田川によって運ばれた土砂が扇型状に堆積し,遠浅の海を形成していたことを示している.ただし,平野部においても表層が極端に薄くなっている地域もあり,これは,旧岩礁地帯の存在を示唆している.
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P-10) 常時微動測定に基づいて推定された福山平野直下の旧海底面形状 | ||||
○向井 厚志(1) 1:福山市大 |
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11月24日 | 16:00~17:30
静岡県掛川市の大渕地区において,海岸平野下の浅部地下構造をイメージングすることを目的としてS波ランドストリーマー反射法地震探査を実施した.その後探査測線近傍で掘削された2本の層序ボーリング孔でS波速度検層を追加実施した.一連の反射法地震探査データ処理を経て作成したマイグレーション後深度断面には,標高−10m付近に顕著な反射面が認められた.この反射面は測線南側ではほぼフラットであったが,測線北側山付き部で浅くなり,また埋没谷構造が認められた.この埋没谷中軸および北翼部で掘削されたボーリング孔でのS波速度検層結果は層相および反射断面と調和的であった.今後S波VSP処理を追加し断面解釈の信頼性を向上させる予定である.
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P-11) S波ランドストリーマー反射法探査およびS波速度検層による海岸平野下の浅部地下構造イメージング | ||||
○稲崎 富士(1),松多 信尚(2),楮原
京子(3),岡田 真介(4),中西 利典(5),堀 和明(6),中埜 貴元(7) 1:産総研,2:岡山大,3:山口大,4:岩手大,5:ふじミュー,6:東北大,7:地理院 |
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11月24日 | 16:00~17:30
産総研地質調査総合センターが2002年から10年間にわたって実施した都市地質プロジェクト研究のなかで,筆者は2003年から2006年にかけて東京低地および中川低地において高分解能反射法地震探査を担当した.この間に実施した反射法地震探査は延べ8測線,測線長は約10kmに及んだ.これらのうち5測線の断面は散発的に公表してきたが,3測線については処理結果が未公表のままであった.そこで全測線データに対して再処理解析を行ない,断面に対して統一的な解釈を行なった.特に振源装置が測線ごとに異なり,一部にリバウンド等のノイズの重畳が認め得られたことから装置に改良を加えるとともに,ショットコヒーレントノイズ低減処理を施した.探査断面には起伏する沖積層基底面と上位の沖積層内部構造が明瞭に捉えられており,測線近傍で実施した層序ボーリング,3次元沖積層基底構造マッピング結果と調和的であった.
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P-12) 東京低地および中川低地で実施した高分解能反射法探査データの再処理解釈 | ||||
○稲崎 富士(1) 1:産総研 |
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11月24日 | 16:00~17:30
仙台平野南部に分布する伏在活断層は,これまでの研究によりその北端は,名取市増田付近であり,長町—利府断層帯の苦竹伏在活断層とは連続しないことが明らかにされている。本研究では,仙台平野南部の伏在活断層の南端を明らかにするために,宮城県亘理郡山元町付近において平野を東西に横断する4本の測線を設定し,重力探査を実施した。得られた重力値からブーゲー重力異常を求めた結果,北側の2本の測線では,地下の伏在活断層に伴う重力変化が確認できた。一方,南側2本の測線では,伏在活断層の延長上に有意な変化が認められなかった。これらのことから,仙台平野南部の伏在活断層の南端は,宮城県亘理郡山元町高瀬付近である可能性が高く,伏在活断層は北部の名取市増田付近から約25 kmにわたって連続していると考えられる。
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P-13) ブーゲー重力異常を用いた仙台平野南部の伏在活断層の南方への連続性 | ||||
○岡田 真介(1),安保 亮汰・岡田
知己(2) 1:岩手大,2:東北大 |
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11月24日 | 16:00~17:30
ポテンシャル量から物性値の3次元分布を推定するproperty inversionでは,地震波トモグラフィにおけるパーターベーションに相当するイメージしか得られず,実際の地質体との対比が難しいことが多い.これに対して,Sun (2015),Sun and Li (2012, 2016 , 2017)は,地質体との直接的な対比(geological differentation)を可能とするように,Fuzzy c-mean (FCM) clusteringを拘束条件として導入したインバージョン法を提案している.それをうけて,筆者らはSunらのFCM clustering拘束と,それを補強する独自設計の拘束条件を導入したクラスタリング・インバージョンの開発を行っている.これより,geological differentationが容易となる反面,パラメータ依存性が強いという特徴を確認している.ここでは,堆積盆構造解析の一例として,酒田平野の重力異常・磁気異常にクラスタリング・インバージョンを適用した結果を示し,その有効性および課題について報告する.
