創立75周年記念シンポジウム および 第149回(2023年度秋季)学術講演会 詳細プログラム | ||||||
10月11日(水) ホール会場(井深大記念ホール,1F) | ||||||
セッション | 記念シンポジウム:資源(石油・ガス・金属・地熱) | |||||
コンビーナ | 松島 潤(東京大学・院・新領域),荒井 英一(エネルギー・金属鉱物資源機構) | |||||
10月11日 | 10:10〜11:40
持続可能な社会へ向けて,低・脱炭素化への取り組みが国際的に加速している.その中で重要なクリーンエネルギー技術は,化石燃料を使用する発電技術よりも多くの材料を必要とするが,パリ協定の気候変動目標を達成するためには,これらのクリーンエネルギー技術をより多く導入する必要があり,その結果として鉱物資源の使用量もさらに大きくなると予想される.その一方で,鉱物資源の探査はますます困難になっており,初期探鉱を避ける傾向と相俟って、近年新規鉱床の発見率は低下し続けている.新規鉱床の不足が将来的な鉱物資源の不足につながることは自明であり,長期的な視点に立てば,初期探鉱を梃入れする必要がある.物理探査技術においては、@探鉱の経済効率の改善、A真に必要な探鉱情報の取得、B従来法では得られなかった情報の取得などの課題の解決が求められる。そのためには、国際的かつ産官学を挙げた経験・知識・知恵の結集が不可欠である。
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1) 金属資源分野における物理探査技術の発展と展望 | ||||
○岡田 和也(1) 1:エネルギー・金属鉱物資源機構 |
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10月11日 | 10:10〜11:40
近年の地球温暖化対策や国産エネルギー資源開発の重要性から,国も再生可能エネルギーの一つとして国内に豊富に存在する地熱資源の開発を支援しており,多くの地点で地熱開発が進められている.また,新たな地熱開発手法として人為的に貯留層を改善したり,造成したりするEGS (Enhanced/Engineered Geothermal Systems)や超臨界地熱発電などの開発が進められ、空中からの各種探査や光ファイバを用いた温度・弾性波計測など物理探査技術の開発も進められている.しかし,地熱開発においては依然として地下開発に伴うリスクやコストが大きな課題となっている.本講演では地熱開発における開発リスクの低減に必要な地下構造を精度よく評価するための物理探査技術について,従来の天然貯留層の探査のほか,新たな地熱開発手法における物理探査技術の適用の現状と今後の展望について概説する.
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2) 地熱開発のための物理探査技術 | ||||
○海江田 秀志(1) 1:電力中央研究所,鹿島建設 |
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10月11日 | 10:10〜11:40
近年、E&Pの事業環境が大きく変化しており、カーボンニュートラル社会の実現およびエネルギーの安定供給の両立が求められている。本講演では、この事業環境の変化について概説するとともに、それを受けてのJOGMECの主な取り組みとして、JOGMEC法の改正、及び新技術事業戦略の策定について紹介する。更には、この変化する事業環境においても、物理探査分野からの貢献は重要であり、新たな展開が大きく期待される技術テーマとしてCCS事業のCCSサイト調査およびCO2モニタリングを挙げる。また従来のE&P事業においても、地震探査データの取得・処理・解析に関する技術の高度化の他、機械化・自動化、効率化、コスト削減のための技術開発は今後も大きな進展が期待されることについて述べる。
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3) エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現を目指した石油・天然ガス開発分野における取り組みと物理探査分野からの貢献 | ||||
○加藤 文人(1) 1:エネルギー・金属鉱物資源機構 |
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10月11日 | 10:10〜11:40
石油・ガス開発事業において, エネルギーの安定供給と地球温暖化対応の両立を図る上で, 増進回収を伴うCCUSや帯水層CCSの推進が不可避であり, 早期マネタイズを前提とした探鉱・開発コストの効率化が要請される. こうした状況下において, 精緻なSubsurfaceデジタルツイン構築は地下の流体流動に関わる時間履歴の把握・予想の精度向上を図る上で, 物理探鉱データ取得・処理・解析・評価に関わる多様な技術要素の発展が不可欠である. 本稿では, デジタルツイン構築に必要な要素技術の現状と今後の展望を俯瞰し,併せて,各種要素技術の精度向上・効率的適用を図る上で、機械学習・AI・生成AI技術への期待に言及した。
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4) カーボンニュートラル実現に向けた石油・天然ガス探鉱技術の新展開 | ||||
○阿部 進・赤間 健一(1) 1:地球科学総合研究所 |
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セッション | 記念シンポジウム:環境(土壌・地下水・CCS・地層処分) | |||||
コンビーナ | 光畑 裕司(産業総合技術研究所),新部 貴夫(石油資源開発) | |||||
10月11日 | 13:00〜14:30
塩水井戸近傍で建設工事を行う際は、井戸水に対する工事影響を評価するために水理構造を把握することが重要であるため、塩水の低比抵抗値に着目して簡易型三次元電気探査による湧水経路の把握を試みた。探査の結果、三次元比抵抗分布の把握によって、塩水賦存帯と推定される低比抵抗帯が保全対象井戸から近傍工事箇所に連続していることを確認し、工事影響が懸念されると判断された。簡易型三次元電気探査は、低コストで迅速に簡易的な三次元比抵抗分布を把握することが可能であり、岩盤裂罅水の湧水経路などの複雑な水理構造の把握に有効な探査手法と考えられる。
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5) 簡易型三次元電気探査を用いた地下水調査事例 | ||||
○谷岡 伸也・佐々木 勝・吉川 猛・八野
祐二(1) 1:基礎地盤コンサルタンツ |
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10月11日 | 13:00〜14:30
地層処分の対象となる放射性廃棄物は,使用済燃料の再処理過程における分離の際に残る放射能レベルの高い廃液(高レベル放射性廃液)をガラス固化した高レベル放射性廃棄物と,半減期の長い核種を一定量以上含む一部の低レベル放射性廃棄物である.これらの放射性廃棄物を数万年以上の長期間にわたって岩盤により人間の生活環境から隔離し,人工バリアと天然バリア(岩盤)からなる多重バリアシステムによって閉じ込めることができるようにするためには,自然現象の著しい影響を回避し,地層処分の観点から好ましい特性が長期にわたって安定に維持される地質環境を選定する必要がある.本稿では,このような地質環境を選定するための考え方や進め方を述べるとともに,そのために必要な地質環境の調査・評価技術としての物理探査技術の現状について紹介する.
