第144回(2021年度春季)学術講演会 一般セッションプログラム | ||||||
6月9日第1会場 | ||||||
セッション | [地下水][土木1] | |||||
座長 | 寺西 陽祐((株)地球科学総合研究所) | |||||
6月9日 | 9:30〜9:50
近年,深層学習(Deep Learning, DL)に基づく電磁探査データの逆解析が提唱されている。DLは機械学習(Machine Learning, ML)の1つであり,言語処理や画像認識分野などで注目を集めてきた。本研究では,DLを利用した電磁探査逆解析の利点を,(1) 初期モデルを必要としない,(2) 大量の観測データに対する高速解析,とする。DLの1つとして,DNNによる周波数領域空中電磁探査法(AEM)に対する逆解析を開発,適用した。開発した手法を人工データにより検証した後,実測データに適用し,既存逆解析手法(Gauss-Newton法)と比較した。開発したDLによる逆解析は既存の結果と調和的であり,計算速度は約10倍高速であった。これらから,DLによる周波数領域AEMの解析は高速かつ安定した逆解析手法となり得ると考えられる。
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1) 深層学習による周波数領域空中電磁探査法の1次元逆解析 | ||||
松本 侑也(早大・院),○上田 匠(早稲田大学) | ||||||
6月9日 | 9:50〜10:10
本研究はドローン空中電磁探査(Drone-AEM)により地下の湿潤域を探査することを目的とする.この方法では,解析に使用される波形の時間が1 ms以内である.本研究では,周波数領域では1.0 kHz以上の高周波数の電磁波の応答を解析に用いた.また,我々は湿潤な土砂や岩の比抵抗が高周波数の電流に対して周波数依存効果が現れることを室内実験によって確認した.そして,ドローン空中電磁探査のデータを用いて地下の湿潤域を解析することを試みた.地下の湿潤域を解析するために,和歌山県田辺市熊野地区の斜面崩壊跡周辺の急斜面で実施されたドローン空中電磁探査のデータを用いた.その結果,ボーリングなどの既存データから推定された地下水位と,解析された湿潤域は良い整合性を示し,本解析は湿潤域を推定するのに有効な方法であることを確認した.
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2) ドローン空中電磁探査による周波数依存効果を用いた地下湿潤域の解析 | ||||
○城森 明・城森 敦善・十山 哲也(ネオサイエンス),金山 健太郎・河戸 克志(大日本コンサルタント),木下 篤彦(国土交通省) | ||||||
6月9日 | 10:10〜10:30
地中レーダにより電磁波の伝搬速度と地盤の含水状況とが関係していることは良く知られている。一方、減衰率についても含水状況と関係するといわれているが定量的な議論は十分ではない。本研究では広帯域の電磁波計測により、減衰のスペクトルに着目し、含水状況と減衰率スペクトルとの関係を明らかにした。広帯域計測にはベクトルネットワークアナライザを用い、帯域を分割して、それようのアンテナを製作した。実験は珪砂を投入した大型水槽を用い、飽和地下水位を変化させた。地下水位が上昇し、珪砂の含水率が上昇すると、減衰率スペクトルもそれに伴って変化することが認められた。
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3) 広帯域電磁波計測による含水状況把握の検討 | ||||
○鈴木 敬一・草茅 太郎・西山 英一郎(川崎地質),後藤 忠徳(兵庫県立大学),安藤 潤・大原 丈寛(川崎地質) | ||||||
6月9日 | 10:30〜10:50
近年加速する宇宙開発において,エネルギー源として月に存在する氷が注目されている.この氷は月の極域周辺に存在するとされているが,その分布や貯蔵量等は明らかにされていない.そこで,地球上でも用いられている物理探査の手法の一つである,表面波探査の手法により氷の分布や貯蔵量等を明らかにする方法の検証を行った.実験は数パターンの含水率のレゴリスシミュラントを凍結させ,表面波探査を実施した.実験から得られる分散曲線に含水率の差異が与える影響を考察した.実験から,含水率が高い条件で行った実験結果ほど位相速度の増加が見られたため,月面でも表面波探査により氷の分布や貯蔵量等を推定可能であることが考えられる.今後は,形態が異なる氷を対象にした実験,月面でも使用可能な探査装置・システムの開発を行い,地球上や月面での表面波探査の効率化をすすめていきたい.
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4) 氷が与えるレゴリスシミュラントのS波速度への影響の検討 | ||||
○内垣 友貴(九大・院・工学府),辻 健(九大・院・工学研),鵜山 尚大・金森 洋史(清水建設) | ||||||
6月9日 | 10:50〜11:10
月開発の動きは近年で加速しており,月面での水氷の獲得が注目されている.ただし,現在月に存在していると考えられている水氷の分布や量は明らかになっていない.もし,氷の含有率と弾性波速度の関係が分かれば,弾性波探査によって水氷を見つける際の定量化につながる.そのため,本研究では月の砂(レゴリス)を模擬したシミュラントのデジタル画像データに数値シミュレーションを適用することで,氷の含有率と弾性波速度の関係性を調べた.氷の付着状況を岩石物理モデルで仮定するために,Matrix-supporting modelとContact-cement modelを用いた.その結果,用いる岩石物理モデルによって,氷の含有率の増加に伴う速度の変化の傾向が異なることが分かった.室内実験結果と比較をすると,定性的にはContact-cement modelの方が適切なモデルであることがわかった.本研究により,弾性波速度から氷の含有率を推定する際には,粒子内での氷のモデル化が重要となることが明らかとなった.