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P-14) geological differentationを目的としたポテンシャル量のクラスタリング・インバージョンの開発 | ||||
○中山 英二(1),東中 基倫(2) 1:所属なし,2:地球科学総合研究所 |
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11月24日 | 16:00~17:30
浅層のメタンガス層を弾性波探査の対象とする場合、使用する周波数が高くなるため、孔隙内に存在するメタン気泡の大きさが波長に対して無視できなくなるために、メタン気泡に伴う散乱現象や気泡の共鳴振動による影響を扱う必要性が出てくる。波動伝播に伴う気泡の共鳴振動により生ずる弾性波速度ならびに弾性波減衰の周波数依存性に関するAnderson and Hampton (1980)の理論式で示された現象を検証することを目的として、気体を含んだ砂層における波動の共振現象を実験的に観測することを試みた。その結果、有意に共振現象が確認された。砂層中にバブルが混入するとP波波動伝播エネルギーは減衰すると理解されていることが多いが、ここでは共振現象により大きなエネルギーが伝播していることが観測された。また、これまで気体を含んだ砂層におけるS波の伝播特性を調査したところ、P波に比べてS波の方が砂層中に滞留するバブルの変化への感度が大きいことが観測された。
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P-15) 気体を含んだ砂層における超音波伝播特性に関する室内実験 | ||||
○松島 潤(1),鈴木 誠(2),Pingchuan
Zhong・水野 勝紀(1) 1:東大院・新領域,2:東大院・工学系 |
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11月25日(木) 第1会場(61会議室,6F) | ||||||
セッション | 講演者企画:インフラ維持管理のための非破壊探査 | |||||
座長 | 喜多村 陽 (JX金属探開株式会社) | |||||
11月25日 | 10:00~10:20
我が国の上水道・工業用水は,その多くが法定耐用年数の40年を超えて老朽化が進んでいる.水道管の腐食は,土壌の比抵抗と強い関係が知られている.自治体の一部は,開削調査を行っている.しかしながら,この方法は,コストや時間,労力の負担が大きく大幅な実施が困難である.産総研は,高周波交流を用いて,アスファルトやコンクリート路面上から土壌の比抵抗を計測し,水道管が埋設されている深度における土壌の比抵抗値から,腐食性土壌を判断する調査技術の開発を行ってきた.本技術により,今後ひっ迫する老朽水道管の更新優先度の決定への貢献が期待される.
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11) 高周波交流(VLF-AC)電気探査による水道管周囲の腐食土壌調査 | ||||
○神宮司 元治・横田 俊之(1) 1:産総研 |
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11月25日 | 10:20~10:40
日本では水道施設の漏水事故が増加している.これらの事故の原因の一つは水道管の腐食によるものと考えられる.水道管の腐食は周辺土壌の比抵抗に依存することが知られている.土壌の比抵抗を測定する従来の方法は,開削によって採取された土壌サンプルを使用して測定するか,舗装を剥いで測定する必要があった.産業総合技術研究所(産総研)で開発された高周波交流(VLF-AC)電気探査は,舗装の上から効率的に地盤の比抵抗分布を調べることができる.したがって、このシステムは腐食土壌リスクを評価するうえで役立つと考えられる.我々の会社は,高周波交流(VLF-AC)電気探査装置の技術移転を産総研から受け,その同じシステムを自社で作成した.我々は,日立市の既設水道管区域でこのシステムの実証実験を行う機会を得られたため,その結果を報告する.
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12) 高周波交流(VLF-AC)電気探査システムを使用した日立市における実証実験 | ||||
○千鳥 雅由・河野 秀紀・金田 朋之・鈴木 文大・鵜川
英明・古賀 遼平・河村 茂樹(1),狩野 嘉昭(2),神宮司 元治(3) 1:日本物探,2:ジオライト,3:産総研 |
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11月25日 | 10:40~11:00
高周波交流電気探査装置は,簡易に多点の垂直探査(1次元探査)を行うことが可能である.その一方で,水道管や車道・堤防などの土木インフラは,長距離に渡るものも多く,牽引型の測定システムが適していると考えられる.高周波交流電気探査装置で用いられているPVAスポンジ電極は,非絶縁型の電極であり,移動中の接地抵抗の変化によって比抵抗測定が影響を受けないかどうか,確認する必要があった.そこで,一時停止し計測する方法と連続して牽引する手法の比較測定を行った.その結果,一時停止する計測方法では,良好な再現性を得られるのに対し,移動方法ではGPS精度に問題があることが分かった.