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6) 高レベル放射性廃棄物等の処分地選定における物理探査技術の現状 | ||||
○松岡 稔幸(1) 1:原子力発電環境整備機構 |
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10月11日 | 13:00〜14:30
日本CCS調査株式会社は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(2017年度までは経済産業省)から受託して苫小牧で取り組んでいるCCS実証試験の一環として、圧入したCO2の挙動や分布状況を把握することを目的とした繰り返し弾性波探査を実施している。探査範囲の水深は10m未満〜40m程度で、主に対象とする貯留層は深度約1000mの萌別層砂岩層である。実証試験では、2016年4月より年間10万t規模のCO2圧入を開始し、累計CO2圧入量30万tに達した2019年11月にCO2圧入を停止した。CO2圧入開始以降6回のモニター調査記録を取得し、圧入開始前に取得したベースライン調査記録を用いたタイムラプス処理を実施し、圧入期間中にはCO2圧入進展に伴う振幅変化を、30万t圧入終了以降には経時的な振幅変化をそれぞれ捉えた.本講演では、これまでの繰り返し弾性波探査の概要と、うち3D調査に関するデータ取得およびタイムラプス処理適用結果について紹介する.
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7) 苫小牧CCS 大規模実証試験における繰り返し弾性波探査 | ||||
○新色 隆二(1),斎藤 秀雄・石毛 宏和(2),加藤
久遠・棚瀬 大爾(1) 1:日本CCS調査,2:地球科学総合研究所 |
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セッション | 記念シンポジウム:宇宙や空中からの物理探査(リモートセンシングとドローン物理探査) | |||||
コンビーナ | 六川 修一(防災科学技術研究所,東京大学),酒井 直樹(防災科学技術研究所) | |||||
10月11日 | 14:50〜16:20
衛星地球観測をめぐる近年の動向を概観するとともに,衛星コンステレーションと呼ばれる連携観測や関連する衛星関連プログラムの今後を展望する.民間小型衛星の台頭は,観測頻度向上や柔軟な観測エリア選択を可能とし、衛星データ価値の向上を後押ししている.一方で小型衛星センサの観測幅の限界やセンサ仕様の多様化によって,ユーザ目的を達成するための観測デザインが必要となってきた.災害情報の瞬時把握という社会的要請については,衛星リソースのトータルマネジメントの発想で対応することが望まれ,たとえば,衛星メーカの観測カレンダーや軌道情報を活用して,瞬時に観測タスキングを発動できる体制を堅持することが必要である.また,今後に向けて,衛星から地上センサまでマルチセンサ情報のカスケード統合を可能とするシステム構築も求められる.
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8) 新たな局面を迎えた衛星リモートセンシングの利活用 | ||||
○六川 修一・田口 仁・酒井 直樹・平
春(1) 1:防災科学技術研究所 |
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10月11日 | 14:50〜16:20
災害後の復旧復興フェーズでは,亀裂等がはいったり,強震動を受けた崩壊をしていない斜面におけるリスクを知りながら,まちづくりを考えていく必要がある.このような不安定化した斜面のリスク評価は極めて難しいが,各種物理的なモニタリング情報を収集し統合評価することが重要である.その一つ方法として,各種情報をAIで処理して作成した3D地盤モデルを確立し,さらにその地域における環境条件を考慮し物理シミュレーションにより評価することが可能となる.そこでは,ここでは空と地上の観測情報を組み合わせた合理的なリスク評価の課題について議論する.
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9) 空と地上の観測情報を組み合わせた合理的な土砂災害リスク評価への課題 | ||||
○酒井 直樹(1) 1:防災科学技術研究所 |
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10月11日 | 14:50〜16:20
近年,気候変動により災害が激甚化している.浸水災害においては衛星データを利用して広域にわたる浸水被害を把握して情報提供を実施する取り組みが行われている.内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(第2期)では,「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」において被災状況解析・予測技術の開発が行われてきた.この中で災害発生後,最速2時間から12時間以内程度で,主にALOS-2の緊急観測データを利用して迅速に浸水災害の概況を提供する取り組みを実施し,エンドユーザの要望を反映したプロダクトを提供してきた.その取り組み内容と成果の一部を報告する.
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10) 防災における衛星データの高度利用 | ||||
○虫明 成生・浅田 典親・本田 謙一(1) 1:国際航業株式会社 |
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10月11日 | 14:50〜16:20
2011年台風第12号に伴う大雨により、紀伊半島では深層崩壊等の大規模な被害が発生した。この災害を契機として大規模土砂災害対策技術センターが設置され、紀伊山系砂防事務所とともに深層崩壊等の大規模土砂災害への対応手法について検討を進めている。本稿では、紀伊山地における空中電磁探査技術や衛星リモートセンシング技術の活用事例について報告する。深層崩壊発生機構の検討において、ドローンによる空中電磁探査を活用することにより、断層が地下水の挙動に及ぼす影響を可視化でき、斜面内部の構造調査への適用性が高いことを示した。また、大雨の後の流域内の土砂堆積状況の把握において、強度差分SAR画像を活用することにより、広域の大規模土砂災害の発生調査と施設点検の迅速な実施に有用であることを確認した。
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11) 紀伊山地における空中電磁探査およびSAR 画像を活用した大規模土砂災害対応に向けた取組 | ||||
○竹下 航(1)小林 正直・岸本 優輝(2),山越
隆雄(1) 1:国総研,近畿地整大規模土砂災害対策技術センター,2: 近畿地整大規模土砂災害対策技術センター, 近畿地整紀伊山系砂防事務所 |
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10月11日(水) 第1展示会場(第1会議室,3F)および オンラインフォルダ | ||||||
セッション | 学術講演会:ポスター(コアタイム前半) | |||||
座長 | 光畑 裕司(産業技術総合研究所) | |||||
[火山][地熱] | ||||||
10月11日 | 16:30〜17:30
今回JOGMECが北海道標津地域で地熱資源ポテンシャル調査のために掘削したヒートホールのコアから5m毎に試料のサンプリングを行い岩石物性を実験室で測定した.測定によれば,新第三紀中新世忠類層中の安山岩質火山岩類は磁化率が高いものの,NRM強度とQn比は低い.これは岩石磁気学的には花崗岩のような深成岩類の特徴である.また,NRMの伏角は負値(逆帯磁)を示すものが全体の2/3あった.一方,玄武岩質貫入岩類は磁化率に加えNRM強度とQn比も高く,伏角は負値を示す.標津地域では正帯磁および逆帯磁起源と考えられる磁気異常が混在しており,NRM強度が高く逆帯磁の玄武岩質貫入岩類は逆帯磁型の磁気異常の原因となり得る.また,正帯磁型の磁気異常については通常は新期の火山岩類を想定しがちであるが,今回の忠類層のような大凡逆帯磁と考えられる古い地層でも,正帯磁型の磁気異常をもたらしえることに注意する必要がある.
