第148回(2023年度春季)学術講演会 詳細プログラム | ||||||
5月30日(火) 第1会場(03会議室,2F) | ||||||
セッション | [土木][地震1][防災1] | |||||
座長 | 笠松 健太郎(鹿島建設技術研究所) | |||||
5月30日 | 9:30〜9:50
初動走時トモグラフィーにおいて、深部方向の情報を得るために、ボーリング孔を利用した受振・発震や遠隔起振データが用いられる。しかしながら、初動走時トモグラフィーにおいて、計算領域の外側に起振点が存在する遠隔起振データの取り扱いは遠隔起振点と計算領域の間の物性値が未知のため難しい。そこで、本稿では計算領域の側面に入射する遠隔起振データによる走時を遠隔起振データから推定し、それを計算領域側面から発振された遠隔起振データとみなし、平面波振源として随伴状態方に基づく初動走時トモグラフィーで計算する方法を試みた。解析の結果、通常の測線内での起振走時データのみを利用した結果と比較すると、近いオフセットのみならず遠隔起振による走時データを利用した方が、より深部地盤構造も把握できる結果となった。
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1) 遠隔起振データを用いた初動走時トモグラフィー | ||||
○山内 泰知(1) 1:ダイヤコンサルタント |
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5月30日 | 9:50〜10:10
今後主流になっていく浮体式風力発電の地盤調査を目的として、大水深底海底微動アレイ探査の研究開発を行った。浮体式洋上風力の適用水深は50m以深とされており、現行の海底微動アレイの測定方法、すなわち三角アレイの頂点と重心に海上より海底地震計を投下して測定するという方法は、水深が深くなると微動計の設置方法において困難が生じた.我々は、海底測位装置を用いて海底地震計を直線上に配置して微動アレイ探査を行う手法を開発し、測定実験を行った。取得データより明瞭な分散曲線が得られ、同時に行った音波探査断面とも整合的な記録がえられ本手法の有効性が確認できた。 なお、直線アレイの延長線で重錘による起振を行い、表面波探査の測定実験も実施した。こちらも良好なデータが得られたので合わせて報告する。
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2) 浮体式洋上風力を対象とした大水深海底微動アレイ探査の開発 | ||||
○松原 由和・浅野 泰寛・今井 幹浩・井上 雄介・平出
亜(1) 1:応用地質 |
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5月30日 | 10:10〜10:30
近年微動アレイ探査は土木分野での2次元・3次元といった活用事例が増えている.しかし微動は測定時間・到来方向で変化する.この時間変化を分析することは,限られた方位の受振器を用いてS波速度を推定する上で重要である.そこで本研究では基礎実験として,三角形アレイで3日間の連続観測データを取得し,時間変化に関する分析を行った.その結果,三角形の2辺の受振器ペアでは,時間によらず明瞭な周波数−位相速度イメージが得られた.一方,残りの一辺の受振器ペアから計算される周波数−位相速度イメージは,日中は不明瞭であったが,夜間は明瞭であった.この観測結果は,計算される位相速度が微動の到来方向の影響を受けている事を示している.したがって,限られた方位の受振器のみで微動のモニタリングを行う際には,測定時間帯についても考慮すべきである.
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3) 微動モニタリングシステム構築に向けた微動測定の基礎実験 | ||||
○大貫 隆輔・山内 政也・小西 千里・辻 雅規・プラダン
オム(1) 1:応用地質 |
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5月30日 | 10:30〜10:50
単点微動測定は,地震防災分野において基盤深度と概略的なS波速度構造を推定する簡便な現場測定手法として利用されてきている.しかし微動の水平動成分と鉛直動成分の周波数スペクトル(HVSR)比のみから一意的にS波速度構造モデルを推定することは困難であり,通常は微動アレイ測定と組み合わせて速度構造の信頼性を担保する方法が採用されてきた.この微動アレイ探査によって導出される分散曲線からのS波速度構造モデルの推定過程にも不確かさが残る.本発表では,微動アレイ測定の代わりに小規模な多チャンネル表面波探査(MASW)を組み合わせて浅部のS波速度構造を推定する簡便な現地測定手法を紹介するとともに長野県北部,野尻湖の西側に位置する池尻川低地での適用結果の概要を示す.推定されたS波速度構造は,以前に当地で実施されたダイレクトプッシュ型サイスミックコーンによるダウンホールS波速度検層およびSH波反射法探査結果と調和的であった.