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5) デジタル岩石物理による月レゴリスシミュラントの氷含有率と弾性波速度の関係:月の水資源探査に向けて | ||||
○國増 貴明・澤山 和貴(九大・院・工学府),池田 達紀・辻 健(九大・院・工学研) | ||||||
6月9日 | 11:10〜11:30
既設グラウンドアンカーの残存緊張力を振動を用いて非破壊で測定するノンリフト試験方法を開発・実用化した。これまでは主として、アンカー引張り部の鋼線が1本の単純なケースについて現場適用を試み、実用性を示してきたが、今回は3本の鋼より線を有するくさび定着タイプのアンカーを対象として現場実験を行った。試験結果を示すとともに、複数の鋼より線を有するアンカー特有の問題点や課題についてまとめる
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6) 複数の鋼線を有するグラウンドアンカーの緊張力のノンリフト試験 | ||||
○斎藤 秀樹(応用地質),山崎 充(中日本ハイウェイ・エンジ名古屋),八嶋 厚(岐阜大),名波 一輝(名古屋市役所),小島 杏介(JR東海),小河原 敬徳(応用地質) | ||||||
セッション | [資源探査1][石油・天然ガス][CO2] | |||||
座長 | 鈴木 晴彦(応用地質株式会社) | |||||
6月9日 | 13:00〜13:20
オイルシープ認定のためのオイルスリック検出作業を機械学習物体検出技術により自動化した。訓練後検出機の性能は教師データの信頼性・品質により限定的なものに留まったが、目視による確認によれば検出結果は有望と言える。更に、検出後自動クラスタリングによってシープ滲出点候補の抽出が可能となった。
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7) オイルシープ認定のための機械学習オイルスリック検出 | ||||
○楢原 省吾((株)地球科学総合研究所),赤間 健一(石油資源開発株式会社),島田 信仁(石油資源開発株式会社(前)) | ||||||
6月9日 | 13:20〜13:40
著者らは共同研究コンソーシアムを組成し,国内の大学および研究機関で培った海洋電磁探査技術の知見をもとに,データ取得資機材および三次元解析ソフトウェアの技術開発を進め,データ取得から解析評価に至る基盤技術の確立および国内内製化を目指している。本稿では,2020年度に実施した海洋CSEM実証試験概要ならびに、海洋CSEM探査の高度化に向けたノイズ低減処理に関して報告する。
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8) 海洋CSEM探査技術の国内内製化に向けた取り組み -2020年度海洋CSEM実証試験を例としたノイズ低減処理- | ||||
○寺西 陽祐・岡本 拓・東中 基倫(地科研),高井 克己(石油資源),笠谷 貴史(JAMSTEC),後藤 忠徳(兵庫県立大・理) | ||||||
6月9日 | 13:40〜14:00
地上・地下・海中(海底)・空中など,3次元の任意位置送受信配置に対応する水平多層比抵抗構造における電磁応答の計算プログラムを開発した.電磁場送信源として垂直・水平磁気双極子(VMD/HMD),垂直・水平電気双極子(VED/HED),円形ループ,接地電線,任意形状ループなど,10種類に対応する.開発したプログラムは,Bessel関数の半無限積分の計算方法として4種類(3種類のデジタルフィルタ及びQWE),周波数から時間領域への変換方法として3種類から選択可能である.また,任意波形送信電流における過渡応答の計算にも対応する.主にCCSにおける電磁探査によるモニタリングのシミュレーションを想定し,3次元送受信配置で水平多層構造における二酸化炭素圧入モデルに対する電磁応答や変化率を算出した.また,陸上及び空中の電磁探査における数値計算にも適用可能であることを確認した.
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9) 水平多層構造における任意送受信配置および任意送信電流波形に対応した電磁探査応答計算プログラムの開発 | ||||
○桑井 康行・河合 将人(早大・院),宅間 晴史・岡田 拓己・上田 匠(早大・創造理工),中島 崇裕(RITE) | ||||||
6月9日 | 14:00〜14:20
貯留CO2の安全を担保するため、また効率的にCO2を貯留するために、CO2貯留層をモニタリングする技術の開発が求められている。貯留サイトをモニタリングする手法として、一般的に利用されているのは、繰り返し地震探査である。しかしこの手法は高額であり、モニタリングできる回数が限られる。そのため、貯留層から漏えいしたCO2を即座に検出することが困難となる。そこで我々は、貯留CO2を高い時間解像度でモニタリングするため、連続震源装置と、光ファイバーケーブル自体を地震計として利用する技術「DAS」を利用するモニタリングシステムを開発し、海域での実証試験を実施した。釜石沖の光ファイバーケーブルを利用してDASによる測定を実施、さらに連続震源装置を釜石沿岸部に移設して、モニタリング信号の伝達を評価した。この実証試験の結果、1ヶ月間のデータを使うことで、沿岸に設置した震源装置からの信号が、10km以上沖合まで伝播していることが分かった。
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10) 連続震源装置とDASを用いた海域CO2貯留サイト連続モニタリングに向けた試み | ||||
○辻 健・Fernando Lawrens-Hutapea・池田達紀(九州大学),篠原雅尚(東京大学),山岡耕春(名古屋大学),木村恒久(シュルンベルジェ),菊池竜之介・土家輝光(日本地下探査) | ||||||
6月9日 | 14:20〜14:40
CO2地中貯留事業では,CO2圧入による地下の状態変化のモニタリングが重要である.圧力上昇のモニタリングは,圧入作業に有効な情報を提供し,CO2プリュームの広がりをモニタリングすることは,リークリスクを低減するための基本となる.一方で,長期的な運用に対応するためには,モニタリング作業を低コストで実施する必要がある.近年,低コストの地震記録技術として注目されているのがDAS(Distributed Acoustic Sensing)技術であり,これは光ファイバーケーブルを分散型振動センサーとして使用するものである.本研究では,DAS技術の圧力上昇モニタリングへの適用性を検討するため,海底に敷設した光ファイバーケーブルを用いたフレックス型3D屈折法弾性波探査(菊池ほか,2020)の数値実験を行った.その結果,観測船を用いたDASによるフレックス型3D屈折法弾性波探査は,低コストで広範囲の圧力モニタリング技術として有望であることがわかった.またこの結果は,海底に設置された連続震源(辻ほか,2021)と組み合わせれば,より頻繁な圧力モニタリングが可能になることを示唆している.