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P-1) ヒートホールから採取されたコア試料の岩石物性測定 | ||||
〇大熊 茂雄・石塚 吉浩(1),渋谷
桂一(2) 1:産総研,2:旧産総研 |
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10月11日 | 16:30〜17:30
本研究では磁化構造を用いた熱水系の解明を目的とし,東北地方で噴火の危険性がある吾妻山の大穴火口について注目した.大穴火口を含む吾妻山地域では,2013年に国交省により有人ヘリコプターを使用した調査によって空中磁気データが取得されている(国交省,2014).一方,大穴火口とその近傍では,2021年に東北大学を中心とする大学グループがドローンを使用した磁気探査によりデータを取得している(米倉ほか,2023).そこで,大穴火口での火山活動の進行度合いを見るために,2021年と2013年に測定した空中磁気データから拡張交点コントロール法(Nakatsuka and Okuma,2006)によって磁気異常時間変化データの抽出を試みた.当該手法は2調査の測線の交点における時間変化を高度変化も考慮し効率的に抽出するものである.本発表では当該研究の結果について報告する.
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P-2) 吾妻山における磁化構造の時間変化解析 | ||||
〇米倉 光(1),市來 雅啓(2),大熊 茂雄・宮川
歩夢(3),田中 良(4),海田 俊輝(2),柘植 鮎太(4),太田 豊宣(5), 橋本 武志(4) 1:東北大, 産総研,2:東北大,3:産総研,4:北大,5:テラテクニカ |
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10月11日 | 16:30〜17:30
We have introduced a 3D inverse scheme for the magnetotelluric (MT) problem using the non-linear conjugate gradient method. Merely two or three forward modeling operations and one adjoint calculation per frequency are typically necessary to effectuate the model update at each iteration. This efficiency is realized through the integration of a straightforward line search process, which advocates for a significant reduction in the objective function, rather than pinpointing its minimum along a specific descent trajectory. Another benefit in the scheme is sought by integrating a regularization divergence-free and multi-resolution approach to accelerate solution convergence. Despite these efficiencies, the authenticity and intricacy of the solution remain constrained by the speed and memory capacity of serial processors. To surmount this hurdle, the inversion scheme also accommodates parallel computing and proves the stability of the inversion algorithm.
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P-3) Three-dimensional magnetoelectric inversion based on nonlinear conjugate gradient method using accelerated forward and adjoint calculation technique | ||||
〇Jian Li(1),Yasuo
Ogawa(2),Jianxin Liu・Rongwen Guo・Xulong Wang・Jingdao Xu(3) 1:Central South University and Tokyo Institute of Technology,2:Tokyo Institute of Technology, 3:Central South University |
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10月11日 | 16:30〜17:30
地熱資源の探査において,地熱貯留層を含む地下深部までの探査情報を取得する必要がある.MT法は,地熱探査の標準的な物理探査法として多くの地熱地帯で利用されている.MT法で詳細な地下構造を得るためには,測定ノイズを抑えた品質の良い時系列データが必要である.これは,ハードウェアを含むデータ取得の課題である.また,ある程度の測定ノイズが含まれた時系列データでも,より正確な見掛比抵抗および位相を推定したい.これは,データ解析に進む前段階としてのデータ処理の課題である.本研究では,MT法の時系列データ処理に焦点を当てて,その理解を深めるとともに,これまでの手法の問題点についての検討した.その目的のため,改良版のカスケードデシメーションプログラムと,人工のMT時系列データを作成するプログラムを開発した.この両プログラムを開発する過程で,従来の見掛比抵抗の式が間違っていることを発見することができた.
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P-4) MT法の常識と非常識 | ||||
〇水永 秀樹・田中 俊昭・橋本 幸治(1) 1:九州大学 |
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[ケーススタディ] | ||||||
10月11日 | 16:30〜17:30
2022年に名古屋大学東山キャンパスにおいて地盤振動観測を実施した.キャンパスの直下には名古屋市営地下鉄名城線が通っており,名古屋大学駅に発着する地下鉄車両の走行振動が観測される.そこで,地下鉄直上に直交2測線(測線長約50m)の直線状アレイを設け,各3時間の微動観測を実施した.観測データには地下鉄走行振動が明瞭に捉えられていた.進行方向により波形やスペクトルの特徴が異なることがわかり,単純な列車振動モデルを用いて検討を行った.また,アレイ記録から列車走行に関する情報の推定を試みた.また,地震波干渉法に基づいて発振点記録を合成し,地表を伝播する表面波とP波と推定される波群を検出した.
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P-5) 名古屋大学東山キャンパスでの地盤振動観測:地下鉄走行振動の解析 | ||||
〇渡辺 俊樹(1),佐藤 渓一(2) 1:名大,2:海上保安庁 |
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10月11日 | 16:30〜17:30
This study evaluates the use of magnetic susceptibility and magnetization vector inversion techniques to identify polymetallic mineralization in Afghanistan's Panjshir area. A ground magnetic survey was conducted to collect high-resolution magnetic data, revealing magnetic anomalies linked to polymetallic mineralization. These anomalies are spatially associated with geological formations, indicating potential mineral deposits. The combined interpretation of magnetic susceptibility inversion and magnetization vector inversion data helps understand the geological processes influencing polymetallic mineralization formation. The findings enhance resource assessment efforts, advance mineral exploration techniques, and promote sustainable mining growth in this economically crucial area.