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4) 単点微動測定と表面波探査の組み合わせによる浅部S波速度構造のモデリング:長野県北部池尻川低地での適用例 | ||||
○稲崎 富士(1),林 宏一(2),近藤 洋一・関
めぐみ(3),井内 美郎(4) 1:フリー,2:Geometrics,3:野尻湖ナウマンゾウ博物館,4:元 早稲田大学 |
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5月30日 | 10:50〜11:10
受動的な地震観測データを用いて地下構造をイメージングするために、リバースタイムマイグレーション(RTM)に基づく新しい手法を開発した。提案手法では、観測点側の情報のみを用いて、観測点から時間的に前方または後方に波動場を外挿するため、反射波や透過変換波を用いた地下構造イメージングには、元の震源に関する詳細な情報は必要ない。本研究では、MeSO-netの高密度地震観測点で記録された近地地震を用いた反射波イメージングの事例を紹介する。関東地方の地下に沈み込む2つのプレートに関連する地殻深部構造を、受動的地震波RTMによりイメージングすることに成功した。この結果は、人工震源を用いた場合よりも深い反射プロファイルが得られ、地震トモグラフィーよりも詳細に地下構造を描像できる可能性を示した。また、提案手法は、本研究のような深部構造だけでなく、異なる規模の受動的観測を用いた様々な地下調査への応用が期待される。
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5) 受動的地震波リバースタイムマイグレーションによる地下構造イメージング | ||||
○白石 和也(1),渡辺 俊樹(2) 1:JAMSTEC,2:名大 |
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5月30日 | 11:10〜11:30
衛星SARデータを補完する新たな観測手法として,FMCW SAR搭載ドローン観測システムの開発と評価を行った.SAR解析により点ターゲットや地形を識別できるSLC画像を作成し,山間部の斜面の地形を明瞭に推定することに成功した.また,ドローンの飛行速度によるアジマス分解能の違いを明らかにし,ドローンの飛行速度が速いほど地形の分解能が向上することを明らかにした.作成されたSLC画像を定量的に評価するため,3種類のコヒーレンスを計算したところ,位相コヒーレンスが比較的小さいことが分かった.今後,InSAR解析のために位相コヒーレンスを改善する必要がある.
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6) FMCW SAR搭載ドローン観測による点ターゲットと地形の推定 | ||||
○重光 勇太朗・石塚 師也・林 為人(1),杉山
智之・岸本 宗丸・高橋 武春(2) 1:京都大,2:日鉄鉱コンサルタント株式会社 |
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セッション | [ケーススタディ] | |||||
座長 | 白石 和也(海洋研究開発機構) | |||||
5月30日 | 13:00〜13:20
物理探査データへのAI・機械学習適用は積極的に行われている.坂口ほか(2022)1では,反射法地震探査データへの適用可能性を検討した.その後,坂口ほか(2022)2では,複雑な地質構造を呈するデータへの適用について議論を行った.しかしながら適用にはAIに関する知識だけでなくプログラムに関する知識も必要であり,使用するためにはいくつもの課題があった.そのため,BSRを自動抽出するツールの開発(Deep BSR Scanner)を行った.これにより多くのユーザが使用できるようになり,利活用促進につながる.一方で,ツール開発を通して得られた課題もあった.本講演では,課題とその結果について議論する.
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7) BSR自動抽出ツール(Deep BSR Scanner)の開発 | ||||
○坂口 弘訓・高市 和義・児玉 総司・下野 祐典・清水
恒子(1),石鍋 祥平・中山 貴隆・蛯谷 亮(2) 1:CTC,2:JOGMEC |
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5月30日 | 13:20〜13:40
2020〜2022年度「屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯(恵那山−猿投山北断層帯)における重点的な調査観測」の一環として、断層帯を構成とする複数の断層の形状、およびそれらの地下での連続性を明らかにすることを目的として、反射法地震探査を実施した。恵那山断層と猿投山北断層、猿投−境川断層を横切る約5〜7km長の計3本の測線を設けた。当該地域の地質構造は花崗岩の基盤を薄い表土層が覆った構造で、各断層は逆断層成分を伴うほぼ鉛直な横ずれ断層もしくは比較的高角な逆断層である。反射断面から断層の存在を示す明瞭な反射構造を見いだすことは困難であるが、基盤岩類内の反射パターンの不連続または側方変化、表層地質に着目して断層の解釈を行った。断層を示す明瞭な反射構造が得られなかった測線もあったが,断層活動による構造形成の一部が明らかとなった.極浅層高密度反射法の結果には断層との関連性が認められた.
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8) 恵那山断層、猿投山北断層、猿投−境川断層の反射法地震探査 | ||||
○渡辺 俊樹・田所 敬一(1),石山 達也(2),松多
信尚(3),鈴木 康弘・山岡 耕春・市原 寛(1),齋藤 秀雄・中田 守・阿部 進(4) 1:名大,2:東大,3:岡山大,4:地科研 |
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5月30日 | 13:40〜14:00
トルコ共和国北西部のブルサは,オスマン帝国の初代の首都であり,歴史的にも重要な都市である.この地域では,1855年にM7.1の地震が発生し,歴史建築物も含めて多くの建物被害が生じた.著者らのグループは,この地震による地震動特性や被害を明らかにすることを試みている.本研究では,守田・他(2023)による1855年の地震の被害分布に基づいて被害が大きいモスクもしくはミナレットの位置で表層地盤を対象とした微動探査および1次元比抵抗法電気探査を実施した.平野部の調査地点では,10〜20Hz以上の高周波数での位相速度200m/s程度となり,低速度の表層が存在していることがわかった.一方,南の山地では,S波速度300m/s程度の表層が非常に薄くなっていると考えられる.今後,これらの結果を用いて表層地盤のモデル化を行い,それらを1855年の地震による地震動評価に用いていく予定である.