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13) UGVを用いた牽引型高周波交流(VLF-AC)電気探査システムの開発 | ||||
○神宮司 元治・横田 俊之・梅澤 良介(1),井手
健斗(2),狩野 嘉昭(3),千鳥 雅由・鈴木 文大・河野 秀紀(4) 1:産総研,2:早稲田大学,3:ジオライト,4:日本物理探鑛 |
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11月25日 | 11:00~11:20
高周波交流電気探査は高周波の交流を使用しているため,深部測定や大地の比抵抗が低い場合,測定される電位(電場)から直流電気探査(比抵抗法)の見掛比抵抗変換式で求めた見掛比抵抗は,直流比抵抗法の見掛比抵抗よりも表皮効果により小さくなる.そのため,高周波交流電気探査の解析を直流比抵抗法による解析法で行うと,実際の地中比抵抗よりも低い値を示すことがある.そこで,高周波電流における周波数効果(表皮効果)を内包する計算アルゴリズムに基づく電磁探査法の解析法に注目した.一般的な直流比抵抗法の解析法では,直流電流による電位の測定(静電場)を想定しているため周波数の影響は考慮されないが,電磁探査法の解析法では周波数を変えて計算することができる.本稿では,電磁探査法の解析法による電気探査法の解析についての検討を行うとともに,高周波交流電気探査の応答特性を確認し,深部探査への適用性についての検討を行った.
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14) 高周波交流電気探査の深部探査への適用を想定した表皮効果の検討 | ||||
○井手 健斗・上田 匠(1),横田 俊之・神宮司
元治(2) 1:早大,2:産総研 |
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11月25日 | 11:20~11:40
地表面に電極を打設しない非打設電気探査は、簡便かつ効率的に調査できるという特徴があり、これまで多くの技術開発が行われてきた。その中の一つにポリビニルアルコール(PVA)スポンジを非打設電極として用いるVLF-AC電気探査がある。しかし、本手法は20 kHzという高周波の交流電流を用いるため、表皮効果の影響で深度が深い場合に見掛比抵抗の低下がみられ、直流電気探査と同様の深部探査を行うことに問題があると指摘されている。一方で、PVAスポンジ電極は、多くの非打設電極で用いられるキャパシタ電極と異なり非絶縁電極であるため、直流でも測定可能であると考えられる。そこで本研究では、PVAスポンジ電極を用いて、直流を使用した電気探査が可能か調べた。実験では同測線上において、通常の打設電極とPVAスポンジ電極を用いた直流電気探査を行い、測定値を比較した。その結果、PVAスポンジ電極を用いても、打設電極と同様の結果を得られることがわかった。
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15) 非打設電極を用いた直流電気探査 | ||||
○梅澤 良介・神宮司 元治・横田
俊之(1) 1:産総研 |
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11月25日 | 11:40~12:00
近年,無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle : UAV)や無人地上車両(Unmanned Ground Vehicle : UGV)といったドローンの研究開発が進んでおり,インフラ整備,環境調査,土木等の様々な分野で応用されている。また,地表からの深度数メートルから数十メートルまでの浅層における様々な問題が顕在化しており,地盤を掘削することなく,広範囲なエリアを効率よく調査する技術として物理探査の必要性が高まっている。このような背景を踏まえ,本研究ではでは単一周波巣数・マルチコイル型電磁探査装置とUGVを組み合わせた新しい浅部探査用の電磁探査法システム(UGVEMシステム)の開発に着手した。そして,茨城県古河市,宮戸川の堤防の一部でUGVEMシステムを活用した野外実験を実施した。測定結果から,見掛比抵抗断面図を作成して評価を行い,現場の状況とも整合性の取れる信頼性の高いデータ取得が観測されたことから,UGVEMシステムの浅層地盤の比抵抗構造を効率的に調査する手法としての有効性を確認した。
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16) UGVを用いたマルチコイル型電磁探査システムの基礎研究 | ||||
佐竹 海・井手 健斗・万沢 かりん・○上田
匠(1),神宮司 元治・横田 俊之・小森 省吾(2) 1:早大,2:産総研 |
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セッション | 特別セッション:3次元地盤モデル作成のための微動探査 | |||||
座長 | 光畑 裕司 (産業技術総合研究所) | |||||
11月25日 | 13:20~13:40
地盤の液状化危険度の評価方法として、国総研では、従来の建築基礎構造設計指針、又は道路橋示方書による方法に代わるガイドラインを発表した。新しいガイドラインは、3次元地盤モデルを作成し、地震応答解析によって最大加速度を求めることを特徴としている。このガイドラインでは3次元地盤モデルの作成手法について細かく記述されている。この中で、3次元で地層の連続性や液状化層を把握するための方法、及び液状化評価のための物性値データの作成に地盤情報の一つとして物理探査データを用いること等を例示している。ここでは物理探査手法として、微動探査及び表面波探査が示されており、本稿とそれに続く発表では、微動探査の適用に着目し、報告を行う。本稿では、ガイドラインで示されている物理探査を適用する項目及び内容について示し、微動探査事例に関する一連の発表の導入部とする。
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101) インフラ施設の液状化評価のための3次元地盤構造モデルの作成における微動探査の適用 (はじめに) | ||||