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P-6) Magnetic Susceptibility Inversion and Magnetization Vector Inversion: A Case Study for Polymetallic prospecting in Panjshir, Afghanistan |
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〇Mohammad Hakim
Rezayee・Hideki Mizunaga(1) 1:Kyushu University |
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10月11日 | 16:30〜17:30
東柏崎ガス田平井地区の枯渇ガス貯留層を対象とし,新規に掘削予定のCO2圧入井及びCO2圧入による天然ガスの増進回収を目的とした生産井を用い,貯留層キャラクタリゼーションや地下構造評価を目的とした坑井間地震探査のフィージビリティスタディを実施した.データ取得仕様(発震点配置・受振点配置)を検討するため,波線追跡によるDistributed Acoustic Sensing(DAS)の感度評価と二次元音響Full Waveform Inversion(FWI)による合成波形スタディを行った。FWIによる合成波形スタディとして,幾つかの発震範囲と受振範囲のパターンでチェッカーボードテストを実施した。DASの感度評価とチェッカーボードテストの結果から,本坑井配置において坑井間地震探査を実施する際は,発震範囲と受振範囲の双方を広く設定することが必須であることが判明した.
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P-7) 枯渇ガス田でのCO2圧入を目的としたDASケーブルを用いた坑井間地震探査のフィージビリティスタディ | ||||
〇藤本 暁・加藤 文人(1),河野 昭博(2),島野
恭史・小西 祐作(1) 1:JOGMEC,2:株式会社INPEX |
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セッション | 学術講演会:ポスター(コアタイム後半) | |||||
座長 | 森藤 遥平(電力中央研究所) | |||||
[資源探査][石油天然ガス][CO2][金属] | ||||||
10月11日 | 17:30〜18:30
CCS事業においてはCO2圧入によるマイクロサイスミック(以下、MS)の発生が予想され、このMSの常時観測、及び時空間分布の解析を行うことで、CO2プルームの広がりやその周囲の応力変化を解釈できる可能性がある。DAS計測は従来よりもMS観測コストの低減、及び空間受振点密度が高くなる利点がある一方で、複数坑井で計測ジオメトリの違いによるMS震源評定への影響にまで踏み込んだ研究事例は少ない。そのため、どのような条件がDAS計測によるMSイベント震源評定結果の精度に影響するかについて、合成データを用いた検討を行ったので、その結果について報告する。DAS計測単体では、震源評定結果は坑井ジオメトリと誤差の影響を受けやすい結果となったものの、地表観測点を1点追加することで結果が大きく改善された。このことから、地表観測点とDAS計測を組み合わせたMS観測は効果的と考えられるが、両観測システム間の統一的運用が今後の課題となると考えられる。
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P-8) 複数坑井におけるDAS計測でのマイクロサイスミック震源評定の可能性検討 | ||||
〇河野 昭博・黒澤 功・小林 佑輝(1) 1:株式会社INPEX |
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10月11日 | 17:30〜18:30
CO2地下貯留の実施を考える上で, 安価で効率的なモニタリング技術の開発が重要である. なかでも, 光ファイバーケーブルを使用したDistributed Acoustic Sensing (DAS) 計測は重要なセンシング技術の一つであり, 効率的に大量のデータを取得することが可能である.坑内への設置だけでなく, 地表や海底に既設の光ファイバー (Dark Fiber) でDAS計測を行う事例も出始めている. Dark Fiberは既設ファイバーケーブルを使用して簡便にDAS計測を開始できる一方, 計測可能な場所に制限があること, 通信用ケーブルであるためDAS専用のケーブルと比べてデータ品質が劣ること等が課題である. そこで計測のために新たにファイバーケーブルを地表に展開するSurface-deployed DAS (Surface DAS) 計測に着目しているが, 計測作業のコストがどの程度か確認する必要がある. 本稿では,本年実施したフィールドトライアルをもとに, Surface DAS計測作業コストを, 従来通りジオフォンを展開した震探の収録作業と比して検討した.
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P-9) 地表設置光ファイバーを用いたSurface DAS計測とジオフォンによる計測の作業コスト比較 - 新潟県下越地域フィールドテストをもとに | ||||
〇成瀬 涼平・小林 佑輝・柾谷 将吾(1) 1:INPEX |
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10月11日 | 17:30〜18:30
The Afghan Tajik basin, located in the depression zone between the mountain axes, experienced compression, and deformation during the collision of India with the Eurasian plate. While the southern part of this basin remains relatively unexplored, it holds significant potentials for oil and gas resources. The Afghan Tajik basin depositional environments resulted from mixing terrestrial and marine systems, which has potential prospects of Jurassic and Tertiary in shallow petroleum systems. We used 2D regional seismic profiles with a total length of 674.8 km over an area of 2500 km2 in the southern part of the basin. To characterize hydrocarbon systems and structure in this study area, we applied advanced seismic attribute such as spectral decomposition 10 - 60Hz based on time-frequency analysis. The spectral decomposition results yield the averaging 20 - 30Hz group spectral amplitude anomaly. Based on this anomaly result, seismic, and structural interpretation, potential hydrocarbon accumulations were inferred around the main thrust folds in the Tertiary Paleogene and Neogene petroleum systems, which appeared to be accumulated around the central study area. Furthermore, it seems that hydrocarbons dominantly migrated along the main thrusts and then concentrated around anticline fold systems, which could be sealed by mudstone/carbonate rocks.