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9) 1855年トルコ・ブルサ地震によるブルサ旧市街地の被災モスクでの微動探査 | ||||
○山中 浩明(1),守田 正志(2),笠松
健太郎(3),神津 真衣(1),三宅 弘恵(4),佐藤 大樹(1) 1:東工大,2:横浜国大,3:鹿島技研,4:東大地震研 |
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5月30日 | 14:00〜14:20
埋没谷の存在が示唆されている利根川の河川堤防沿いで、2次元微動アレイ探査を実施した。これまで当該河川堤防では軟弱な海成粘土層の分布が想定され、圧密沈下のリスクが指摘されていたが、十分な数量のボーリング調査が実施されていなかった。2次元微動アレイ探査を適用することで、従来河川堤防で広く適応されてきた表面波探査よりも深い深度で、広域のS波速度分布を得ることができた。探査結果は既往のボーリングデータや探査と並行して実施したボーリングデータと整合していた。この結果は、2次元微動アレイ探査は河川堤防沿いの地質構造把握を効率的に実施するのに有効であることを示している。
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10) 河川堤防における2次元微動探査を通じた埋没谷分布推定 | ||||
○須崎 敦史・田中 秀岳・山内 政也・佐藤 仙一・新部
貴理(1) 1:応用地質 |
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5月30日 | 14:20〜14:40
地層処分事業では地質環境特性モデルを構築するための特性データとして、原位置試験や岩盤コアを用いた室内試験で得られたデータを使用しており、データの代表性とはらつきを評価する必要がある。本報では、駿河湾沿岸域で実施された物理検層データと幌延地点の室内物理試験データを用いて、透水係数と一軸圧縮強度を推定した。まず、Lima(1995)による岩石物理モデルを適用して、駿河湾地点の複数の物理検層データから透水係数プロファイルを導いた。また、現地透水試験データと比較することにより本手法の有効性を確認した。次に、高橋ほか(2016)に基づく岩石物理モデルを適用して、幌延地点の岩石コアから得られた弾性波速度から一軸圧縮強度を推定し、岩石コアを使用した一軸圧縮試験データと比較した。その結果、岩石中に含まれるマイクロクラックの影響を受けない岩石マトリックスの特性を反映する一軸圧縮強度の最大値を推定することができた。
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11) 物理検層データを用いた孔壁周辺地盤の透水性・力学強度特性の推定 | ||||
○鈴木 浩一(1),木方 建造・井川
怜欧(2) 1:川崎地質,2:産総研 |
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5月30日 | 14:40〜15:00
秋田県能代市二ツ井地区の二ツ井鉱山跡での電気探査と地中レーダーを実施した。付近では天然アスファルトやオイルサンドが採掘されていたが,現在は休山状態である。原油の滲出がある付近では,低比抵抗領域の上部に薄い高比抵抗が乗る形の,特徴的な比抵抗構造が見られる。
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12) 秋田県能代市二ツ井オイルサンド鉱山跡での電気探査・地中レーダー | ||||
西田 和正(1),○坂中 伸也(2),坪江
桂吾(3),津永 紫音(4),カンジュ バハーティ ハジ(2) 1:ANA沖縄空港,2:秋田大,3:HRS,4:総合地質 |
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5月30日 | 15:00〜15:20
地中レーダと金属探知機を組み合わせた地雷検知センサ「ALIS」は800MHz-2.6GHzのGPRを備え,バックプロジェクション法によるマイグレーションにより,埋設地雷の3次元画像を操作者に提供する.マグレーションによりクラッタ除去が行われ,埋設地雷の明瞭な可視化が実現できた.2018年からカンボジアでの本格的な人道的地雷除去活動として運用が開始され,2023年には日本政府ODAにより12台のALISがカンボジア地雷除去対策センター(CMAC)に供与された.またボスニア・ヘルツェゴビナ,コロンビアでの運用試験と共に2023年からウクライナへALISを導入するためのパイロットプロジェクトが開始された.
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13) デュアルセンサによるウクライナでの人道的地雷除去支援 | ||||
○佐藤 源之(1)(2) 1:東北大学,2:(株)ALISys |
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5月30日(火) コアタイム:第1会場・SpatialChat,展示:展示会場・オンラインフォルダ | ||||||
セッション | [ポスター(コアタイム)] | |||||
座長 | 石須 慶一(兵庫県立大学) | |||||
5月30日 | 15:40〜17:20
地熱調査では,MT法探査やCSMT法探査などの電磁探査によって地熱貯留層や地熱流体の上昇経路などを明らかにしてきた.しかし,これらの探査は深部の地下構造を探査対象としているため,浅部の地下構造を高い分解能でイメージングすることは困難であった.そこで本研究は,北海道の地熱地域に伏在する断層の浅部構造を明らかにするため,測点間隔を1mとする高密度な磁気探査を行った.その結果,断層の浅部構造を定量的に把握することができたため,磁気探査は掘削ターゲットを検討する際の有効な事前調査の1つとして,今後の活用が期待される.
