社団法人 物理探査学会
第136回(平成29年度春季)学術講演会


干渉SAR解析を用いた白山南西部斜面における近年の地すべり地表変動の検出

講演要旨(和文)
白山は石川県と岐阜県にまたがる標高2702mの活火山であり,白山南西斜面には甚之助谷や湯の谷,別当谷等の地すべり地帯の存在が知られている。これまでにも,地表の衛星測位システムやALOSデータを用いた干渉SAR解析によって対象地域の地すべり地表変動が推定されているが,近年の地表変動は明らかとなっていない。本研究は,ALOS-2データを用いた干渉SAR解析によって,2014年から2016年の間の白山南西斜面の地すべり地表変動量を推定した。その結果,甚之助谷と湯の谷の地すべりブロックの一部で年間10cm程度の地表変動を捉えた。地表変動が捉えられた箇所は,航空写真によって解釈された地すべりブロックと整合的であり,さらには湯の谷では地すべりブロックの一部が変動している時期があることが明らかとなった。本研究の結果は,干渉SAR解析を用いた地すべり地表変動のモニタリングの有効性を示していると考えている。

講演要旨(英文)
In this study, we detected surface displacements of the landslide areas around the southwest slope of Mt. Hakusan using synthetic aperture radar interferometry of ALOS-2 data acquired from 2014 to 2016. Based on the displacements, we recognized active landslides and characteristics of landslide blocks.