社団法人 物理探査学会
第122回(平成22年度春季)学術講演会


線形作用素のスペクトル分解を用いた地震波干渉法によるグリーン関数合成に関する考察

講演要旨(和文)
地震波干渉法を用いることにより、対象としている波動場がある条件を満たせば、相互相関をとる2点間のグリーン関数が取り出せることが知られている。この証明には、グリーン関数の相反定理と時間反転不変の原理にもとづくグリーン関数の持つ時空間での対称性が利用されている。本研究では、地震波動場を記述する弾性波動方程式を、線形作用素論の観点でとらえることにより、地震波干渉法の基礎式を導出することを試みる。線形作用素のスペクトル分解を用いて、構成論的な手法により、グリーン関数を構成することにより、地震波干渉法によりグリーン関数の合成が可能な条件について考察する。この方法では、グリーン関数の対称性だけでなく、グリーン関数を構成している構成要素の性質を利用できる可能性があるため、地震波干渉法によりグリーン関数が取り出せる条件について、より踏み込んだ定量的な考察が可能となると期待できる。

講演要旨(英文)
The Greens function can be retrieved under a certain condition by the seismic interferometry technique. By using spectral decomposition of linear operator for a seismic wave equation, we study on conditions for retrieval of Greens function from cross-correlation function of random fields. Since the spectral decomposition of linear operator is general theory, it is possible to adopt the seismic wave field under general conditions. We show that the Greens function can be retrieved from cross-correlation function for generally heterogeneous elastic media without attenuation if the wave field is random. For media with attenuation, we consider approximated equations by using the perturbation theory for linear operators.