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P-1) 磁気探査を利用した地熱地域の浅部地下構造調査 | ||||
○丸山 純也(1) 1:道総研 |
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5月30日 | 15:40〜17:20
本講演では、3次元電気伝導度構造に対するマグネトテルリック(MT)応答関数順計算の不確定性を定量的に評価する手法を提案する。構造モデリングにおいて水平座標軸を地理的などの方向に向けるかは任意に選択できる。順計算により得られる応答関数は、座標系によらず不変であることが理想であるが、現実には、構造モデルの数値離散化、境界値、数値計算誤差等により変動する。いくつかの異なる座標系においてMT応答関数を計算し、それらの平均値、標準偏差、変動係数を評価することにより、観測点、周波数帯、構造、数値計算手法などの与えられた条件のもと、MT応答関数がどの程度安定的に計算できるかを定量的に評価できる。本手法を、3つの実際的な海底・陸上MT観測アレイに適用した結果、計算されたMT応答関数の変動係数は、観測点、周波数、MT応答関数の成分毎に有意に異なることが示された。将来的研究においては順計算の不確定性を考慮すべきである。
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P-2) 3次元電気伝導度構造に対するマグネトテルリック応答関数順計算の不確定性評価 | ||||
○馬場 聖至(1) 1:東大・地震研 |
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5月30日 | 15:40〜17:20
高知市街地を通る平野を南北に横断する測線を設定し,そこで複数の微動アレイ観測を実施し,そのデータを用いて表層地盤のS波速度構造を推定した。平野の中央部での工学的基盤までの深さは20〜30mと推定され,その構成は,地表から数mがS波速度150m/s前後,その層と工学的基盤上面の間が200m/sの層からなるとされた。
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P-3) 高知市街地の表層地盤S波速度構造の推定 | ||||
○山田 伸之・門脇 宙(1) 1:高知大理工 |
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5月30日 | 15:40〜17:20
立田山断層は熊本市北部に位置する活断層であるが、断層南部において詳細な地質調査物理探査などは行われていない。我々は立田山断層周辺で常時微動観測を実施した。断層活動に起因する卓越周期の変化を捉えることができた。しかし、断層の南部延長上の測線では明瞭な卓越周期の変化は見られなかった。立田山断層の延長部の地盤構造を推定するためにはより広域の測定・調査が必要であるが、常時微動観測は断層位置を推定するための有力な物理探査手法であることが確認できた。
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P-4) 立田山断層周辺における地盤震動特性 | ||||
○鈴木 晴彦・松山 尚典(1) 1:応用地質 |
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5月31日(水) 第1会場(03会議室,2F) | ||||||
セッション | [地熱][資源探査] | |||||
座長 | 丸山 純也(北海道立総合研究機構) | |||||
5月31日 | 9:30〜9:50
秋田県木地山地熱フィールドにおいて東北自然エネルギー社の保有するKJ-5地熱坑井を用いた地球物理探査を行った。2,000m深度まで光ファイバーを設置しDTSによる温度測定の結果、坑底温度は288℃であった。坑口から北側に当たる場所の震源を用い、坑内光ファイバーによるDAS波形と地表地震計波形を用いて地熱フィールド下の地震探査を行った。この結果、深さ1000mまではVpの深さ勾配は増加し1,000m付近,に地層境界が認められた。ほぼ南北のA-A‘断面のVp分布を求めた。水平加振を用い、深さ1,200mまでのSH波の観測をした。これによれば、深さ1,200mまでのVP/VSHは通常の岩石の持つVP/VSと同等の1.75となる。
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14) 秋田県木地山地熱フィールドにおける地熱探査 | ||||
○笠原 順三・羽佐田 葉子(1),三ケ田 均(2),大沼
寛(1),藤瀬 吉博(3) 1:エンジニアリング協会,2:京都大学工,3:WELMA |
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5月31日 | 9:50〜10:10
地下構造の解析のために多くの地震波初動が必要である.そのためにAIを用いた地震波自動検測は意義がある.島嶼においては風や波浪の影響でAIによる地震波自動検測は難しい.そこで,島嶼でも使用可能だと考えられるEQTransformer(以下EQT)というAIを神津島に適用し地震波自動検測の適用性を検討した.EQTの適用性を評価するために,EQTが多くの地震を検出していた4日間において手動検測を行い,手動検測結果を正とした混同行列を算出した.その結果,適合率91%,再現率78%という良好な数値を得ることができた. 次に,神津島における適合率と再現率を評価することが出来たため,Mousavi et al. (2020)中に示されているAIの性能と本研究におけるEQTの性能を比較した.適合率,再現率はともに同等であった.これらのことから,ノイズの多い島嶼データに対してもEQTは地震を検出できると言える.
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15) EQTransformerを用いた神津島における稠密地震観測データの地震波自動検測 | ||||
〇埜中翔太・東宏幸・小田義也(1) 1:東京都立大学 |
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5月31日 | 10:10〜10:30
地熱地域では、地熱変質層や岩盤の断裂(断層)は比抵抗が非常に低く、地下比抵抗構造から地熱変質層と断層、地熱流体との関係を明らかにできると期待される。しかしながら、MT探査の観測点密度は低く、地表付近の小規模不均質によって解析結果が歪む問題もあり、地熱地域の詳細な地下比抵抗構造や、フラクチャと熱水循環の関係は明らかになっていない。そこで本研究では、九州の地熱地域において、約 50〜150mの観測点間隔で、稠密なAMT探査を実施し、深さ約1km以下の3次元地下比抵抗構造を詳細に推定した。ここでは、新たなstatic shift補正法を開発し、今回のAMTデータに適用した結果、調査地域に分布する活断層の両側で、比抵抗値に明瞭な差異が認められた。これは、活断層での天水の涵養により、熱水循環パターンに急激な変化が起きていると推測できる。地熱変質層に対応すると考えられる低比抵抗体の不均一な分布から、熱水の上昇が断層沿いに一様でないと考えられる。
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16) 新たなStatic Shift補正法と三次元解析の安定化により得られた地熱地域の地下浅部比抵抗構造 | ||||
〇山下凪・後藤忠徳(1),馬越孝道・佐々木裕(2) 1:兵庫県立大・院・理学,2:長崎大・水産・環境科学総合研究科 |
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5月31日 | 10:30〜10:50
既存のMT探査システムの磁場測定で使用されているインダクションコイルは重く,理論上低周波数ほど感度が悪いことが知られている.これまでの長年の研究成果を基礎として,3種類の小型軽量のMT法探査装置の開発を実施している.開発した探査装置では,磁場センサとしてインダクションコイルの代わりにMIセンサを採用している.市販のMIセンサは,地球磁場の影響を低減するために0.1 Hz以下の感度を意図的に低く設定されている.そこで本研究では,地下数kmの探査深度を想定し,0.1Hzよりも低い周波数帯域の磁場変動を測定するために市販のMIセンサを改良し,評価を行った.改良したMIセンサを評価した結果,超低周波数の帯域で十分な感度で磁場変動を測定できることが確認できた.