○相澤 隆生(1),土屋 彰義(2) 1:サンコーコンサルタント,2:全地連 |
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11月25日 | 13:40~14:00
東日本大震災の際に広い範囲で液状化が発生し,建物や道路,ライフラインなどに被害が発生した茨城県神栖市深芝地区において,3次元微動探査を実施した.受振器を設置できる場所が限られる住宅地であるため,道路に沿って直線,T字,L字,十字型配置で5m間隔に地震計を配置した小アレイと,受振器間隔が約40mの格子配置の大アレイを組み合わせて測定を実施した.小アレイ50展開,大アレイ7展開の合計57展開の記録からCMP-SPAC法により3次元のS波速度構造を求めた.3次元S波速度構造において相対的に低速度となった箇所と液状化による道路・建物被害分布が,よく対応していた.また,S波速度200m/sの等値面分布と航空写真判読による過去の砂利採掘跡地や噴砂箇所もよく対応していた.これらの結果は,液状化評価のために必要な3次元地盤モデルに反映できる人工改変箇所を3次元微動探査によって地表から非破壊的に把握できたことを示している.
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102) インフラ施設の液状化評価のための3次元地盤構造モデルの作成における微動探査の適用(その1)-神栖市採掘跡地での液状化被害と3次元微動探査結果の比較- | ||||
○小西 千里・鈴木 晴彦・濱田 俊介・林
宏一(1),土屋 彰義(2) 1:応用地質株式会社,2:全地連 |
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11月25日 | 14:00~14:20
地盤のS波速度構造を求め、液状化ハザードマップを作成するための3次元地盤モデル化の手法として、微動探査を実施した。対象地区は液状化の可能性が指摘されている徳島地区、福岡地区、宮崎地区である。3地区とも市街地での調査であり、現地状況に応じて1次元、2次元、3次元のアレイ配置を検討した。探査深度は、1次元探査で深度約100m、2次元および3次元探査は深度50mである。得られたS波速度構造から、Vs≥300m/sの工学的基盤面の分布や、低速度層の分布を確認することができた。また、これらの結果は、既存資料やボーリング、PS検層結果とおおよそ整合的であることが分かった。
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103) インフラ施設の液状化評価のための3次元地盤構造モデルの作成における微動探査の適用(その2) -徳島、福岡、宮崎地区における1次元~3次元微動探査結果- | ||||
○村田 和則・伊東 俊一郎・江元 智子・相澤
隆生(1),土屋 彰義(2) 1:サンコーコンサルタント,2:全地連 |
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11月25日 | 14:20~14:40
本研究は、インフラ施設の液状化評価に資する、3次元地盤構造モデルを作成する上での現地の地盤データを取得することを目的として、新潟市等において実施した3次元微動探査結果について報告する。探査の結果、北西-南東に約250m、南西-北東に約450mの矩形上エリアにおける、深度50m程度までのS波速度構造が推定された。また、砂丘と氾濫平野にまたがるエリアで実施したところ、以下の事項が分かった。①推定されたS波速度構造は、この地形区分と整合的であった。②二次元表面波探査で推定された氾濫平野内のS波速度の落ち込み構造を3次元微動探査でも推定することができた。③3次元微動探査のS波速度構造の深度分布は、PS検層結果の平均的傾向と整合的であり、周辺のPS検層結果と工学的基盤の出現深度が概ね一致することより、工学的基盤の平面形状を把握する点で、3次元微動探査の活用を期待できる結果を得ることができた。
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104) インフラ施設の液状化評価のための3次元地盤構造モデルの作成における微動探査の適用 (その3)-新潟市等における3次元微動探査の適用性検証- | ||||
○小原 大輔・黒川 雅裕・阿部 徳和・照屋
純(1),土屋 彰義(2) 1:日本工営,2:全地連 |
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セッション | 特別講演 | |||||
座長 | 鈴木 敬一 副会長 (川崎地質株式会社) | |||||
11月25日 | 15:00~16:00 | 応用地質研究者としての物理探査活用術 | ||||
長谷川 修一 氏(香川大学 特任教授) | ||||||
11月25日 | 16:00~17:00 | 寝ても覚めても、うどん | ||||
香川 政明 氏(さぬき麺業株式会社 社長) | ||||||
11月26日(金) 第1会場(61会議室,6F) | ||||||
セッション | [防災1][地震1] | |||||
座長 | 村田 和則 (サンコーコンサルタント株式会社) | |||||
11月26日 | 9:30~9:50
屏風山・恵那山断層帯および猿投山断層帯(恵那山-猿投山北断層帯)における断層の近傍および周辺地域を対象として,地震動予測のための広域の浅部・深部統合地盤モデルの構築作業が行われている.この作業の一環として,モデル化範囲を含むやや広い範囲(東西:132.4km,南北:120km)において重力探査データを用いた基盤構造の解析を実施した.解析は,ブーゲー異常値算出・フィルター処理・重力基盤解析の流れで実施した.重力基盤解析の結果,モデル化範囲内において堆積盆の不連続や局所的な深い構造が分布しているという結果が得られた.これらは,地質図における新第三系,第四系の分布範囲からは読み取れない情報である.重力基盤構造から読み取れる堆積層の厚さは,既往の反射法地震探査等の結果と整合的であり,信頼性が高い結果を得ることができた.これらの結果は,地震動予測のための広域地盤構造モデルを構築するにあたって極めて有効である.