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P-10) Subsurface structures related to hydrocarbon migration and accumulation in the middle east: Insights from seismic attribute analysis | ||||
〇Samim Khair Mohammad(1),Takeshi Tsuji(2),Chanmaly Chhun(1) 1:Kyushu Univ.,2:Kyushu Univ.,Univ. of Tokyo |
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10月11日 | 17:30〜18:30
本研究では、気体を含んだ砂層に対して、超音波を連続照射することによる波動伝播現象の特徴を実験的に観測することを試みた。その結果、超音波の連続照射約650 時間以降、観測波形の振幅が全体として増加していき、約800時間後には、振幅の大きさは高止まりしていることが観測された。連続する超音波照射により、砂層中に滞留しているバブルの変形・移動により透過波のエネルギー損失が最小化され、エネルギー増幅が起きることが考えられる。砂層中にバブルが存在するかを確かめるために、3次元のX線CT測定を行ったところ、無数のガスバブルが様々な形態・サイズで砂層中に滞留していることが観測された。砂層中のガスバブルにおけるこのような観測例は存在せず(あるいは極めて少なく)、もし事実であれば超音波によるガスバブルマニピュレーションの可能性を示唆する。
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P-11) 気体を含んだ砂層への超音波連続照射により観測された透過波のエネルギー増幅:超音波によるガスバブルマニピュレーションの可能性 | ||||
〇松島 潤(1),児玉 匡史(2),水野
勝紀(1),横田 俊之(2),鈴木 誠(3) 1:東大・院・新領域,2:産総研,3:東大・院・工学系 |
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10月11日 | 17:30〜18:30
スカルン鉱床探査へのAMT法の有効性を検証するため,釜石鉱山周辺のおよそ4 km×3 km四方の範囲において AMT法測定を行った.39測点のデータを使用して3次元解析を行い,当該地域の標高-2 km程度までの比抵抗構造を求めた.解析された比抵抗構造は推定されている地質構造と整合的であり,鉱体や凝灰岩が低比抵抗層として,周囲の閃緑岩やヒン岩や花崗閃緑岩が高比抵抗層として把握できることが確認された.AMT法が当該鉱山の鉱床分布および地質的特徴を矛盾なく説明可能であり,地下深部にある潜頭性のスカルン鉱床調査に有効であることがわかった.
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P-12) 釜石鉱山周辺におけるAMT法のスカルン鉱床探査への実証試験 | ||||
〇梅澤 良介・高倉 伸一・小森 省吾(1) 1:産総研 |
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10月11日 | 17:30〜18:30
物理情報に基づくニューラルネットワーク(PINN)は,近年多くの研究者によって技術開発が進んでおり,その適用範囲は益々広がっている.この手法は,物理学の知識を偏微分方程式の形でニューラルネットワーク内に取り入れることで,少ないデータからも高精度な予測やシミュレーションが可能となると言われている.我々はこの手法の重力探査への適用について検討した.重力値はラプラス方程式を満足する物理量であり,観測された測定データを初期条件と見なして,z方向に対してシミュレーションを行うことによって,多くの重力値に関する変数(例えば,鉛直2次微分や上方接続)などが,非常に簡単に計算できる.今回は,「産総研重力DVD(2013)」,「西南日本重力グループ(2007)」のデータを利用し,重力値に対してPINN手法の適用を試みたので,結果について報告する.
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P-13) 物理情報に基づくニューラルネットワーク(PINN)による重力データの解析 | ||||
〇松岡 俊文(1),東 宏幸(2),小鹿 浩太・野崎
京三(3) 1:深田地質研究所,2:都立大,3:応用地質 |
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10月11日(水) 第2展示会場(第2会議室,3F)および オンラインフォルダ | ||||||
セッション | 学術講演会:ポスター(コアタイム前半) | |||||
座長 | 岡本 京祐(産業技術総合研究所) | |||||
[地震][防災1] | ||||||
10月11日 | 16:30〜17:30
鉄道における早期地震警報システムの地震データの品質を検討するため、環境振動が静穏であるサイトを選定し、鉄道総研が保守・管理している笠間観測点において地震観測を実施した。鉄道における早期地震警報システムに使用している地震データの品質を検討した結果,パワー・スペクトル密度は-110dB程度のデータ品質を有していることがわかった.今後は,期間中収録されたデータを早期地震警報手法に適用し,鉄道の早期地震警報に対するトレーサビリティを検証する予定である.
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P-14) 鉄道における早期地震警報システムの地震データの品質に関する検討 | ||||
〇津野 靖士(1),長井 康馬(2),是永 将宏・佐溝
昌彦・佐藤 新二(1) 1:鉄道総研,2:明星電気 |
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10月11日 | 16:30〜17:30
Rayleigh波分散曲線からS波速度構造の逆解析には遺伝的アルゴリズム(GA)などが用いられているが、離散化したS波速度や層厚の最小単位よりも詳細なモデル化ができないといった問題がある。本稿では、GAよりも詳細な地下構造推定を行うために、Rayleigh波分散曲線からS波速度構造への逆解析に深層ニューラルネットワークを適用するための基礎研究を行った。表層と工学的基盤からなる多数の擬似的な2層地盤構造モデルを作成し、Rayleigh波分散曲線からS波速度構造を推定するための学習モデルの検討を行った。Hidden Layerの層数、分散曲線の周波数情報のリサンプリング数、機械学習のサイクル数を示すepoch数を検討した結果、Hidden Layerの層数を5層、リサンプリング数を20点、epoch数を100点とした場合に、S波速度構造を最も正確に予測できることが明らかになった。
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P-15) Rayleigh波分散曲線からS波速度構造への逆解析に対する深層ニューラルネットワークの適用に関する基礎的検討 | ||||
〇吉野 将生・神野 達夫(1),三浦 弘之(2),重藤
迪子(1),阿比留 哲生(3) 1:九州大,2:広島大,3:中国電力(株) |
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10月11日 | 16:30〜17:30
福島県東部にある広野火力発電所の強震観測記録では,S波到達前1.5〜1.7秒に上下動成分に顕著なパルス波が確認される.このパルス波は,S波のRadial成分波形と同じ波形をしており,スラブ内,プレート境界,上盤内,いずれの地震でも観測されることから,プレート境界面ではなく深部地盤でのSP変換波と考えられる.広野火力位置での地震基盤深さの異なる複数の地盤モデルを用いた数値計算により,このパルス波の再現性を検討したところ地震基盤の深いモデルとの整合性が示された.観測されている変換波は,地下構造モデルの検証に有効と考えられる.
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P-16) 福島県東部で観測されたSP変換波を用いた地下構造モデルの検討 | ||||
〇植竹 富一(1) 1:東京電力HD |
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10月11日 | 16:30〜17:30
陸域のみ,あるいは,水域のみに比べ,湖水域,特に湖水域の地下構造解明を主目的として陸域〜湖水域を統合的に調査した反射法地震探査の事例は少ない.今回,(株)阪神コンサルタンツが所有する米国 Geospace社製の独立型海底地震計OBXを活用して,湖底に糸魚川−静岡構造線活断層系神城断層が分布すると推定される長野県青木湖および周辺の地下構造を解明することを目的にP波反射法地震探査が実施された(木村他,2023).OBXは水中などGPS信号が受信できない環境下でのデータ収録が想定された,速度型地震計3成分とハイドロフォン1成分内蔵の収録装置で,GPS信号が受信できない環境下でも精度のよい時刻を得るために恒温槽付きOVCXO(約30日間の計測で補正後のドリフト値が0.5msec未満)が使われている.本報告ではとくに,湖水域と陸域を統合して処理した結果を示すとともに,観測中のOBXの挙動を分析する.