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17) 超低周波磁場測定のためのMIセンサの改良 | ||||
○田中 俊昭・水永 秀樹・橋本 幸治・古川
浩幸(1),小野寺 真也(2) 1:九大,2:JOGMEC |
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5月31日 | 10:50〜11:10
近年,ドローン(小型無人航空機、UAV, Uncrewed Aerial Vehicle)を用いた物理探査技術の研究・開発が進んでいる。ドローンを用いた電磁探査法では,送信器を地表に設置したり,ドローンで曳航したりするため,その応答特性は様々である。一方、電磁応答を数値計算で検討・評価した研究は少ない。本研究では,様々な送受信配置のドローン電磁探査応答を順解析コードで計算し,送受信構成に応じた応答や探査深度について検討した。このような数値計算により,ドローン電磁探査の応答特性や最適な送受信配置を検討し,より効果的な無人電磁探査の実現を目指したい。
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18) ドローン時間領域空中電磁探査法における数値計算を用いた送受信配置の検討 | ||||
○桑井 康行・上田 匠(1) 1:早大 |
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5月31日 | 11:10〜11:30
ガスハイドレート(GH)はエネルギー資源としての利用が期待される一方、GHから発生するメタンの温室効果も危惧されている。特に、日本海東縁部には海底面付近に塊状のGH(表層型GH)が存在することが知られており、地球環境への影響が指摘されている。しかしながら、海底下の表層型GHについて、その水平・鉛直方向への空間的広がりは分かっていない。そこで本研究では、海底下比抵抗構造を調査できる電気探査に着目した。日本海東縁部の海底電気探査データを解析することで海底下50mまでの比抵抗構造を算出した。その結果、海底表面にGHやガス噴出が確認されている地域では、海底直下に厚み30m程度の高比抵抗異常域(>10Ωm)が局在化していることが明らかとなった。アーチーの式を用いてGH飽和率を推定した結果、本高比抵抗異常域は60%〜95%の高いGH飽和率を示すことが明らかになった。
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19) 海底電気探査による日本海東縁部の表層型ガスハイドレート分布の可視化 | ||||
小田 彩湖・○石須 慶一・後藤 忠徳(1),笠谷
貴史(2) 1:兵庫県立大学,2:JAMSTEC |
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セッション | 特別講演 | |||||
座長 | 松島 潤 副会長(東京大学大学院・新領域) | |||||
5月31日 | 15:00〜16:00 | 小惑星探査機「はやぶさ2」 〜挑戦、帰還、そして挑戦〜 | ||||
中澤 暁 氏(JAXA宇宙科学研究所 はやぶさ2拡張ミッションチーム) | ||||||
5月31日 | 16:00〜17:00 | 日本のCCS政策について | ||||
佐伯 徳彦 氏(資源エネルギー庁資源・燃料部石油・天然ガス課) | ||||||
5月31日(水) 第2会場(05会議室,2F) | ||||||
セッション | [地震2][防災2][火山] | |||||
座長 | 山田 伸之(高知大学) | |||||
5月31日 | 9:30〜9:50
本研究では,盛岡市北西部において,既往の研究では探査深度が足らない場所で小アレイ微動アレイ観測を追加実施し,得られた位相速度とH/V比を用いて,表層地盤のS波速度構造モデルを推定した.30m平均S波速度を求め,工学的基盤からの地盤増幅率を算出した.その結果,平均S波速度(AVS)は133 m/s から 384 m/sとなり,既往のデータを加え考察した結果,観測点48地点中42地点が観測から得られた実測で得たAVSの方がJ-SHISのAVSより遅くなった.AVSから得られた増幅率は1.18から2.55となり,既往のデータの増幅率の結果を加え考察した結果,観測点48地点中42地点が観測から得られた実測で得た増幅率の方が大きくなった.今回の観測場所においてJ-SHISの増幅率は過小評価であり,極小・小微動アレイを用いた稠密な微動観測の重要性が示された.
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25) 微動アレイ探査による盛岡市北西部の地盤増幅率の再評価 | ||||
○山本 英和・佐藤 翼・齊藤 剛(1) 1:岩手大学 |
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5月31日 | 9:50〜10:10
2011年東北地方太平洋沖地震によって甚大な液状化被害が発生した潮来市日の出地区において表面波探査を繰り返し実施し,S波速度の経時変化の検出を試みた.同地区では地下水位を低下させる対策事業が進められてきた.この地下水位の変動によるS波速度の変化を表面波探査によって捉えることを目的とした.探査期間は2016年9月から2017年12月にかけての約15ヶ月である.この間に同地区および近傍の7測線で延べ14回のデータセットを取得した.そのうちの日の出8丁目公園南北 (8P_L) 測線の探査解析結果を報告する.表面波探査にはWalking-alongリニアアレイ表面波探査手法を採用し,CMP-SPAC法を適用し2.7-60Hz間の位相速度分散曲線を算出した.4次の測定結果を比較したところ,分散曲線の再現性は高く相互に類似していた.しかし20Hz付近および40Hz以上の帯域において微小な変化見出すことができた.前者は3m付近の地下水位変動ゾーンに後者は1m以浅の極表層に対比される.