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17) 恵那山-猿投山北断層帯周辺における重力データ解析 | ||||
○小鹿 浩太・野崎 京三・駒澤 正夫・松山
尚典・谷田貝 淳(1),先名 重樹・藤原 広行(2) 1:応用地質株式会社,2:防災科学技術研究所 |
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11月26日 | 9:50~10:10
第6回表層地質が地震動に及ぼす影響に関する国際シンポジウム(ESG6)では,2016年熊本地震に際に熊本平野で観測された強震動のブラインド予測が行われた.ブラインド予測では,岩盤サイト(金峰山の麓)での強震記録が与えられ,熊本平野のテストサイトの強震動が予測された.本研究では,この岩盤サイトにおいて微動探査と表面波探査を実施し,4-100Hzの周波数帯域でのレイリー波の位相速度を得た.この位相速度の逆解析から,S波速度3.2km/sを有する地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした.表層地盤の厚さは3m程度であり,地震基盤までの深さは約150mである.得られたS波速度構造を用いて,地盤増幅特性の特徴を明らかにした.深部地盤の影響で3Hz付近にピークが認められる.また,周波数8~12Hzにもピークがあり,表層地盤の影響であると考えられる.
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18) 2016年熊本地震の強震動ブラインド予測の岩盤サイトにおけるS波速度構造探査 | ||||
○山中 浩明(1),津野 靖士(2),重藤 迪子・神野
達夫(3),高井 伸雄(4),松島 健(3) 1:東工大,2:鉄道総研,3:九大,4:北大 |
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11月26日 | 10:10~10:30
寒冷地において,凍結等による表層地盤の物性変化が地震動へ及ぼす影響を定量的に評価することを目的に,テストサイトとした北見工業大学キャンパス内において,連続地震観測や表面波探査,アレー微動観測,電気探査,地中レーダ探査の各種物理探査を2020年10月から実施している.本論文では,実施した観測のうち,重錘落下加振データと地震データの季節変動特性の結果について,報告する.