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11) DASを用いた海域での圧力モニタリング:3次元屈折法弾性波探査による数値検討 | ||||
○菊池 竜之介・土家 輝光・佐藤 礼・山崎 勇也(日本地下探査),辻 健(九州大学),山本 肇・平塚 裕介・宮城 充宏(大成建設) | ||||||
6月9日 | 14:40〜15:00
弾性波を使った地殻探査においては,複数個所に震源とセンサを配置し,その間の弾性波の伝搬特性から地殻の内部構造を推定する.雑音を抑圧し同時に多点間伝搬特性を得るために,一定時間範囲で干渉が無い複数の多相系列を作り0値を挿入して長さを拡大し,0値を補うように実数系列を畳み込むことによって,符号を構成する. 複素数の実部をcosine波,虚部をsine波に掛けて送信符号を構成し,受信側で実部,虚部を検出して複素参照系列で相関処理しパルスを検出する.送受信の信号処理はディジタル的に行い並列出力を得ることができる. 送受信の制御, 出力収集はネットワークで連携する.
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12) 有限長直交符号を用いた多点間弾性波伝搬特性の同時測定法 | ||||
○棚田 嘉博・井口 正人・筒井 智樹(京大防災研) | ||||||
セッション | [地震1][防災1] | |||||
座長 | 鈴木 敬一(川崎地質株式会社) | |||||
6月9日 | 15:20〜15:40
既往の公開データを使って岡山県南部地域のS波速度構造モデルを構築した.このため,深部地盤情報としては微動アレイ探査の分散曲線と重力データを,また浅部地盤情報としては速度検層,N値,VS30を使用した.これらの全データを統合するためにジョイント・インバージョン法を適用した.ジョイント・インバージョンで得られたモデルは古賀・他(2009)や西村・他(2011)によって報告されている重力解析の結果と整合的であった.それに加えて,このモデルはAVS30やN値データのような浅部データも反映している.これらの結果は浅部・深部統合モデル作成のためのツールとしてジョイント・インバージョンが効果的であることを示唆している.
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13) ジョイント・インバージョンによる岡山県南部地域の三次元S波速度構造モデルの作成 | ||||
○杉本 芳博((株)ダイヤコンサルタント) | ||||||
6月9日 | 15:40〜16:00
地下構造を把握することは,地震被害の予測や地質解釈,資源探査など幅広い分野で必要とされており,高精度な推定方法が求められている.本研究では,微動を用いて奈良盆地周辺の表面波位相速度分布を推定した.相互相関関数の対角成分と非対角成分を用いることで,レイリー波分散曲線を安定して推定することができた.推定した分散曲線を用いて表面波トモグラフィを行い,位相速度分布を推定した.推定した速度構造は大阪平野や奈良盆地北部で低速度域を示した.
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14) 相互相関関数の非対角成分を用いたレイリー波分散曲線推定の安定化 | ||||
○二宮 啓・吉見 雅行(産総研) | ||||||
6月9日 | 16:00〜16:20
富士川河口断層帯は東名高速道路等の重要な交通網の近くに存在するため、この断層帯での地震は、国家レベルの甚大な影響を与えることとなる。本研究では,既存の強震観測や微動探査に加え、臨時の観測を行うことで対象地域の地下構造モデルの向上を目指した。本研究では微動アレイ観測により得られたレイリー波の位相速度の空間的補間によって、既存の地下構造モデルの修正を行った。位相速度の空間分布の修正に、位相速度ごとに異なる波長の考え方を取り入れることで、他のモデルより滑らかに変化する3次元地下構造モデルを構築することが出来た。修正モデルを用いた強震動シミュレーションでは、S波部分の到達時刻は改善されたが、未修正の地域に起因する後続波は、S波部分よりも再現性は低い結果が得られた。結果としてより合理的な修正モデルを構築することができ、精度も向上したが、今後さらに広い範囲で微動観測などを行う必要があることがわかった。
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15) 強震動シミュレーションのための富士川河口断層帯周辺地域の地下構造のモデル化に関する研究 | ||||
○橋本 整奈・山中 浩明・地元 孝輔(東工大・院・環境社会理工),三宅 弘恵(東大・院・情報学環・学際情報),先名 重樹(防災科研),吉見 雅行(産総研),是永 将宏・津野 靖士(鉄道総研) | ||||||
6月9日 | 16:20〜16:40
活断層の分布は熱流量の分布によって評価できる.本研究では,南海トラフの熱流量を反射断面図上の海底擬似反射面(BSR)から推定した.また,高精度な熱流量の計算に必要となる,正確な反射断面図を得るために,自動速度解析を適用した.この解析では,全てのCMPギャザーに対してP波速度を決定することができ,それによって高精度なP波速度構造を推定することができる.得られた反射断面図にはBSRが明瞭に現れていた.また,推定された熱流量の値は40~80(mW/m2)を示し,先行研究の結果と比して整合的っであることがわかった.さらに,我々は特に熱流量が高くなった箇所を定義した.このエリアは,外縁隆起帯に対応しており,横ずれ分岐断層を含んでいると考えられる.このような断層の存在は,我々の手法で得られた熱流量異常に対する解釈を裏付けるものとなっている.
