社団法人 物理探査学会
第140回(2019年度春季)学術講演会


SARコヒーレンシー差分画像の防災利用の可能性について

講演要旨(和文)
合成開口レーダー(SAR)は,地表に観測点がない場合や天候が悪い場合でも地表面の変動を検出できる技術である.InSAR処理におけるコヒーレンス値は,異なる2時期のデータの干渉処理を行う過程で中間データとして生成される.コヒーレンス値はInSAR処理においては一般に干渉性の良さを評価する指標として用いられ,地表の土地被覆状態の違いによる干渉性への影響評価に使われる.またこの手法を用いて洪水の検出や農業用地のモニタリングへの応用が報告されている.今回,西日本豪雨の被災地である広島県と岡山県の豪雨前後のALOS-2/PALSAR-2画像を解析し,豪雨時に浸水した地域の抽出を試み,一部浸水ハザードマップとの比較を行った.その結果,コヒーレンスマップと実際の浸水域はほぼ一致しており,非常に良い整合性を示した.

講演要旨(英文)
SAR coherency difference image is an intermediate product of InSAR analysis. The purpose of this study is to verify the consistency between the SAR coherency difference image and the actual flooded areas. The data used in this study are ALOS-2/PALSAR-2 images acquired around July 2018 in Hiroshima and Okayama prefectures. The results show that coherency analysis in these areas is effective for the extraction of actual flooded areas, and it suggests a possibility as disaster prevention information.