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19) 寒冷地における地盤震動特性の評価を目的とした北見市での各種物理探査 - 重錘落下加振データと地震データの季節変動特性 - | ||||
○津野 靖士(1),山中 浩明(2),高井
伸雄(3),川尻 峻三(4),中川 尚郁(3),野本 真吾・堀田 淳(5),重藤 迪子(6) 1:鉄道総研,2:東工大,3:北大,4:北見工大,5:ジオテック,6:九大 |
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11月26日 | 10:30~10:50
地震被害を検討する場合、サイト増幅特性を把握することは重要である。筆者らは、常時微動観測のH/Vスペクトル比を用いて、簡易的に地盤ハザード値を評価する手法を提案している。ここでは、1923年関東地震と2016年熊本地震を対象に、過去の地震被害と提案している地盤ハザード値を比較し、その適用性について検討をおこなった。2つの地震とも、地盤ハザード値と建物被害の関係から、正の相関が確認することができた。また、同程度の地盤ハザード値の場合、熊本地震の被害のほうが小さかった。これは、地震発生時の建物年代の影響が考えられる。一方で、検討結果にはばらつきが大きい。その要因として、建物被害の算出方法や断層近傍の地震被害などの影響も考えられ、今後さらなる検討をおこなう必要がある。
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20) 地震による建物被害と微動H/Vスペクトル比の比較 -1923 年関東地震と2016 年熊本地震を対象として- | ||||
○落合 努・荏本 孝久(1) 1:神奈川大学 |
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セッション | [地震2][防災2] | |||||
座長 | 津野 靖士 (鉄道総合技術研究所) | |||||
11月26日 | 11:10~11:30
地震波干渉法理論に基づくレシーバー関数と自己相関関数の同時解析により、千葉県下総地域で観測された強震記録を用いて地震基盤に至るまでの地盤のP波およびS波速度と深さを推定する。S波速度と地震基盤深度について、上下とトランスバース成分の自己相関関数および、レシーバー関数によるPs変換波とPpPs変換波のH-kスタックにより推定する。成田市の観測点におけるS波速度構造については、トランスバース成分の自己相関関数だけを使ってすでに推定していたモデルとよく合っていたが、他の観測点においてはP波を含めて改良の余地があることがわかった。H-kスタックにおいては、P波速度の仮定が必要であることから、レシーバー関数を用いてP波速度構造モデルの改良することが重要である。
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21) 地震波干渉法理論に基づく強震記録のレシーバー関数と自己相関関数の同時解析による下総地域の地盤構造の推定 | ||||
○地元 孝輔(1) 1:香川大 |
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11月26日 | 11:30~11:50
バイブレータ震源による極浅層反射法探査の有効性検証,極浅層探査と深部探査の同時探査(マルチスケール探査)の実現可能性検証を目的として,最新型のブロードバンドバイブレータを用いて測線長約660mの小規模反射法探査実験を行った.実験の結果,地下数メートルから数100m超までの連続的な構造把握が可能であることが確認された.また,地下数kmの深部反射波も同時に取得可能であり,地表付近から地殻構造スケールの深部に至るまでの連続的な構造把握を可能とするマルチスケール探査が実現可能であることが示された.
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22) ブロードバンドバイブレータによる極浅部から深部までを対象とした高分解能反射法地震探査 | ||||
○斉藤 秀雄・中田 守・村上 文俊・阿部
進(1),石山 達也(2),佐藤 比呂志(2,3) 1:地科研,2:東大地震研,3:静岡大 |
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11月26日 | 11:50~12:10
受動的地震波イメージングは、震源情報を不要とし地震波データに直接イメージング条件を適用することで行える。本研究では、地震学におけるレシーバ関数に対応するPS変換波のリバースタイム・マイグレーション(RTM)を用いた地震波イメージングについて検討した。この方法では、逆伝播させた弾性波動場から分離したP波とS波の波動場を相関させることで変換点のイメージを構成する。単純な2Dモデルを用いた合成地震記録のイメージングによってこの方法の性質と適用性を検討した。近畿地方の地殻・プレートのモデルを用いて作成した記録に本手法を適用した結果は満足がいくものではなかった。本手法の適用条件を明らかにし、前処理を検討する必要がある。
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23) 弾性波リバースタイム・マイグレーションによるPS変換波のイメージング:数値実験による検討 | ||||
○渡辺 俊樹(1),白石 和也(2),中丸
遼太(1) 1:名古屋大学,2:JAMSTEC |
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11月26日 | 12:10~12:30