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16) 反射法地震探査データの自動速度解析による熱流量の推定:活断層の推定に向けた試み | ||||
○竹之内 秀斗・椋本 浩太・辻 健(九大・院・工学府),小平 秀一・藤江 剛・中村 恭之・白石 和也(JAMSTEC) | ||||||
6月9日 | 16:40〜17:00
函館平野西縁断層帯は、函館平野の西縁から函館湾の西岸にかけて発達する道内においては主要な活断層帯の1つである。本断層帯の海域部では、これまでに音波探査が実施されており、活断層の形状や末端部等が明らかにされてきた。しかし、音波探査は海底が礫や岩盤などの粗粒な堆積物で覆われている箇所で実施した場合、海底下の構造が不明瞭になることが多いため、良質なデータを得ることが困難となる。そこで本研究では、活断層調査において底質などの影響によりデータの空白域が存在している函館湾を対象に海上磁気探査を実施し、データの取得に加え、活断層調査における海上磁気探査の有用性について検討も行った。
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17) 函館平野西縁断層帯海域延長部における海上磁気探査 | ||||
○丸山 純也・檜垣 直幸(道総研) | ||||||
6月9日 | 17:00〜17:20
海底でのMT応答関数は海岸線や海底地形に非常に敏感である.そのため,単純な初期モデルを用いて逆解析を実施すると,誤った比抵抗構造を導く危険性がある.本研究では, 様々な初期モデルを作成し,日向灘の周辺で得られた実データを基に3次元逆解析をおこない,初期モデル依存性を確認した.その結果,より実際の構造に近いと考えられる3層構造モデルを使用した場合には,観測データをよく説明する最適モデルが得られた.一方で,単純な2層構造モデルを使用した場合には,初期モデルによって推定される比抵抗構造が大きく異なることが確認された.特に,初期モデルの背景比抵抗を高くした場合にデータを説明できないことが示された.よって,海底で観測したデータを用いて逆解析により地下の比抵抗構造を推定する際には,適切な初期モデルの設定が重要である.
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18) 日向灘周辺における海底MTデータを用いた3次元比抵抗解析 | ||||
○中村 捷人・市原 寛(名大・院・環境学研),後藤 忠徳(兵庫県立大・院・生命理学研),松野 哲男(神戸大・海洋底探査センター),多田 訓子(JAMSTEC), 佐藤 真也(京大・院・工学研) | ||||||
6月10日第1会場 | ||||||
セッション | [火山] | |||||
座長 | 池田 達紀(九州大学) | |||||
6月10日 | 9:30〜9:50
本講演では火山活動のモニタリングを目的とした反射法地震探査のための基礎実験について報告する.本基礎実験は深部における火山活動を制御震源を用いて監視する構想のもと、十分な反射波品質を確保できかつ長期運用を持続するための発振仕様の検討を目的として実施された.基礎実験では鹿児島湾奥の姶良カルデラを対象として、北西岸地域でエアガンを用いて人工的に地震波を発生し,この人工地震波を対岸の桜島に展開した群列配置孔中地震計で観測した.実験の実施により連続運用に必要な最小限の震源サイズを定めることができたほか、姶良カルデラの深部からの反射波と考えられる後続相を観測した。
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19) 姶良カルデラ長期連続反射法探査基礎実験−陸上におけるエアガン震源運用の試み− | ||||
○筒井 智樹・為栗 健・味喜 大介・井口 正人(京都大学防災研究所),篠原 雅尚(東京大学地震研究所) | ||||||
6月10日 | 9:50〜10:10
近年, 八丈島付近では火山活動が活発化したことが報告されている(木村ほか, 2002). 火山の噴火リスクを評価するために, 我々は自然地震を用いた地下構造の解明を目指している. そして, 自然地震を用いた地下構造解析を精度良く行うには, 多く正確な地震波初動が必要である. しかし, 八丈島付近は地震活動が低調なため, 発生する地震数が少ない. また現在, 地震波初動の同定は手動で行われているため労力と時間がかかる. 本研究では, 深層学習を用いて, 地下構造解析に使用する地震数の増加と, 初動の同定の自動化とその精度の向上を目指した. 深層学習には大規模なデータセットが必要で, これを作成するには膨大な時間がかかる. この問題を解決するために, 我々はファインチューニングを用いた. この手法を八丈島臨時地震観測データの初動検出に適用し, 地震数の増加および初動の同定の自動化とその精度の向上を図った.
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20) ファインチューニングを用いた地震波自動検測−八丈島臨時地震観測データへの適用− | ||||
○國政 光・東 宏幸・小田義也(都立大) | ||||||
6月10日 | 10:10〜10:30
八丈島は伊豆諸島に属する火山島である.2002年には火山性の群発地震や地殻変動が観測されており,現在は気象庁によって火山の常時観測が行われている.常時観測で得られるデータから火山活動を正しく解釈するためには,地下構造探査などにより火山の内部構造を把握することが重要である.本研究では八丈島の地下構造を詳細に推定するため,2019年9月から2020年3月までの間,八丈島および八丈小島に計46台の地震計を設置し,182日間の臨時地震観測を実施した.自然地震トモグラフィよる3次元解析の結果,西山直下の3次元速度構造を深さ8kmまで詳細に推定することができた.西山直下の深さ2-5kmの領域には深さ方向に連続した2つのP波高速度域が存在した.これらの高速度域は,2002年に西山直下に貫入したとされるダイクの構造を詳細に表している可能性がある.
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21) 稠密地震観測データを用いた八丈島の3次元地殻構造 | ||||
○菅家 翔太郎・東 宏幸・小田 義也(都立大) | ||||||
6月10日 | 10:30〜10:50
本論は,八丈島の減衰特性について二重スペクトル比法を用いて推定したものである.二重スペクトル比法は,複数の観測点で観測された複数の地震記録を用いることで震源特性とサイト増幅特性を取り除き,伝播経路特性,すなわち減衰特性のみを抽出する手法である.解析には2019年9月から2020年3月まで八丈島および八丈小島において計46地点で行われた臨時稠密地震観測データを用いた.得られた減衰特性と八丈島の過去の地震活動について比較を行ったところ,西山における低減衰領域は,木股ほか(2004)によってダイク貫入が推定された箇所に対応しており,高減衰域は,マグマ水蒸気爆発によって形成されたタフコーンおよびタフリングの位置(杉原・嶋田,1998)と一致している.また,西山と東山における高減衰の領域は萩原・渡辺(2019)の低速度域に概ね対応している.