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P-17) 陸域−湖水域の反射法地震探査と観測中のOBXの挙動分析 | ||||
〇秋永 康彦・山田 浩二・今吉 隆・末廣
匡基(1),木村 治夫(2) 1:阪神コンサルタンツ,2:(一財)電力中央研究所 |
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10月11日 | 16:30〜17:30
湊-本庄断層の分布と変形構造,和泉層群の分布構造を明らかにするため,兵庫県南あわじ市北阿万筒井地区において浅部反射法地震探査を実施した.予備的な深度マイグレーション断面において,標高約-150mより浅い深度で反射波が認められた.本調査測線周辺で実施されたボーリング調査や反射法地震調査の結果と比較すると,本調査における明瞭な反射面は鮮新世から更新世にかけて堆積した大阪層内の地層境界面を示していると考えられる.大阪層群内の強い正の位相は,複雑な形状を示しており,湊-本庄断層による変形構造を表している可能性がある.予備的な処理結果からは,和泉層群域が西側から隆起した様子は認められなかったが,さらなる検討が必要である.今後,さらに解析を進め,この地域の地質情報についての知見を深めていく予定である.
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P-18) 兵庫県南あわじ市における浅部反射法地震探査の実施 | ||||
〇木下 佐和子・伊藤 忍(1) 1:産総研 |
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セッション | 学術講演会:ポスター(コアタイム後半) | |||||
座長 | 倉橋 稔幸(寒地土木研究所) | |||||
[土木][防災2] | ||||||
10月11日 | 17:30〜18:30
我々は、高周波交流電気探査システムを開発している。しかし、このシステムで測定したデータは表皮効果の影響を受けるため、従来の直流電気探査逆解析手法を適用すると、実際の地下比抵抗構造とは異なる結果が得られる。そこで、表皮効果を除去し、直流電気探査逆解析に適したデータを作成する技術の開発を進めている。本研究では、表皮効果を除去するために深層学習の適用を試みた。深層学習は、未知のパラメータが多い場合でも計算効率を維持したままデータを高速に解析できる利点がある。さらに、初期モデルの推定が不要であるため、表皮効果の除去に有利である。除去結果は概ね高精度であったが、正しく除去できないケースもあり、今後、深層学習を中心にさらなる改良・検討が必要である。
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P-19) 深層学習を用いた高周波交流電気探査測定データからの表皮効果除去手法に関する研究 | ||||
〇篠原 純弥(1),神宮司 元治・横田 俊之(2),上田
匠(3) 1:産総研, 早大・創造理工,2:産総研,3:早大・創造理工 |
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10月11日 | 17:30〜18:30
従来の微動アレイ探査に比べ,アクティブ表面波探査は2次元のS波速度構造断面をイメージングすることができることに加え,ショットコヒーレント信号を用いて表面波群の伝播特性だけでなくSV反射波,P波屈折波・反射波を用いて速度層構造モデル構築に有益な情報を抽出することができるという優位性を有している.筆者らは潮来市日の出地区において高分解能表面波探査を繰り返し実施し,S波速度の経時変化の検出を試みた.前報ではWalking-alongリニアアレイ表面波探査結果として人為的な地下水位に伴う極表層のS波速度変化を検出できたことを示した.本報告ではアクティブ表面波探査取得データに含まれるショットコヒーレント波群に着目し,それらに対してP波屈折トモグラフィ解析,P波・SV波反射法処理を実施した結果を示す.この解析処理によって地下水位変動の影響を受ける最表層部の速度層構造モデルを構築することができた.
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P-20) 潮来市日の出地区における繰り返し表面波探査(その2):振源コヒーレント波群を活用した表層速度構造変化の検出 | ||||
〇稲崎 富士(1),横田 俊之(2) 1:無所属,2:産総研 |
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10月11日 | 17:30〜18:30
地盤の剛性の変化を地表から非破壊で連続的に測定することを目的として、常時微動を連続的に測定しこのデータをリアルタイムでサーバー上で自動解析するシステムを開発した。本システムは3成分の固有周波数2Hzの速度型地震計、GPSやバッテリー、AD変換器を内蔵した小型のサイスモグラフ、携帯電話回線を用いたインターネット接続機能およびソーラーパネルから構成されており、ケーブルを用いずに連続的に常時微動をサーバーにアップロードすることができる。サーバー上で常時稼働しているプログラムは、空間自己相関関数法によりリアルタイムで位相速度を計算し経時変化を表示する。このシステムを用いて茨城県つくば市の防災科学技術研究所の試験盛土において、1年以上の連続測定を行っている。測定は3個の地震計を約5m間隔で盛土の天端、斜面、法尻に設置して行った。2022年9月の台風に伴う大雨の際に、傾斜計の変化と整合する明瞭な位相速度の変化をとらえることができた。本発表は測定システムや解析手法の概要をまとめ、試験盛土の測定結果を報告する。
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P-21) 常時微動を用いた盛土のS波速度の連続測定 | ||||
〇林 宏一(1),石塚 理・石川 貴規・小西
千里(2),酒井 直樹(3) 1:応用地質/Geometrics,2:応用地質,3:防災科研 |
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10月11日 | 17:30〜18:30
表面波探査の選定に当たっては,分散曲線の算出,探査深度,分解能などの理解が必要である.細かい構造を調べるためには,高い分解能(地震計間隔に対し,大きな探査深度)が必要である.SPAC係数は、3方向の係数を平均することで、三角内の代表値となる.微動の記録波形は、SPAC係数の抽出に、微妙に影響する。微動は、屈折・反射法地震探査に比べ、極小の地震波である。地震計の設置には、繊細な注意が必要である.