分散型音響センシングケーブル(DAS)は,超多点での地震波の高密度観測を行うことができる新しい地震探査ツールである。本研究はDASと地震波干渉法を用いた、鉱山におけるモニタリングの可能性について検討した。愛媛県の佐々連鉱山に設置したDASで取得した微動データを解析し、位相速度の分散曲線の測定・地震波速度変化の推定を試みた。地震波干渉法による微動の解析では、30秒ごとに相互相関関数を計算し、1日分の相互相関関数をスタックすることで、観測点間を伝播する表面波の抽出と分散曲線の測定に成功した。さらに、46日分スタックした相互相関関数をリファレンスとして、1日ごとの地震波速度変化率を推定したところ、降水量と相関のある結果が得られた。本研究で得た結果から、DASによる微動解析は、鉱山の地下をモニタリングする技術の一つとなり得るものと推測される。
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24) 佐々連鉱山におけるDASを用いた地震波速度モニタリング | ||||
○椋本 浩太・辻 健・池田 達紀(1),上杉
次郎(2) 1:九州大学,2:住友金属鉱山 |
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11月26日(金) 第2会場(63会議室,6F) | ||||||
セッション | [埋設物][都市地質][土木2] | |||||
座長 | 杉本 恒美 (桐蔭横浜大学) | |||||
11月26日 | 9:30~9:50
アクセスの悪い場所での地下のイメージングや、連続的な地下のモニタリングを容易にするため、小型の震源装置(PASS)の開発を行っている。この震源装置では、信号を発振するタイミング(発振時間)を精度良くコントロールし、繰り返し同じ波形を発振することができる。そのため信号波形を重合することで、S/Nを向上させることができ、遠地まで信号を伝達させることができる。また、この震源装置は小型であるため、多点に設置することで、空間解像度の高い連続モニタリングが可能になると考えられる。本発表では、この震源装置で発振された信号を、光ファイバー型地震計(DAS)で記録した結果を紹介する。我々が実施した実証試験では、約10cmサイズのPASSからの信号は、数回の発振だけでも、数100mも伝播することが分かった。さらに一般的な地震計(鉛直成分)を利用することで、屈折波を記録できることも確認した。
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30) イメージングとモニタリングを目的としたポータブル型アクティブ震源装置(PASS)の開発 | ||||
○辻 健・木下 順二・池田 達紀(1),上杉
次郎(2) 1:九大,2:住友金属鉱山 |
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11月26日 | 9:50~10:10
筆者らは,深度数mから10m程度の地下構造を把握する手法として,3次元極浅層反射法地震探査に着目し,その研究開発を進めている.その一環として,適用性の確認を主目的とした初期的な基礎実験を,先駆的な研究(Bachrachほか, 2001)を追随する形で実施した.今回の基礎実験では,深度1.5m程度以浅に分布する基礎梁から発生したと考えられる散乱波を確認でき,原理的には,この深度の探査に同手法が適用可能と判断される.また一方,本手法を実用的なものとするためには,効率的なデータ収録及び処理法の構築が最重要課題となるものと考えられ,今後,地下構造が既知で,ノイズの小さいテストサイトでの適用性確認実験等を通じて,これらの課題についての検討を加速させていきたい.
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31) 3D極浅層反射法地震探査の適用性に関する基礎実験 | ||||
○今吉 隆・加藤 洋介(1) 1:阪神コンサルタンツ |
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11月26日 | 10:10~10:30
ミュオグラフィは,物体を透過したミュオンの観測個数に基づき,物体内部の密度分布を推定する方法である.ミュオントモグラフィを多様なターゲットに実際に適用する際には,パフォーマンスを最適化するために,空間・時間・密度分解能の実用性重視評価が必要である.3つの分解能の関係を評価するために,2Dミュオントモグラフィの数値計算を実施した.数値計算においては2つの異なるインバージョン手法を使用して,分解能への影響を評価,比較した.また2Dミュオントモグラフィでは,斜め方向から飛来するミュオンが使用されるが,飛来方向の天頂角が大きくなるとミュオンのカウント率が低くなる.カウント率が低いほど推定が不安定になるため,上方向から飛来したミュオンを使用した1Dミュオグラフィと斜め方向からのミュオンを使用した2Dミュオグラフィの結果を比較した.1Dミュオグラフィの方が状況によっては,優れた結果をもたらすことが判明した.
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32) ミュオントモグラフィの多次元密度推定における空間・時間・密度分解能の相互関係に関する実用性重視評価 | ||||
○児玉 匡史・横田 俊之(1),松島 潤(2),田中
宏幸(3),金 政浩・岡本 直也(4) 1:産総研,2:東大・院・新領域,3:東大・地震研,4:九大総理工 |
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11月26日 | 10:30~10:50
地中レーダー(Ground Penetrating Radar: GPR)は、電磁波の反射波を記録し、その波形の形状から埋設物や地下構造物を調査する物理探査技術である。GPRの技術革新によるデータ取得技術の向上や、老朽化した公共施設の非破壊検査のニーズの高まりにより、大量のデータに対する解釈の自動化・省力化が求められている。一方で、近年のコンピュータ技術の目覚ましい進歩により、深層学習技術が大きく発展している。その結果、物体認識能力が飛躍的に向上し、応用研究が活発に進められている。現在、GPRデータに深層学習を適用する研究では、主に2次元の深度断面画像が用いられている。しかし、3次元データから総合的に判断することで、より信頼性の高い事象の抽出が可能になると考えられている。本研究では、医療分野で発展してきた3次元畳み込みをベースとしたニューラルネットワークを用いて、3次元GPRデータのイベント検出を試みた。