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26) 潮来市日の出地区における繰り返し表面波探査 | ||||
○稲崎 富士(1),横田 俊之(2) 1:フリー,2:産総研 |
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5月31日 | 10:10〜10:30
微動アレイ探査によって地盤のS波速度の時間変化を長期間観測するため,微動探査装置に携帯電話回線を付加し,計測したデータをリアルタイムに計測するシステムを開発した.つくば市の実験フィールドにおいて4〜10台の観測装置を用いて約1年間の観測を行った結果,昼夜での生活振動の違いが顕著に観測できること,表面波の位相速度を自動観測でモニタリングできることが確認できた.また,自然地震も観測でき,機動的な地震観測装置としても利用できることが確認できた.本システムを利用することで,降雨や地震などの自然現象や工事施工に伴う地盤のS波速度の時間変化をとらえれることが可能になると考えられる.
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27) 小型リアルタイム微動観測システムの開発 | ||||
○石塚 理・小西 千里・林 宏一・鈴木 晴彦・棚澤
美秋(1) 1:応用地質 |
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5月31日 | 10:30〜10:50
表層地盤の影響を除去するはぎとり解析では,解析に用いる地盤モデルが重要となる.地盤モデルは,一般に,1次元波動論に基づいて評価されるが,全てのサイトで1次元解析を適用できるとは限らない.観測記録を十分に再現できないサイトは一定数存在し,その要因の一つとして,地盤構造の不整形性の影響が考えられる.本検討では,2次元解析で地盤モデルを作成する手法を考案し,その手法を地盤構造の不整形性が顕著なKiK-net釜石に適用した.1次元解析では不十分であった観測記録の再現性は,2次元の地盤モデルを作成することで改善できることを示した.
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28) 鉛直アレー地震観測記録を用いた2次元地盤モデルの評価 | ||||
○笠松 健太郎(1),野澤 貴(2),渡辺
哲史(3) 1:鹿島建設技術研究所,2:鹿島建設原子力部,3:小堀鐸二研究所 |
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5月31日 | 10:50〜11:10
本論文では、二重スペクトル比法により神津島におけるP波減衰構造を推定した。二重スペクトル比法は、複数の観測点で観測された複数の地震記録を用いることで、震源特性やサイト増幅特性を除去し、伝播経路特性、すなわち減衰特性のみを抽出する方法である。31点の観測点からなる神津島の稠密地震観測網で2020年10月から2021年3月の期間に観測された地震データを使用した。計23組のデータについて二重スペクトル比を算出し、BPTを用いて逆解析の初期モデルを作成したあと、誤差が小さくなるようSIRTにより反復修正を行いQ構造を推定した。その結果、天上山の中央部はQ値が低い傾向にあることがわかった。また、島の中央部(天上山南西部)のQ値は比較的高く、自然地震トモグラフィーから推定された高速度域に対応していた。
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29) 稠密地震観測データを用いた二重スペクトル比法による神津島のP波減衰構造 | ||||
○井上 晏菜・渡邊 詩子・東 宏幸・小田
義也(1) 1:都立大 |
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6月1日(木) 第1会場(03会議室,2F) | ||||||
セッション | [埋設物][斜面][その他] | |||||
座長 | 佐藤 源之(東北大学) | |||||
6月1日 | 10:00〜10:20
徳島県の地すべり地では年平均3cm程度のクリープが観測されてきた。クリープに伴う地下構造変化の検出を目指して、2015年と2022年に同一測線において比抵抗トモグラフィを繰り返して実施した。その結果、約7年間の比抵抗構造の変化は大きくはなかったが、推定すべり面の一部では比抵抗の増加傾向が見られた。またすべり面が発達していないと考えられる斜面では、比抵抗変化が大きい傾向にあった。以上から本地域の今後の地すべりの可能性について議論する。
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20) 繰り返し比抵抗トモグラフィに基づく地すべり地の比抵抗構造の時間変化 | ||||
藤本 静菜・○後藤 忠徳・石須 慶一・櫻井 未久・山本
壮馬(1),寺嶋 智巳(2) 1:兵庫県立大,2:京大 |
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6月1日 | 10:20〜10:40
地中探査レーダが埋設管を横切って探査する際に検知される双曲線状反射像の定式化を検討した.埋設管が地面と平行に敷設されている際,双曲線状反射像の頂点における反射点はレーダの直下に位置する.しかし,平行に敷設されていないとき,双曲線の頂点における反射点はレーダの直下に位置しない。そのため,曲線像の頂点位置における遅延時間から算出した伝搬距離と埋設深度には誤差が生じる.そこで探査データにうつる双曲線の形状から埋設位置を推測するため,反射像を定式化する必要がある.本稿では埋設管の位置を定めるパラメータを定義し,想定される反射像の定式を導いた.その結果から,埋設管が地面と平行でないとき,双曲線像の頂点が現れる探査位置は埋設管の直上点と一致しないことが確認できた.埋設管と地面の成す角度,埋設管を地上に投影した直線と探査方向の成す角度,埋設深さを考慮したパラメータを設定し,定式化した結果を述べる.