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22) 稠密地震観測データを用いた二重スペクトル比法による八丈島の減衰特性 | ||||
○渡邊 詩子・東 宏幸・小田 義也(東京都立大学) | ||||||
6月10日 | 10:50〜11:10
本研究では,火山防災研究として,東京都に属する火山島である八丈島の地表変動を干渉SAR時系列解析よって推定し、解析には2014年8月〜2020年8月にALOS-2が観測したデータを利用した。時系列解析ではSBAS法(Small Baseline Subset method ; Berardino et al, 2002)を使用し,Descending 83ペア,Ascending 26ペアを用いて解析を行った。また,比較のため,国土地理院及び気象庁が設置したGNSS連続観測点のデータを解析し,2014年1月1日〜2019年6月30日の地表変動を求めた。時系列解析の結果,八丈島の地表変動量は小さく,6年間で4cmを越える地表変動は見られなかったが,西山と東山に挟まれた平地部分や西山頂上付近を中心にDescending,Ascendingとも隆起傾向の変動が確認できた。また,変動量が大きい領域は地質分布と高い相関が見られる。GNSSとの比較では,GNSS「八丈」で時系列解析結果とGNSSがよく一致しており,妥当性が高い時系列解析結果が得られた。GNSS「西山南中腹」はDescendingでは変動傾向が一致したものの,Ascendingではやや異なる傾向が見られた。
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23) 干渉SAR解析とGNSSによる2014年以降の八丈島の地表変動 | ||||
○濱村 悠成・東 宏幸・小田 義也(東京都立大学) | ||||||
6月10日 | 11:10〜11:30
十和田八幡平国立公園内にある後生掛地熱地帯で,自然電位測定,電気探査,電磁探査を行った。後生掛温泉を含む地熱地帯では熱水活動が活発で,後生掛自然研究路と呼ばれる観光用の散策路が整備されている。熱水活動の変遷に伴い,散策路が侵食されることがあるが,侵食されつつある場所を含む散策路周辺で自然電位や浅部比抵抗構造を調べた。自然電位については,正の異常域と地温の高温部や変質部分がほぼ一致した。自然電位の正異常と変質部分の相関が特に高く,自然電位の発生原因は電気化学効果であると考えられる。現地では泥火山と呼ばれているマッドポットの直下では低比抵抗を確認しきれていないが,低比抵抗部は変質粘土が関係している可能性が高いことが示唆された。また,高比抵抗域は,地中レーダーの散乱が顕著であった。
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24) 後生掛地熱地帯での自然電位と比抵抗 | ||||
多田 悠也(日立建機),田表 主良・菅野 誠登(秋田大学),○坂中 伸也*・坪江 桂吾・崎山 律(秋田大学大学院),森脇 知哉(日特建設), 井上 雄介(応用地質) | ||||||
セッション | [地震2][防災2] | |||||
座長 | 二宮 啓(産業技術総合研究所) | |||||
6月10日 | 13:00〜13:20
我々は,岩手県盛岡市青山地区および本宮地区において山本ほか(2019)の極小アレイ微動観測に加え、微動計間隔10〜20mの3点微動アレイ探査実施し,地表から30m程度までの地盤構造の推定し,地盤増幅率の評価を行った。本宮地区において,深部20mまでのS波速度構造に関しては,山本ほか(2019)で仮定していたVs500m/s層のS波速度が,実際にはVs約400〜450m/sの値を示していた。しかし,地盤増幅率に関しては,差がほとんど無い。青山地区において,深部20mまでのS波速度構造に関しては,仮定していたVs400m/s層のS波速度が,実際には,西側ではVs約350m/s,東側ではVs約400m/sの値であった。地盤増幅率に関しては,山本ほか(2019)と0.1以上の差が出た観測点が多く確認された。地盤増幅率が大きくかつ震度分布が大きい青山地区に関しては,極小アレイ(半径0.6m)の観測だけでは精度の高い地盤増幅率を得ることができないため,間隔10m程度のアレイ観測をする必要があると考えられる。
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25) 岩手県盛岡市青山地区と本宮地区を対象とした極小微動アレイ観測による地盤増幅率の評価 | ||||
○山本 英和(岩手大学),菅生 琳(盛岡市役所),齊藤 剛(岩手大学) | ||||||
6月10日 | 13:20〜13:40
我々は、2007年能登半島地震により重篤な家屋被害が生じた門前町道下地区において、被害原因や被害の空間的分布の特徴の原因を調べることを目的に、地盤の微動測定、表面波探査などを実施した上で,幹線道路に沿う高密度な地盤モデルを作成して、地震応答解析を行い、被害原因と被害の分布要因を明らかにしている。本報告では、2次元微動アレイ探査およびH/V測定による浅部S波速度構造探査結果について報告する。森ほか(2007)により実施された常時微動測定によるH/Vスペクトルおよび表面波探査データを補完することを目的として、2次元微動アレイ探査を実施した。2次元微動アレイ探査では40台の微動計を10m間隔で直線的に配列し,幹線道路を完全にカバーする連続的な直線微動アレイ探査を実施した。微動の位相速度とH/Vスペクトルデータを用いた多地点同時逆解析により、精度の高い地盤構造を得ることができた。
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26) 2次元微動アレイ探査による石川県門前町道下地区における浅部S波速度構造探査 | ||||
○鈴木 晴彦(応用地質),森 伸一郎(愛媛大学),小西 千里(応用地質),小林 巧(土木研究所) | ||||||
6月10日 | 13:40〜14:00
寒冷地において,凍結等による表層地盤の物性変化が地震動へ及ぼす影響を定量的に評価することを目的に,テストサイトとした北見工業大学キャンパス内において,連続地震観測や表面波探査,アレー微動観測,電気探査,地中レーダ探査の各種物理探査を実施した.本論文では,実施した観測概要と地震観測データの初期分析結果を主として報告する.