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33) 3次元GPRデータへの深層学習によるイベント検知の試み その2 | ||||
○鳥取 稜平・東 宏幸・小田 義也(1),松岡
俊文(2),浴 信博・川本 悠司(3) 1:東京都立大学,2:(公財)深田地質研究所,3:大和探査技術株式会社 |
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セッション | [金属][資源探査2] | |||||
座長 | 窪田 健二 (電力中央研究所) | |||||
11月26日 | 11:10~11:30
地表浅部にある金属鉱床の探査・開発はほぼ終わっており、探査の対象は地下深部の潜頭性鉱床に移りつつある。そのため、地下深部の地質構造を広域に非破壊で調査する物理探査への期待が高まっている。しかし、物理探査データの解析結果から地質構造を解釈するとなると不十分なところが多い。その理由の一つとして、地下構造を形成する岩石の物性に関する知識が不足していることがあげられる。つまり、物理探査で求められる物性分布を岩石の分布と対応づける基本的な知識の欠如が、物理探査結果の解釈を困難にしている。それを克服するため、我々は金属鉱山地域にある鉱石や岩石の物性を収集したデータベースの作成に取り組んでいる。これまでに岩石物性データベースのプロトタイプを完成させ、実用化に向けてその改修を行っている。
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34) 金属鉱床探査を支援する岩石物性データベースの構築 | ||||
○高倉 伸一(1) 1:産総研 |
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11月26日 | 11:30~11:50
熱水鉱床探査におけるAMT法の有効性を検証するために,鹿児島県南薩地域に位置する熱水鉱床である赤石鉱山の周辺において、約2km四方の範囲でAMT法調査を実施した。そして、61地点のAMT法データを用いて3次元解析を行い、深さ約1kmまでの比抵抗構造を求めた。解析された比抵抗構造は、地表地質調査やボーリング調査で推定された地質構造と整合的であった。珪化岩や地下深部の岩石は高い比抵抗を示し、変質した粘土層は低い比抵抗を示した。この結果は、AMT法が深部の熱水鉱床の探査に有効であることを示している。
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35) 赤石鉱山周辺におけるAMT法の熱水鉱床探査への実証試験 | ||||
○高倉 伸一・梅澤 良介・小森 省吾(1) 1:産総研 |
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11月26日 | 11:50~12:10
含金珪酸鉱鉱体モデルは、従来、試錐における鉱体捕捉区間から内挿することで作られていた。試錐の密度が低い場所や試錐が鉱体の境界に到達していない場合には、鉱体形状を正確に把握することは難しい。上記の問題を解決する手法として、高密度電気探査を導入した。本研究では、鹿児島県枕崎市に位置する南薩型の含金珪酸鉱鉱床である岩戸鉱山を対象として、まずは本探査手法の適用可能性を検証した。長さ280~400mの測線4本を設定し、5m間隔に電極を配置した高密度電気探査を実施した結果、比抵抗分布は既存の試錐から得られる珪酸鉱の分布とよく一致した。続いて、高密度電気探査を岩戸鉱山南西部に位置する岩戸山鉱徴地周辺で実施した。その結果、地表に露出する珪化岩の分布や試錐結果と調和的、且つより詳細な比抵抗分布を得た。さらに、今まで鉱体が把握されていなかった箇所にも珪酸鉱鉱体に対応すると考えられる高比抵抗域を捕えることができた。
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36) 高密度電気探査の含金珪酸鉱探鉱への適用 -鹿児島県岩戸鉱山を例に- | ||||
○喜多村 陽・佐藤 颯哉(1),御内 祐子(2),伊藤
直毅(1),梅澤 良介・小森 省吾・高倉 伸一(3),越田 渓子(2),仲井 亮平(4) 1:JX金属探開,2:JX金属,3:産総研,4:春日鉱山 |
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11月26日 | 12:10~12:30
本研究では、Cole-Coleパラメータの空間分布推定を目的とした、時間領域IP法の全波形データ利用によるインバージョン手法の有効性を検討するため、秋田県観音堂露頭において時間領域IP法電気探査を実施した。Dipole-Dipole配置の下、周期8秒・Duty Cycle 50%の矩形波電流を送信し、汎用データロガー(Hioki MR8875)とSyscal Pro with fullwave option(Iris instruments)を組み合わせたIPデータ取得を行い、電流遮断後1ミリ秒から2秒までの全波形データを取得した。得られたデータを用い、Aarhus workbench with ERT/IP moduleによる逆解析を現在実施しており、これまでに、地表において観察される硫化鉱物分帯の特徴との対応を示唆するCole-Coleパラメータ分布が推定されている。
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37) 時間領域IP法データを利用したCole-Coleパラメータの空間分布推定の試み:秋田県観音堂黒鉱鉱床地域での実施例 | ||||
○小森 省吾・高倉 伸一(1),上田 哲士・増田
一夫・村北 貴郁(2) 1:産総研,2:JOGMEC |
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