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21) 地中探査レーダを用いて埋設管検知を行った際の双曲線像の定式化について | ||||
○沈 昊哉・礒部 敦(1) 1:日立製作所 |
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6月1日 | 10:40〜11:00
接地電線(Grounded-wire:GW)を使用する過渡応答電磁探査法(Transient electromagnetic:TEM法)は,数kmまでの探査深度を有することから,鉱物資源,地熱貯留層,天然ガス資源などの探査に利用されている.GW信号源による磁場応答の計算は,特定の条件下で水平電気双極子(Horizontal Electric Dipole:HED)信号源による磁場応答に近似することができるが,2種類の信号源の応答特性や分布に関する研究報告例は少ない.本研究では,HEDとGW送信源により発生する過渡応答(2次磁場)を計算し,GW送信源の応答をHED送信源の応答で近似できる条件や両者の応答特性の相違などを検討した.
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22) 接地電線信号源を用いた電磁探査法の応答計算と特性の検討 | ||||
○劉 昊然(1),上田 匠(2) 1:早大・院,2:早大・創造理工 |
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6月1日 | 11:00〜11:20
Deep Learning(DL)は多層ニューラルネットワーク(NN)に基づいており、回帰問題として適用すると、例えば、電磁探査における逆解析に相当する。我々は、空中時間領域電磁探査(ATEM)データの逆解析のために、Deep Neural Network(DNN)、Convolutional Neural Network(CNN)、Recurrent Neural Network(RNN)のNNモデルを構築した。ネットワーク構築にはデータ数の異なる3つのデータセットを利用した。各データセットに対して、複数の検証モデルを利用し,異なるNNモデルに対して効果的なハイパーパラメータを検討した。これらの検証から、DNN、CNN、RNNのモデルを決定し、その学習精度を比較・検討した。また,JOGMECのAEM(Helitemシステム)フィールドデータに、我々のNNモデルを適用した。その結果、3種類のNNモデルは、一般的な局所最適化手法と同様な比抵抗構造を推定できることがわかった。今後は、学習データ、ハイパーパラメータ、データノイズの考慮など、詳細な検討を行う予定である。
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23) 深層学習を用いた時間領域空中電磁探査データの逆解析 | ||||
○橘川 萩(1),中西 賢吾・西野 玉城(2),上田
匠(1) 1:早大・創造理工,2:早大・院 |
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6月1日 | 11:20〜11:40
ドローン技術の急速な発展により、地形測量、農薬散布、橋梁点検など幅広い分野でドローンが活用されている。本研究では、マルチコイル型電磁探査装置(CMD-EXPLORER)と無人地上車両(UGV, Uncrewed Ground Vehicle)を組み合わせたUGVEMシステムを、河川堤防調査などの浅層地盤探査に適用した。UGVEMシステムで得られた測定データをもとに、2種類の逆解析コード(1)商用ソフトウェアと(2)本研究で新たに開発したPythonによるコードを用い,解析を行なった。両逆解析コードによる比抵抗構造の推定結果は調和的であり、また,UGVEM探査が2km程度の長い測線の連続測定に対しても有効に適用できることが確認できた。
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24) 地上無人車両電磁探査法の数値解析手法の開発と河川堤防探査への適用 | ||||
○白澤 祐景(1),篠原 純弥(2),上田
匠(1),梅澤 良介・神宮司 元治・横田 俊之(3) 1:早大・創造理工,2:早大・院,3:産総研 |
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6月1日(木) 第2会場(05会議室,2F) | ||||||
セッション | [CO2][メタンハイドレード][石油・天然ガス] | |||||
座長 | 山内 泰知(株式会社ダイヤコンサルタント) | |||||
6月1日 | 10:00〜10:20
近年の気候変動とその影響を踏まえ,二酸化炭素の排出量あるいは排出削減量に対する国際的な枠組みを設けようという取り組みが進められている.しかし,化石燃料が主たるエネルギー源である現代において,二酸化炭素排出量を急激に削減するのは困難である.そこで,二酸化炭素を地中に貯留する技術であるCCSが注目されるようになった.CCSでは,坑井掘削や二酸化炭素の圧入の他に,地下での二酸化炭素の挙動や漏洩の有無のモニタリングが求められる.弾性波トモグラフィはその手法の1つである.本研究では,弾性波トモグラフィの順解析及び逆解析プログラムを実装した.その際,プログラミング言語にはJuliaを採用した.Juliaは計算速度と書きやすさの両立を目指している最先端のスクリプト言語であり,解析結果の可視化も容易に行うことができる.また,実装したプログラムによりCCSモデルの解析を行い,弾性波トモグラフィのCCSモニタリングへの適用性を検証した.