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27) 寒冷地における地盤震動特性の評価を目的とした北見市での各種物理探査−概要と地震観測データの初期分析結果− | ||||
○津野 靖士(公益財団法人鉄道総合技術研究所),山中 浩明(東工大),高井 伸雄(北大),川尻 俊三(北見工大),中川 尚郁(北大),野本 真吾・堀田 淳(ジオテック),重藤 迪子(九大) | ||||||
6月10日 | 14:00〜14:20
寒冷地において冬期間は表層の地盤が凍結し,地震波速度に変化が生じる.これらを定量的に把握することで,地震動特性の高精度な評価につながる.本研究は,冬期間の平均気温が低く,降雪量が比較的少ない北海道北見市内を対象地域とし,年間を通した表面波探査結果の季節変動を把握することを目的に,未凍結期の2020年10月から厳冬期を経て2021年3月までの計5回の北見工業大学構内,KiK-net留辺蘂観測点近傍で実施した表面波探査による位相速度の変動に関しての報告である.北見工業大学構内においては,設置している土中温度計の結果と対応してRayleigh波位相速度が凍結時に上昇することが把握できた.KiK-net観測点においても位相速度の変化も見受けられたが,北見工業大学構内と比較して大きな変化ではなかった.両地点の変化の違いは表層地盤の土質性状を基に議論できると思われる.
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28) 寒冷地における地盤震動特性の評価を目的とした北見市での各種物理探査−表面波探査法を用いた探査結果の変動− | ||||
○高井 伸雄・塚本 あかり・中川 尚郁・岩崎 桃子(北大・工),野本 真吾・堀田 淳(ジオテック),重藤 迪子(九大),川尻 俊三(北見工大),津野 靖士(鉄道総研),山中 浩明(東工大),他 | ||||||
6月10日 | 14:20〜14:40
寒冷地において,凍結等による表層地盤の物性変化が地震動へ及ぼす影響を定量的に評価することを目的に,北海道北見市で2020年10月から約1〜2ヶ月の間隔で各種物理探査を実施した.電気探査では,地盤の凍結に伴い見掛比抵抗曲線のタイプがK型からH,Q型へと変化し,曲線タイプの変化過程から地盤の凍結状況を把握できた.比抵抗構造においては凍結に対応した高比抵抗層を捉えられたが,層厚と地中温度から算出された凍結深度との対応については課題が残った.地中レーダ探査では,未凍結時に検出されていた反射が,凍結後は検出時間が早くなる,検出できなくなるといった変化が確認され,この過程から地盤の凍結状況の変化を把握できた.S波速度構造などに電気探査,地中レーダ探査の結果を組込むことにより,凍結時の地震動評価における地盤モデルの精度向上が期待できる.
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29) 寒冷地における地盤震動特性の評価を目的とした北見市での各種物理探査−電気探査及び地中レーダ探査結果の変動− | ||||
○岸川 鉄啓・野本 真吾・堀田 淳(ジオテック),山中 浩明(東工大),川尻 峻三(北見工大),津野 靖士(鉄道総研),高井 伸雄(北大・工),重藤 迪子(九大) | ||||||
6月10日 | 14:40〜15:00
OYOつくばオフィス敷地内において,3成分の独立型の地震探査装置を用いた稠密微動測定を実施した.観測には24台のMcSEIS-ATを用い,およそ140m x 300m の範囲で375箇所のH/Vスペクトルを求めた.求められたH/Vスペクトルから,2-10Hzで最大値をとる周波数(ピーク周波数)とS波速度分布と比較したところ,表層のS波速度が遅い地点で,ピーク周波数が低くなっていた.次に,2-10Hzの周波数範囲におけるH/Vスペクトルの形状を相互に比較・視覚化するために多次元尺度構成法(MDS)を用いた次元低減を行った.次元低減したデータをK-means法によって分類した結果からも,S波速度が遅い部分が同じクラスとして抽出された.このように,簡易に計測できるH/Vスペクトルのピーク周波数,およびH/Vスペクトルの形状を用いることで,表層地盤を自動的に分類できる可能性が示唆された.
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30) 稠密微動測定によるH/Vスペクトルを用いた表層地盤の分類 | ||||
○小西 千里・鈴木 晴彦・石塚 理(応用地質株式会社) | ||||||
セッション | [土木2] | |||||
座長 | 高井 伸雄(北海道大学) | |||||
6月10日 | 15:20〜15:40
2019年4月に洋上風力発電推進法が施行され,洋上風力発電施設建設のための海底地盤調査市場が拡大している。一般的な地盤調査では,地質・物性はボーリングによって評価しているが,洋上ボーリングは陸上と比べ調査期間が長く費用も高額になるため,より単純な調査方法が強く求められている。著者らは短期間でS波速度構造を把握することを目的として「海底微動アレイ探査」を開発し,その適用性を一昨年春の講演会で報告した。本稿では,様々なサイトで実施した海底微動アレイ探査の実績から調査条件や海象条件,海底で得られる微動の特徴について報告する。
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31) 洋上地盤調査への適用:海底微動アレイ探査のケーススタディ - データ解析を通じて得られた海底微動の特徴 - | ||||
○今井 幹浩・井上 雄介・江波戸 昌徳・平出 亜・松原 由和(応用地質) | ||||||
6月10日 | 15:40〜16:00
微動の相互相関により,地震計間を伝播するグリーン関数を効果的に抽出することができる.しかし,微動源の分布が非等方であった場合,相互相関によるグリーン関数の推定精度が低下してしまう.本研究では,密な地震計アレイデータから微動源の分布を推定し,その分布を考慮した解析により,精度よく地震計間の速度情報を抽出することを試みた.糸島半島に設置した地震計アレイで観測した微動データの解析から,対象地域では車両に起因する振動が卓越しており,10Hz以下では表面波,15 Hz以上ではP波が卓越していることがわかった.60Hz付近では周辺の工事に起因する表面波と思われるシグナルが卓越していることがわかった.さらにこれらの微動源の分布を考慮した解析により,観測点間を伝播する表面波を抽出することができた.このように,密なアレイデータから微動源の分布を推定し,それを考慮した解析をすることで,より高分解能な速度構造の推定が可能になる. |
32) 糸島半島の不均質な微動場から抽出された表面波と実体波 | ||||
○池田 逹紀・辻 健(九大・院・工学研),小西 千里・斎藤 秀樹(応用地質) | ||||||
6月10日 | 16:00〜16:20
活断層が伏在すると想定されていたサイトにおいて浅部地盤変形構造のイメージングを目的としてS波ランドストリーマー反射法地震探査を実施した.このサイトではその後層序ボーリング,孔内S波VSP,CPT,サイスミックコーンVSPも実施している.反射深度断面には局所的な撓曲変形構造が捉えられていたが,CPT貫入抵抗プロファイルなどとの対比が困難で,表層部の構造解釈が困難であった.そこでこれらの測定データを再処理して浅部地質構造とS波速度構造モデルを再構築し,それに基づいて反射法探査データを再処理した.反射法データ処理ツールの高度化と低コスト化によって,以前には困難であった各種処理の適用が可能になってきている.再処理の結果,表層部の構造再現性を向上させることができ,主断層前縁部に凹地を形成する逆断層変形帯を解釈することができた.