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P-22) 表面波探査法の探査深度と分解能 | ||||
〇林 久夫(1),高木 俊男・上熊 秀保(2),原口
強(3) 1:ジオックスコンサルタント(株),2:復建調査設計(株),3:(株)STORY |
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10月11日 | 17:30〜18:30
東アナトリア断層帯周辺の地震波伝播特性について,2020年Elazigで発生したMw6.7の地震で観測されたAFADの強震データを用いて調べた.この地震による最大速度の距離減衰は,東アナトリア断層帯周辺では周囲に比べて小さいことがわかった.加速度波形のペーストアップには,3.4 km/sで伝播する顕著なLg波が確認できた.速度波形のペーストアップにおいては3成分ともに周期約10秒の表面波と思われる顕著なフェーズが約2.7 km/sで伝播している様子が捉えられた.またPgフェーズが5.8 km/sの速度でPnフェーズよりも顕著に励起されている.これらPgやLg,LoveとRayleigh波のフェーズは, 2023年Kahramanmaras地震(Mw7.8)の震源断層周辺で特に顕著に見られ,その他の地域では明瞭に見られなかった.応答スペクトルについても両地域で大きく異なっていた.
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P-23) 東アナトリア断層帯周辺の地殻構造による地震波伝播特性 | ||||
〇地元 孝輔(1) 1:香川大 |
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10月12日(木) ホール会場(井深大記念ホール,1F) | ||||||
公益社団法人 物理探査学会 創立75周年記念行事 | ||||||
テーマ: 「持続可能な社会と物理探査」 | ||||||
セッション | 記念行事:パネルディスカッション | |||||
司会 | 吉川 猛(基礎地盤コンサルタンツ) | |||||
10月12日 | 9:30〜10:40 | <パネリスト> 井上 敬資 氏(農研機構),河村 知徳 氏(石油資源開発), 江元 智子 氏(サンコーコンサルタント),奥田 真央 氏(石油資源開発), 高岡 宏之 氏(大日本ダイヤコンサルタント),地元 孝輔 氏(香川大学) |
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セッション | 記念行事:アウトリーチ | |||||
進行役 | 志賀 信彦(三井金属資源開発) | |||||
10月12日 | 11:00〜11:40 | 「実録!物理探査の高校出前授業」 |
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10月12日 | 11:40〜12:30 | 大学発の物理探査による国際貢献 「物理探査技術を用いた地雷検知とウクライナ支援」 <講師> 佐藤 源之 氏(東北大学) |
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セッション | 記念行事:基調講演 | |||||
座長 | 松島 潤 副会長(東京大学大学院・新領域) | |||||
10月12日 | 14:00〜14:45 | 物理探査技術による地圏環境の理解と防災・減災への貢献 −関東大震災から100年− |
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阿部 進 氏((株) 地球科学総合研究所 代表取締役社長) | ||||||
10月12日 | 14:45〜15:30 | デジタル技術の進化と共に発展する物理探査技術の近未来 | ||||
小寺 保彦 氏(石油技術協会 会長) | ||||||
セッション | 記念行事:記念式典 | |||||
司会 | 光畑 裕司 副会長(産業技術総合研究所) | |||||
10月12日 | 16:00〜17:10 | (1) 開会宣言 渡辺 俊樹 記念事業実行委員会委員長(名古屋大学) (2) 開会挨拶 鈴木 敬一 物理探査学会会長(川崎地質(株)) (3) 祝辞 (4) 表彰 功労会員表彰 (5) 閉会の辞 岸本 宗丸 物理探査学会常務理事(日鉄鉱コンサルタント(株)) (6) 記念撮影 |
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10月13日(金) ホール会場(井深大記念ホール,1F) | ||||||
セッション | 記念シンポジウム:防災(斜面・地震防災・河川堤防) | |||||
コンビーナ | 山中 浩明(東京工業大学),佐藤 浩章(電力中央研究所) | |||||
10月13日 | 9:30〜11:00
斜面災害対策に関連する調査として,古くから物理探査が行われている.物理探査によって,地質構造や地盤特性の空間分布を比較的短時間で効率的に調査できる.近年では,機器や計測・解析技術の発達により,より高速かつ高分解能な調査が可能になってきた.本稿では,まず,物理探査による斜面の地下構造調査技術の目的や手法,解釈する上での留意点について解説する.次に,ドローン電磁探査により斜面の地下構造を調査できた事例を紹介する.崩壊堆積物等を含む斜面における地質構造をドローン電磁探査により捉えられることが示された.
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12) 斜面の防災と物理探査 | ||||
○窪田 健二(1) 1:電力中央研究所 |
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10月13日 | 9:30〜11:00
地震防災特に強震動予測のための地盤構造モデルを構築する上で用いられている物理探査について述べた.強震動予測ではS波速度構造のモデル化が重要であり,微動探査や地震記録を用いたS波速度構造探査や反射法・屈折法探査などを用いた地盤のモデル化が多くなされている.南海トラフ地震などによる長周期地震動を推定する上では,海域のS波速度構造の探査や海域と陸域の地盤構造モデルを滑らかに接続することが必要である.この課題を解決する為には海陸統合探査や海底微動探査,表面波のスローネストモグラフィ解析等を組み合わせた地盤構造のモデル化が必要である.