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30) Juliaによる坑井間初動走時トモグラフィの解析プログラムの開発及びCCSモニタリングへの適用 | ||||
○上村 建人(1),上田 匠(2),児玉 匡史・横田
俊之(3) 1:早大・院,2:早大・創造理工,3:産総研 |
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6月1日 | 10:20〜10:40
開発されたジョイントインバージョンの適用性と性能を検証するために、我々の以前の研究では、ミュオンと弾性波の組み合わせによる実験室規模の測定を提案し、ミュオンと地震波の組み合わせた実験室測定の概念設計の概要を説明した。 この研究では、ミュオンカウントを使用して水深を調査することにより、宇宙線ミュオンの実験室測定の予備結果を示す。 私たちが実験室で繰り返し測定したところ、平均ミュオン数は巨視的に水深と相関していることがわかった。 さらに大気補正と温度補正を行うことで、結果を改善することができる。
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31) 室内実験スケールでの宇宙線ミュオンと弾性波の融合測定(続報) | ||||
○松島 潤(1),児玉 匡史(1)(2),アリ
モハメド・ブチャラ ファテ(3),田中 宏幸(4),金 政浩(5),横田 俊之(2),鈴木 誠(6) 1:東大・院・新領域,2:産総研,3:ハリファ大学,4:東大・地震研,5:九大・院・総理工,6:東大・院・工学系 |
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6月1日 | 10:40〜11:00
機械学習は近年目覚ましい発展を遂げ、様々な分野で高い性能を発揮し、物理探査においても、その応用に成功している。本稿では、最近注目されているPhysics-Informed Neural Networks (PINN)と呼ばれる手法の適用可能性を検証する。PINNは、物理法則の知識に基づく制約をニューラルネットワークの損失関数に組み込むものである。この制約条件を組み込むことで、ニューラルネットワークは学習過程を経て、最終的に与えられた物理法則を満たすように最適化される。一般的な応用例としては、偏微分方程式を解く問題がある。本論文では、1次元の拡散方程式と波動方程式のシミュレーションの問題を取り上げる。しかし、PINN法はまだ研究段階であり、解決しなければならない問題が多く存在する。大規模な問題に対して有効かどうかは定かではないし、損失関数の設計やネットワークへの組み込みが難しく、ハイパーパラメーターのチューニングが必要なこともPINNの適用を難しくしている。今後は、PINNが幅広い分野で応用されることが期待される。
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32) 物理情報に基づくニューラルネットワーク(PINN)の物理探査への応用可能性について | ||||
○松岡 俊文・磯 真一郎(1) 1:深田地質研究所 |
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6月1日 | 11:00〜11:20
日本海東縁の最上トラフにある酒田丘陵(仮称)には表層型メタンハイドレート(MH)の賦存が知られ ている。この表層型MHの産状や分布はまだ充分に理解されていない。これを把握するために、私たちは同一海域で複数の物理探査を実施してきた。探査対象や、探査可能深度、分解能、深度指標が異なる複数の観測結果を直接比較することは難しいが、それぞれの物理観測の特徴に十分留意することで、複数の物性分布に基づく大まかな分布を考察し統合して解釈をすることが可能となる。その結果、(1)BSRより上位には水平方向の連続性が比較的高い表層型MHがある、(2)MHはBSRが示された範囲よりも限定された狭い範囲にある、(3)BSRより下位には気泡が広く存在する、(4)気泡を含む流体が断層面に存在し比抵抗値を下げている、など表層型MHとその形成に関連する物質の分布を推定した。
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33) 海底下の表層型メタンハイドレート賦存状況推定(地質構造・比抵抗構造・LWD統合解釈)の試み | ||||
○浅田 美穂・小森 省吾・横田 俊之(1) 1:産総研 |
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6月1日 | 11:20〜11:40
AVOは反射法地震探査で取得した振幅値を利用して,貯留層内の炭化水素を検出する方法である.貯留層が薄層の場合,貯留層の上面と下面からの反射波が干渉し反射波振幅が変化する.一般的にAVOモデリングは理論式を用いて反射係数を導出し入力波形をコンボリューションして行うが,実際の観測データで見られる波形の干渉を考慮することができない.そこで,本研究では有限差分法(FDM)を用いてAVOの挙動を検証した.貯留層が薄層の場合のAVO応答を計算し,両手法の結果をIntercept-Gradientのクロスプロットで比較した.その結果,層厚順に並べるとFDMモデルではクロスプロット上でその変化が複雑な挙動を示し,一方でコンボリューションモデルではほぼ直線で変化するなどの差異が見られた.これはFDMモデルが水平方向の干渉も考慮できるためだと考えられる.AVO応答の評価にはFDMモデルが有効であると示した.
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34) AVOにおける薄層の影響の評価 | ||||
○西嶋 就平(1),新部 貴夫(2),高橋
明久(3) 1:地科研,2:JAPEX,3:ウェーブレット |
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6月1日 | 11:40〜12:00
MDRS法は、CRS法でのコンフリクティングディップの問題を解消しつつ、CRS法と同様に、近傍の複数のCMPギャザーを重合することにより重合数を飛躍的に増大させ、重合記録において高いS/Nを達成すると同時に、反射波の傾斜と曲率を考慮した補正を行うことで空間解像度の低下を最小限度に抑制することが出来る。さらに、最近実用化されたPrestack MDRSは、高S/Nの重合前ギャザーの生成が可能であり、速度解析やPSTM/PSDMイメージングへの適用が可能となった。Prestack MDRSを、ジオメトリが不均質で低S/Nの国内陸上三次元データに対して適用したところ、高S/Nの重合前ギャザーの生成、オフセット・アジマス分布の改善、速度解析の精度向上が実現でき、後段のPSTMイメージの品質が改善した。
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35) Prestack MDRS処理技術による陸上難地域データの品質改善 | ||||
○猪野 滋・赤間 健一(1),本田
史紀(2) 1:地科研,2:石油資源開発 |
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