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33) VSPおよびサイスミックコーンによるS波速度構造に基づいた既往ランドストリーマーS波反射法探査データの再処理解釈 | ||||
○稲崎 富士・加野 直巳(産総研 地質情報研究部門) | ||||||
6月10日 | 16:20〜16:40
弾性波トモグラフィは,観測走時から地盤情報を画像化するための逆解析手法として用いられる.本研究では以下の状況を想定する.すなわち,地盤中にセンサを自由に設置することはできないため,空間的には十分な観測データがあるわけではないが,観測はある程度の期間,適切な時間間隔で行われたとする.観測期間中に,地盤条件は少しずつ変化し,時間差データが計測できたと仮定すると,時間と空間の両方に関してデータの差を取ることによってスパースなデータを作ることができる.そのようなスパースなデータに対して,ここでは新たなADMMスキームを持つLASSO逆解析法を開発し,ノイズを有するシミュレーションデータに適用した.その結果,新しいLASSO逆解析法を用いれば従来のLASSOに比べて良い精度で解が得られることがわかった.
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34) 時間差データに対するスパースモデリングに基づく弾性波トモグラフィ | ||||
○邱 暁園・廣瀬 壮一(東工大),山中 義彰・江元 智子・今井 博・伊東 俊一郎(サンコーコンサルタント) | ||||||
6月10日 | 16:40〜17:00
地中レーダ探査は,電磁波の反射波の形状によって地中の状態を調べる物理探査技術の一種である.データの解釈は主に熟練した技術者の目視によって行われている.近年,データの取得システムの発達により,GPRデータを高速で3次元的な取得することが可能となり,解釈するべきデータが増加している.よって、その自動化,省力化が求められるようになってきた.一方,近年の深層学習の技術の進展に伴い,物体認識力が大幅に向上し,数多くの学習モデルが提案され続けている.地中レーダデータに対する深層学習の適用では,これまで2次元の断面画像を用いた研究が行われてきた.イベントの波形を判断する際には,3次元データから総合的に判断する方がより確実な抽出が可能となると考えられる.そこで,本研究では,3次元データを扱うことによって,深度断面,タイムスライスでの3次元データの学習を行い,その結果を比較,考察を行った.
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35) 3次元GPRデータへの深層学習によるイベント検知の試み | ||||
○伊東 快起・東宏幸・小田 義也(東京都立大学),松岡 俊文((公財)深田地質研究所),篠原潤((株)カナン・ジオリサーチ) | ||||||
6月11日第1会場 | ||||||
セッション | [資源探査2][地熱][その他] | |||||
座長 | 上田 匠(早稲田大学) | |||||
6月11日 | 9:30〜9:50
電気インピーダンストモグラフィ(EIT)は体表面から微弱電流を流し、比抵抗分布から人体内部の断面図を得る技術である。EIT はX線CTやMRI と比べて、人体に非侵襲である点や、装置を小型化できる点などの利点があり、特に肺機能モニタリングにおいて有効であるとされる。これは空気を多く含む肺が、他組織よりも高い比抵抗を示す性質に拠っている。しかし、EIT に必須な電極の周波数特性や電極材質 による安定性の違いについて詳しい議論はされておらず、臨床試験の前には模擬生体を用いた実験が必要となるが、模擬生体の周波数特性についてもほとんど研究されていない。そこで本研究では、電極および模擬生体の基礎的な性質について研究を行った。銅-硫酸銅電極の周波数特性の測定を行い、模擬生体として、食塩添加量の調整により任意の比抵抗の模擬生体を作製する方法を確立し、この模擬生体の周波数特性について議論を行った。これらの知見に基づいて、複雑な比抵抗分布を有する模擬生体に対して実際にEITを実施したところ、模擬生体の内部構造の可視化が可能となった。
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36) 電気探査法の人体トモグラフィへの適用 | ||||
○大島 由有希・後藤 忠徳(兵庫県立大学理学研究科) | ||||||
6月11日 | 9:50〜10:10
最初のマグネトテルリック(MT)応答関数推定器は、最小二乗理論に基づいています。ロバストな手順により、最小二乗法(LS)のパフォーマンスを向上させることができます。M推定器は、LS推定器によって予測された電場と観測された電場の残差に基づいて、外れ値を拒否するための小さな重みを与えます。 M推定器は、電場の異常なデータの影響を減らすことができますが、レバレッジポイントと呼ばれる異常な磁場データには敏感ではありません。有界影響(BI)推定器は、M推定器と、ハット行列の対角要素の統計に基づく重み付けを組み合わせたものです。 Alan Chaveはオープンソースコード(BIRRP)も作成しており、MTコミュニティで広く使用されています。 Chave(2004)は、BI推定器がM推定器よりも優れたことを示しましたが、すべての場合ではありません。レバレッジポイントは、磁場の大きな変動に対応します。エネルギッシュな信号またはアクティブノイズの可能性があります。このペーパーでは、BIRRPコードと比較するためにM推定器を紹介し、レバレッジポイントがエネルギー信号に対応するケースを示します。この状況では、M推定器はBI推定器より優れます。