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13) 地震防災と物理探査 | ||||
○鈴木 晴彦(1) 1:応用地質 |
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10月13日 | 9:30〜11:00
浸透問題への対策工事が必要な堤防では、地盤調査技術を活用することで、確実性の高い施工の設計が行える場合がある。しかし、実際には堤防調査に地盤調査技術が活用されることは少なく、調査の必要性が認識されないことがその理由と考えられる。したがって、物理探査技術者や物理探査技術を活用しようとする者は、技術の説明でなく、調査目的に沿う技術の用意、または、地盤分布の情報が安全性に影響する不確実性を減らし、これが対策工の有効性を高めることを示す必要がある。また、物理探査は信頼性が低いという印象を持たれがちであるが、調査目的に適用手法が適合していないことが原因となっている。このため、調査実施時に調査目的を理解するよう努めることが、信頼性の改善に結びつく。物理探査の有効な活用方法について様々な方々が努力してきた中で、よい方法を話合っていきたい。
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14) 河川堤防調査への物理探査の利用 | ||||
○尾西 恭亮(1) 1:土木研究所 |
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セッション | 記念シンポジウム:土木(維持管理・農業) | |||||
コンビーナ | 尾西 恭亮(土木研究所),井上 敬資(農研機構) | |||||
10月13日 | 12:30〜14:00
日本は環太平洋火山帯に属し、その地質は脆弱で破砕されている。このためインフラは様々な地質・地盤リスクにさらされている。地質・地盤リスクは建設時だけではなく維持更新、再開発の際にも発現する。地質・地盤リスクによる国土交通省の事業費の損失は、一般会計支出の約5%にも及ぶ。今こそ、より効率的な建設や国土利用のため地質・地盤リスクマネジメントシステムを開発する必要がある。この発表では、土木における地質・地盤リスクの現況を概括するとともに、地質・地盤リスクマネジメントの課題と物理探査への期待を議論する。
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15) 土木における地質・地盤リスクと物探への期待 | ||||
○佐々木 靖人(1) 1:ダム技術センター |
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10月13日 | 12:30〜14:00
農業水利施設の長寿命化とライフサイクルコストの削減を実現するため、「ストックマネジメント」が、全国で実施されています。「ストックマネジメント」とは、日常管理、機能診断、機能保全計画の策定、対策工事、データ蓄積のサイクルを段階的かつ継続的に実施する取り組みです。令和5年には、「農業水利施設の機能保全の手引き」が改訂され、新技術及び再生可能エネルギーの導入に関する視点の追加や、リスク管理に関する記述の拡充などが行われましたので、本稿でその概要を紹介します。
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16) 農業水利施設のストックマネジメントの現状 | ||||
○岡本 佳久・森岡 三郎(1) 1:農林水産省利根川水系土地改良調査管理事務所 |
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セッション | 記念シンポジウム:学術(地球科学・遺跡文化財) | |||||
コンビーナ | 渡辺 俊樹(名古屋大学),金田 明大(奈良文化財研究所) | |||||
10月13日 | 14:20〜15:50
月惑星探査はこれまでのリモートセンシング探査から着陸機などによる「直接探査」に移行しつつある.月探査については長年の検討段階を経て国際共同の枠組みとして始動している.地震ネットワーク観測は直接探査として遂行する重要なテーマとして国内外で位置付けられておりJAXAにおいても惑星探査部門が設置された1980年代から研究開発が行われてきた.物理探査(=アクティブ地震探査)の側面においても研究開発が開始されており、アクティブ震源や有人ローバーを起震源とした地下構造探査などの検討を開始している。日本が地下構造探査の部門で先導的な立場で進められることが期待される。
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17) 近未来の月惑星探査計画と地震探査で期待される成果 | ||||
○田中 智(1),辻 健(2),新谷 昌人(3),川村
太一(4),小野寺 圭祐(3) 1:JAXA,2:東京大学・院・工学,3:東京大学地震研究所,4:パリシテ大学,フランス地球物理研究所,CNRS |
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10月13日 | 14:20〜15:50
日本列島下には日本海溝や南海トラフから海洋プレートが沈み込んでおり、東北地方太平洋沖地震や南海地震のような巨大地震・巨大津波が繰り返し発生している。しかし、各海溝に沿った地震活動は一様ではなく、プレート境界地震断層の状態(プレート間固着の強度)は空間的に不均質であると考えられている。プレート間固着強度分布の実態とその不均質を決定づける要因を把握することは、プレート境界型巨大地震の発生場所や規模、そして推移予測の精度向上に不可欠であり、巨大地震・津波のハザード評価に向けた基盤的な研究となる。このような背景のもと、海洋研究開発機構では日本周辺海域において、過去25年以上にわたってプレート境界断層の実態把握を目指した大規模地震構造探査研究を実施してきた。本講演では、最近の研究成果の一端として、南海トラフにおける高解像度断層イメージング研究と日本海溝域の大規模構造研究の成果を紹介する。
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18) 地震探査で挑む巨大地震発生帯の描像 | ||||
○藤江 剛(1) 1:海洋研究開発機構 |
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10月13日 | 14:20〜15:50
19世紀まで日本の首都であった京都市には、16世紀に京都を支配した室町幕府や関白・豊臣秀吉が築城した大規模な城郭遺跡が点在する。これらの城郭遺跡は、特に京都市中心部では、都市の変遷の中で地表にはほとんど痕跡を留めていない。しかし、幅数十メートル、深さ数メートルに及び堀跡は遺構として現在も地中に伏在している。発表者らは豊臣秀吉が築城した聚楽第をはじめとする城郭遺跡の堀跡を弾性波探査の一種である表面波探査法を活用することで検出した。そして、探査で得られたデータと、史資料、発掘調査といった人文的なデータと照合した上で、従来の研究の限界を超える新たな復元案を提示した。
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19) 表面波探査法の特性を活かした戦国・安土桃山期城郭遺跡の復元研究 | ||||
○古川 匠(1),釜井 俊孝(2),坂本 俊(3),土井
一生(4),中塚 良(5) 1:京都府教育委員会,2:元京都大学防災研究所,3:元興寺文化財研究所,4:京都大学防災研究所, 5:向日市埋蔵文化財センター |
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10月13日 | 14:20〜15:50
文化財は先人が残した貴重な歴史遺産であり,後世へ伝えるための保存・活用が求められる.埋蔵文化財を掘り出す,あるいは文化財建造物を改変することは本質的価値を損なうことになるため,遺跡は現状のまま保存することが望ましい.しかし開発事業や災害修復等の際には発掘調査によって記録保存が行われる.物理探査を用いた遺跡探査は,地中の埋蔵文化財を非破壊で検出・可視化する調査技術として昭和50 年代頃から利用されており,発掘調査に比べて短期間および低コストで地下情報を得られることから,主に発掘調査の事前調査として位置付けられてきた.本稿では,効率的に発掘調査を進めるための遺跡探査方法や,近年発掘調査に替わる手法として注目されている調査事例を紹介することにより,遺跡探査が遺跡・文化財の今後の保存活用(持続可能性)にどのように貢献していけるか考えてみたい.
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20) 遺跡探査の将来について | ||||
○高瀬 尚人(1),村上 義直(2),山口
昌紘(3),奥村 信一(4),小林 恵・石澤 伸彰・市原 健(1) 1:応用地質,2: 秋田県埋蔵文化財センター,3:扇精光コンサルタンツ,4:都市景観設計 |
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