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37) Comparing the bound influence and maximum likelihood magnetotelluric response function estimator | ||||
○Hao Chen・Hideki Mizunaga・Toshiaki Tanaka・Gang Wang(九州大学) | ||||||
6月11日 | 10:10〜10:30
MT法は、地下比抵抗構造を推定でき、超臨界流体を深部低比抵抗体としてイメージングすることができる。しかし、MT法による深部低比抵抗体イメージングは、低比抵抗体の形状に強く依存している。そのため、MT法を超臨界流体探査に用いる際には、超臨界流体を表す低比抵抗が、その形状に応じてどのようにMT法でイメージングされるか把握しておく必要がある。そこで、本研究では、超臨界流体探査を対象としたMT法の深部低比抵抗体イメージング能力を数値実験を用いて明らかとした。数値実験には、葛根田地域の超臨界地熱システムの比抵抗モデルを用いた。その結果、深部低比抵抗体の水平方向の大きさが埋没深度よりも大きい場合、MT法では低比抵抗体をイメージングできることが分かった。さらに、テスト結果により鉛直に細長い低比抵抗体が再現された際、実際の低比抵抗体は深部に広がりを持つ可能性があることも示された。
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38) MT法を用いた深部低比抵抗体のイメージング能力について:超臨界地熱資源探査の例 | ||||
○石須 慶一・小川 康雄・茂木 透(東工大),山谷 祐介・内田 利弘(産総研) | ||||||
6月11日 | 10:30〜10:50
地熱発電の生産性に寄与する微小な亀裂群を把握するため,弾性波がそれら微小な構造を通過した際に励起される回折波や散乱波に注目し,分布型光ファイバ音響センサ (DAS)で取得された記録から,それらの記録の抽出および回折源分布の可視化手法の開発に取り組んだ.DASの夜間連続観測記録に含まれていたAE記録から坑井近傍の亀裂や断層で発生する回折波の抽出を行い,その結果を坑井情報と対比したところ,回折波に見られる増幅現象が断裂兆候指標として有効である可能性を示した.また抽出した回折波の発生源をPSDMによる回折源イメージングによって回折源分布を推定し,それらの分布が坑井情報や地表弾性波探査記録(SSP)の解析結果と整合的であることが明らかとなった.本解析で実施した回折源の可視化結果はDASケーブル一本で収録された受動観測に基づく記録であり,SSPに準ずる断裂系情報を僅か12時間の観測で捕捉することができた.
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39) DAS夜間観測記録を用いた回折波抽出・可視化手法 | ||||
○寺西 慶裕・青木 直史・藤澤 萌人(地科研),小野寺 真也(JOGMEC) | ||||||
6月11日 | 10:50〜11:10
秋田県八幡平に位置する大沼地熱発電所の地熱井を借用し分布型音響センサー(DAS)と人工震源を用いた地震探査を行った。三菱マテリアル社が保有する大沼地熱発電所は1974年に操業を開始した日本で3番目の地熱発電所である。O-13R地熱坑井中に深さ1973mの深さまで光ファイバーを設置し温度の計測と地震波の計測を行った。坑内温度は1150mで240℃であった。9地点において30秒間に10-75Hzまでスイープして得た地震波の記録を480回スタックした。F-Kフィルタリングの処理して直達波と反射波を分離した。反射波記録では深さ2.9-3.0qからの波群が明瞭にほぼ全震源位置の記録で見られた。マイグレーション処理をした結果、反射波の生じる場所はO-13Rの坑口の南西に位置し、深さ2.8-3.0qにあることが分かった。反射波の振幅は大きく、それは20%程度の密度低下で説明可能であり、未知の地熱貯留層を示唆するのかもしれない。
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40) 秋田県大沼地熱発電所地熱抗井内のDASを用いた地震波探査 | ||||
○笠原 順三・羽佐田 葉子・久詰 陽康(エンジニアリング協会),三ケ田 均(京大),藤瀬 吉博(WELMA) | ||||||
6月11日 | 11:10〜11:30
現在,月の地下にあると考えられている氷水は,資源として重要とされている.また,将来的には月面基地を建てる計画があり,月の地下構造を調べることが求められている.月探査では,ロケットに搭載できる物資の量や金銭的な問題から,探査機の重量や大きさに限度がある.そこで,本研究では,小型の地震計アレイを月面で使用して微動を観測し,CCA法で解析した場合のアレイ配置毎の最大可探深度を推定した.可探深度は,アポロデータを用いて算出した周波数毎の最小波数限界と実際の月での波数を比較し,最大波長解析限界を求め,三分の一波長則を用いて求めた.推定した可探深度より,例えば求めたい深度が3mの場合,ノイズレベルを抑えることができれば5角形アレイでは0.3m半径,3角形アレイでは0.5m半径の小型アレイでも探査できることが分かった.提案する評価方法は,将来の月探査プロジェクトにおいて地震計アレイを設計する際に有効であると考えられる.
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41) CCA法での解析に基づく小型微動アレイ探査システムの月探査での活用に向けた検討 | ||||
○折田 まりな・池田 達紀・辻 健(九大・院・工学府) | ||||||